3Dプリンターめっちゃ楽しいわ

3Dプリンター。4~5年前ぐらいにはアーリーアダプターの方々が買って楽しそうに遊んでいるのを目にした覚えがありますが、俺は今になってようやく買いました。

ある程度普及してきて、値段や性能、使い勝手もこなれてきているのでは、と思っていたところにAnkerがこの分野に参入してきたことで、そろそろ買ってみるかと考えた次第。

それなら当然 AnkerMake M5 を買う流れなんですが、思いのほかデカくて置き場所がないので、いっそ安くて小さいやつから入ろうと思い、買ったのがENTINAのTina 2S

 

  • ちっちゃい
  • 組み立て済

が選んだ理由です。印刷可能なサイズは100mm×105mm×100mm、特に高速でもなく、性能からすれば割高ではあるんですが、机の端に置いといても邪魔にならないこのサイズは大変良いものです。

組み立て済だからセットアップも簡単で、スライスソフトをPCにインストールするだけで、調整等全くなしに印刷できました。そして今のところスピードや成形精度にこだわるようなもんは作っていないので、ずっと初期設定のまま。

購入前に想定していたよりも遥かに簡単に使えるものでした。手軽すぎて驚くぐらい。

で、買ってからというもの四六時中、俺がモデリングしたつまんねえものを出力し続けています。

3DモデリングソフトFUSION360(個人利用は無償)のスクリーンショット。左側にあるのがプロジェクトの一覧ですが、購入2週間程度でアホほど増えました。

「つまんねえもの」というのは謙遜ではなく、もし100円ショップで売っていたら10個まとめてワンパックで売っていそうな代物、ということ。

俺のような、創作意欲にあふれているわけでもない普通の人間が3Dプリンターを持つことの真骨頂はこの「つまんねえもの」にあると感じています。

例えば机の脚が一本浮いてガタついていたとして、その脚先にぴったりハマるサイズのプラスチックパーツってめちゃめちゃ嬉しいと思うんですよね。

モノ自体は本当につまらない物体なのに、得られる喜びが(相対的に)でかい。そういうものを作ることに快感を覚えるのです。

3Dプリンターの商品画像って、大抵かっこいいフィギュアが印刷されてたりするせいで「特に作りたいものもないし」とか「自分には難しそう」と手を出しあぐねる人が多いんじゃないかと。

でもこの手の「つまんねえもの」は日常生活でいくらでも思いつくし、手の込んだものを作るわけじゃないからモデリングも簡単にできる。

3Dプリンターに興味ある人は作りたいものとかどうでもいいんでもう買っちゃえばいいと思うんですよね。面白いから。

俺が作ったもののなかでぶっちぎりに「利便性/つまらなさ」のレシオが高いのがこの「ベビーオイルを止めるやつ」。

最近なぜか左肘の先だけが荒れてヒリヒリしだしたので保湿用にベビーオイルを買ったのですが、軽くポンプを押すだけで左腕全体がテラテラになるぐらいオイルが出るので、2,3滴だけ出たところでポンプが止まるようにするパーツを作りました。

制作物の中でもつまらなさが群を抜いているので、得られる利便性がささやかでもめちゃめちゃ嬉しいという。

そして左肘は治り、ベビーオイルは死ぬほど余りました。どうしようこれ。

あと真っ先に作ったのが「有孔ボードに額縁かけるやつ」。

↑の記事のように、俺には映画のポスターを額縁に入れて飾る趣味があるのですが、映画館でもらえるフライヤーなんかも掛けだしたら数が爆増しまして。

 

額縁って基本的に紐で吊り下げる仕様なので、狙った位置に下げるのが難しい。紐はたわむし緩むので。

なのでこれを使って、紐を通す金具を取り付けるレール部分を直接引っ掛ける。

垂直方向は有孔ボードの穴の位置で揃えられるし、水平方向はスライド自由。

地震でずれたりしないし、掛け外しも簡単なのでフライヤーの入れ替えやレイアウトの変更も気軽にできるようになりました。

 

あとこの辺のポスターカードなんかも何気に

「MDFの有孔ボードに磁石くっつけるやつ」を作成して貼り付けてたりしてます。

 

あとは「時計飾るやつ」とか

 

「モニターアームのVESAマウントにメガドラミニを乗せるやつ」とか

 

「余った埴輪を掛けるやつ」とか、他にもいろいろ。

 

これらの物品を見て「わあ、3Dプリンター買おう」となる人はいないと思います。なぜならこれは「俺だけが欲しかったもの」だから。

じゃあ何でこんなもん見せてるのかと言うと、3Dプリンターを買うということは「自分しか欲しがらないから世の中には存在していないもの」を生み出せる、という状態を買うことだと言いたいからです。そしてもし興味があるならさっさとその状態になっちゃえよ、と薦めているのです。

今現在作りたいものがあるかどうか、なんてのは結果的にどうでもいい事でした。繰り返しになりますが、「簡単に作れる」と承知していれば、作りたいものなんて生活の中でいくらでも出てくるので。

あとあった方が良い工具の話をしとくと、

  • デザインナイフとかヤスリとか
    • どうしても出るバリを綺麗にするため
  • ニッパーとラジオペンチ
    • サポート(綺麗に印刷するために、中空部分に自動で生成される支えの柱)を完成後にむしり取るため
    • 手でも取れるように接合部は脆く作られるが、それでも穴の中などで取りづらいことはあるので
    • 切断というより破壊なのでニッパーはプラモ用じゃなくてワイヤーも切れる頑丈なのがいいです(こじる動きに耐えられるように)
  • ノギス
    • 計測超超超重要
    • 「どっかにハマる何か」を作るのであれば必須アイテム

写真のようにプリンターの横にはいろいろ工具が掛かってますが、どれもプリンターで作ったものを使うにあたって実際に必要になった工具が並んでいます。決してフックを作るのが面白くなっちゃって意味なくぶら下げているわけではありません。

それはそれとして、工具がまっすぐかかるようにフックを作るのは楽しいです。

最後にFUSION360ですが、はじめは使い方がさっぱり分からなかったのでYoutubeの解説動画のお世話になりました。

こちらの再生リストの最初の方をざっと見るだけでそこそこ使えるようになったのでおすすめしておきます。

おわり。

ポッドキャストを始めて2年が過ぎました

最初のエピソードをアップしたのが2021/09/26。2年が経っても続いております。

最近気づいたんですが、自分のポッドキャストを聞く一番の楽しみって「お前は俺か」ってなることなんですよね。

実際俺なんですけども。

改めて、自分の話を聞くのは面白い。これは「俺のトークは面白いんだぜ」ということではなく。

評論家のように造詣が深いわけでもなく、特に気の利いたことも言えませんが、俺にとっては世界一波長の合う人間(俺)が喋っているので心の底から共感できるわけです。

自分の喋りをそんな他人事のように聞けるものだろうか、という疑問を持たれるかもしれませんが、少なくとも俺は聞けます。

録音した会話を編集していて常々感じるのは、「人は結構考えなしに喋っている」ってことなんですよね。いや、我々だけかもですが。

しょっちゅう論理は破綻するし、同じこと何度も喋ってたりするし、言いたいことをちゃんと言語化できずにグダグダになって諦めたりするし。

要はその場の思いつきだけの雑談ゆえに、聞き返すときには何を言ったかなんて完全に忘れているので、後から自分でも全然楽しめます。

そして、自分だから聞き返すとその時の思考の流れが完全にトレースできるのです。ぼんやり聞きながら「自分だったらこうだなぁ」と思っていたら、ポッドキャストの中の人(俺)が同じことをそのまんま言ってたりする。これは「思い出す」のではなく、過去と現在の思考がシンクロするイメージ。

この思考トレースの面白いところはきちんと言語化できなかった感覚までも言語化できないままに蘇ることで、これはブログ記事や鑑賞ノートにはできないことです。なぜなら言語化できなかった考えはそもそも文章にできないので。

これが5年や10年寝かせたあとに同じようにトレースできるかというと甚だ疑問ですが、それはそれでどう感じるのか楽しみではあります。

このように自分の鑑賞記録としての利用が主目的のポッドキャストではありますが、続けていれば聞いてくれる人も増えるもので、2023/9/26現在のエピソード数は131、Spotifyのフォロワー数は282。1エピソードあたり2人程度のフォロワー数というペースを保ったまま2年間続いております。

自分たち以外にも聞いている人がいる、と思うと多少なりともわかりやすいようにしたいという気持ちが湧いてきます。というか自信満々に間違ったことを喋ってたりして恥ずかしいので訂正したいと思って色々試行錯誤した結果、「Spotifyのチャプター機能を使って注釈をつける」というところに落ち着きました。

こういうフォーマットで()内にタイムスタンプを書いておくと自動的にリンクされてそこから再生できるようになります。

ファミコンのゲームや昔の漫画等、例えが古すぎるものや、ジャーゴン化してて話者同士にしか通じない単語などにも一応説明を。

聞き流すポッドキャストにこれはあんまり意味がないと思いますが、まあ気休めです。

なお、Youtubeに注釈字幕をつけてアップするというのも試してみたんですが、タイミングを合わせて字幕を付けるという作業がクソ面倒くさかったのでやめました。

動画制作自体は面白いんだけど、さすがに目的と手間が割に合わない……。

ところでこれは余談ですが、編集用にXPPenの左手デバイスを導入したらめちゃめちゃ便利になりました。

音声編集ツールはフリーソフトのAudacityを使っていますが、「再生/停止」と「Delete」を割り当ててやるだけでも左手の動きが激減しますし、ゲイン調整なんかは頻繁に使うのにメニューの深いところにあったりするので、マクロ登録すれば超快適。あとは普通にUndo/Redoとか上書き保存とか。

ペンタブレットメーカーのデバイスなので、基本的には絵描き用途として作られてるんでしょうが、そうでなくてもショートカットを多用しがちなツールを使う場合にはおすすめ。ホント便利。

あと、3年目を機にポッドキャスト用のTwitterアカウントを作りました。更新情報とかポストします。

twitter.com

フィットボクシング北斗の拳をはじめた

リモートワーク生活であまり歩かなくなったからというありふれた理由です。

一応ジムには定期的に通っているのですが、マスク必須で苦しいのでトレッドミルとかの有酸素運動はやりたくないんですよね。なので自宅でできる手軽な運動方法のひとつとして購入した次第。

リビングに置いてあるモニターはスプラトゥーン3にズブズブにはまりこんだ嫁さんが四六時中使っているので新しくモバイルモニターを買ったんですが、これが非常に使い勝手が良くてですね。

Amazonでモバイルモニターと検索すると山ほど出てくる中国製モニター。値段や仕様はいずれも似たり寄ったりなのですが、前面にメーカーロゴがないことと、購入当時は最安値だったことで選びました(しょっちゅうクーポンを付けたりセールしたりで、各メーカー値段がコロコロ入れ変わる)。

棚に100円ショップで買ったかもいフックを付けて、目線の高さにこう。

フィットボクシングは立ってプレイするので、見下ろさなくていいのが非常に良い。

Switch本体をテーブルモードにして棚の上に置けばいいじゃんという意見もありましょうが、少なくともパンチの当たらない距離に離れる必要がある事、それなりに上半身を振ることを考えると、ある程度の大きさは欲しいのですよね。

しかもこれ、SwitchとUSB-Cケーブルで直に繋がってドック要らず。モニターの電源経由でSwitchも充電できちゃう。

並行して俺もスプラトゥーンをやってるので、ゲームによって本体は別モニターと行ったり来たり。追加のドックを買わなくて済んだだけでも嬉しいし、接続がUSBケーブルだけで済むのは取り回しが良くて、他の場所に移動して使ったり、片づけるときも非常に簡単。

今やこういうのが1万5000円ぐらいで買えちゃうの本当にありがたいですね。

んで北斗の拳の方。

世紀末の覇権を争った強面マッチョたちが完全なる無表情のままリズムに合わせて「せーの」とか「1、2、1、2」とか言ってくれるだけですげえ面白いんですが、基本的にやることは無印フィットボクシングシリーズと変わらないと思われます。

一応ヒャッハー軍団や強敵(とも)と戦えるバトルモードもありますが、映像とボイスが変わって戦っている体になるというだけでゲーム内容はトレーニングと変わりません。終わった後で北斗百裂拳のパンチ連打はさせられますが、まあ戦っている感じは皆無です。

あとはデイリートレーニングの締めにモヒカン雑魚のこめかみを突いてスタンプカード代わりにするぐらいでしょうか。これもCEROレーティングのせいか頭がはじけ飛ばないんですよね……。

「これ頭がはじけ飛ばないじゃん!」って苦情もどうかと思いますが。

一応最新版ということで北斗の拳を買いましたが、フィットボクシング2でも別にいいんじゃねーの、というのが正直なところです。収録楽曲やトレーナーのビジュアル、声優とかの好みで選べばいいんじゃないでしょうか。

それはそれとして、初めて遊びましたがゲーム自体はめっちゃ面白い。Switchのフィットネスゲームといえばリングフィットアドベンチャーかフィットボクシングシリーズですが、俺は断然フィットボクシング派。

リングフィットアドベンチャーはトレーニングがターン制バトルのコマンドになってるだけで、それ自体に楽しさや上達する喜びを見いだせないんですよね。あとリングと足に巻くバンドの準備が地味に面倒で、毎日やる気が削がれる。

一方、フィットボクシングは基本リズムゲーム。単純な動作の繰り返しも音楽に合わせるだけで楽しいし、ジャストヒットのビシィ! ビシィ! という音もフィードバックとして気持ちいい。準備もコントローラーを握りこむだけなので気楽に始められる。

やってることはスポーツジムのボクササイズと変わんないですが、動作のひとつひとつにOK/NGの判定が付くだけでめちゃめちゃ面白い。タイミングや動作の判定は結構ガバガバで最初こそ気になりましたが、やってるとどうでも良くなります。

やたら厳しくてミスを連発するようだとストレスがたまるばかりだし、かといってきちんと止めずに流れてしまったパンチはしっかり咎められる。ゲームとフィットネスの融合として適度なバランスなんじゃないでしょうか。

レーニングの効果としてはどうか。

30分コースのデイリートレーニングで体は適度に温まり、軽く息が弾んで汗ばむ程度。その後、短時間のバトルを1戦やってクールダウンというのが固定でやってるメニュー。後は気分に応じてフリーをやったりやらなかったり。

とりあえず始めた翌日から3日間は上腕と背中がバキバキに筋肉痛になりました。普段ジムでやってる筋トレとは使う筋肉が全然違うらしい。

あと異様に腹が減るようになって食事をしっかり食べるようになり、発売わずか2週間で体重が1.5kg増えました。

どうも筋肉痛になった筋肉は修復のために水分をため込むので、普段鍛えていない人ほどトレーニング初期は体重が増えるんだとか。ある意味きちんとトレーニングが効いているということだと思います。

今のとこ、毎日やっててもまだ全然楽しいので当面は続きそう。落ちまくった体力が戻る程度には続くといいですね。

ポッドキャストを始めて1年が過ぎました

夫がオオアリクイに殺された感じになってますが、上記の記事からだいたい1年です。正確には1年と1か月ぐらい。

これが鑑賞記録としてとても楽、かつ楽しいもんで、このブログには全く映画の感想を書かなくなってしまいました。

あとちょっといいマイクまで買ってしまいました。

基本、嫁さんと一緒に観た映画の感想を喋ってるだけ。そもそもが未見の人に面白さを伝えようと思っていないので、ただの言いっぱなし。ブログと違ってネタバレ回避だとか内容の推敲だとかしてないし、できません。ほんと楽。

2022/11/05 現在のエピソード数は74、主要なサイトにおける購読者数はSpotifyが140、Apple Podcastが72、Google Podcastが21。重複を考えてもだいたい200人ぐらいの人が定期的に聴こうとしてくれてるようです。

多いか少ないかで言うと少ないんですが、素人の駄話にこれだけ視聴者がついてりゃ十分だと思います。

「こんな素人ポッドキャストを聴く物好きが200人も!」みたいなことを言う気はなくて、需要はささやかながらあるのだと理解しています。

だって俺も知らない人の映画感想ポッドキャスト聴いてるもの。

何かに対する感想をポッドキャスト化することの良い点って、クソどうでもいい部分に対する素の感想が残ることだと思います。自他問わず。

思考は文章化する時点で要約されてしまいますから、とりとめもない会話からでないと拾えないような細かい情報と言うのは確かにあって、文章で読むのとは違った楽しみがあります。声のトーンからでないと分からない気持ちの入り方というものもありますし。

公開するにあたって気を付けていることがいくつか。

さっさと本題に入る

映画のタイトルで検索してくる人は知らん人(俺)の挨拶とか近況とかどうでもいいと思うので、一言目から映画の感想で始めるようにしています。

映画の背景だとか、監督だとかの説明も基本的にしない。調べればわかる事だし、元よりその映画を観てない人には何言ってんだか分からないことしか喋ってないので。

できるだけゆっくり喋る

誰だかもわからんオタク(俺)が早口でまくし立ててると気持ち悪いからです。

可能なかぎりは落ち着いて喋ろうとしていますが、やっぱり面白かった部分を喋ろうとすると熱が入ってしまってどんどん早口になっており、我ながら気持ち悪いです。

できるだけ気を付けたいと思ってはいます。

気のきいたことを言おうとしない

大して面白くない人(俺)が面白いことを言おうとしても大体失敗するからです。できるだけフラットに思ったことだけを喋るように心がけています。

自分がよそのポッドキャストを聴く側に回った場合を思えば、映画自体が面白ければ大抵の意見は面白く拝聴できるので、下手なサービス精神は発揮しないに限ります。

細かいことでもとりあえず言っとく

これはさっきも書いた通り、鑑賞直後の細かい感想を残したくてポッドキャストをやっているし、他人の細かい感想を聴きたくてポッドキャストを聴いているからです。

俺、『マリグナント』の感想「妹が車を停める位置が崖ギリギリすぎる」と、映画の内容からしたらものすごくどうでもいいことを言っているんですが、他のポッドキャストを聴いていたら同じことを言っている人がいてめちゃめちゃ共感したんですよね。

「そうそう! それ俺もそう思った!」となるのが他人の感想を読み聞きする醍醐味のひとつですし、それは細かければ細かい程よい。

大抵そういった部分は文章化するとそぎ落とされてしまう(めんどくさいから)ので、駄話ポッドキャストの出番となるわけです。

ひょっとしたらどこかに「『G.I.ジョー』のイ・ビョンホンめっちゃ白い」とか「『ジャッリカットゥ』で牛の足がぐねる瞬間がクローズアップされるのクソ笑う」とかに激しく首肯している人がいるかもしれないと思うととても楽しくなってきます。

音声での鑑賞記録、思っていたよりもずっとハードルが低く、作ってしまえば「ながら」で聴けて楽しいということがわかったので続いております。

ポッドキャストとして公開するために聴き苦しい部分は削って編集するので、あとで自分で聴き返す際のストレスが減るのも良いところ。

いわゆる「読書ノート」や「映画ノート」を音声でやっているようなものですが、より生っぽくてくだらない内容が残るのでおすすめです。

薄荷と煙管

俺にはかつて癖になっていた奇行があります。

「ペットボトルの蓋の下のリングを外してガムのように奥歯で噛みしめ続ける」

適度に硬かったり弾力のあるものを嚙んでると落ち着くんですよね。犬かな。

もちろん噛んでると喋れないので、会社でこれをやっていると「話しかけられると口からベコベコになったペットボトルのリングを吐き出す人」になってしまい、恥ずかしくて自然と止められたのですが。

奇行が収まったとはいえ、何かを齧って歯に適度な圧を加えていると落ち着くという性癖自体は変わらず、ストローなどをよくベコベコにしてしまうので、代わりに煙管でも咥えてみるか、と思ったのが今回の発端です。

まあ普通は煙管の吸い口は噛まないとは思いますが。

当たり前ですが、Amazonで普通に買えるのでちょっとびっくりしました。普段生活しててお目にかかることはまずないし、ゴエモンが人をぶん殴る道具ぐらいのイメージしかなかったので。

俺はたばこは吸いませんが、どうせなら最近の加熱式たばこのようにニコチンレスのフレーバーを入れられないかと思って検索したら、ハッカ結晶を火皿に詰めて吸うということをしている人が結構いました。

「ハッカ結晶」「薄荷脳」などで検索しますと、画像のように警察に捕まる感じしかしない結晶(捕まりません)が買えますので、これをポキポキ折って火皿に詰めます。

棒状の結晶なので、詰める際に穴がふさがらないように先に耳かきの柄を突っ込んでいます。爪楊枝でもなんでもいいし、穴を避けて結晶を詰められるなら特にいりません。

詰めたら軽く火であぶってやると、結晶同士が溶けてくっついて、ひっくり返しても火皿から落ちなくなります。

で、吸う。

少量の結晶の隙間を通った空気にめちゃめちゃメンソールの清涼感が乗ってきます。メンソール煙草より余程効く。目は冴えるし鼻は通るしでなかなか良いんじゃないのこれ。

しかも全然減らない。結晶から直接メンソール成分が気化してるので一応減りはするはずなんですが、数日程度じゃどれだけ吸っても見た目は変わらず、清涼感もなくならない。無限メンソール。

これ、たぶん最初に買った50gのハッカ結晶一袋で一生吸えてしまいます(食品添加物なので賞味期限はありますが)。

死ぬほど結晶が余るので「味変」じゃあないですが、加熱式たばこ同様、フルーツフレーバーにもできないかと、製菓用のオレンジエッセンスを買ってみるなど。

結晶の上に一滴垂らす。これも悪くない。しっかりオレンジフレーバーがついて、オレンジミント味になりました。ただ、こちらはメンソールの清涼感と違って鼻が慣れてくるので連続して吸い続けていると分からなくなる感じ。

また、見ての通りですが、エッセンスの主成分であるアルコールにハッカ結晶が反応して、画像のようにボワっと発泡した感じに膨らみます。

これは要するに結晶がアルコールに溶けて固まっている状態なので、フルーツフレーバーが感じられなくなったら適宜エッセンスを足す、ということをしているといずれは溶けてなくなっていきます。

良かった、消費できる。

ある程度溶けると火皿にくっついていた部分も溶け落ちて結晶が落ちるようになるので、そうなったら交換の頃合い。

新しい結晶でプレーンなメンソールを味わってもいいし、山ほど種類のある別の香料を試しても面白そう。

元々は咥えて軽く齧ること自体が目的でしたが、思いのほか嗜好品としても楽しめてしまっているという現状です。俺は鼻炎持ちなので鼻が通るのもうれしい。

なので、仕事中も大体咥えてます。減らないし。

さすがにこれを咥えたままオンライン会議のカメラをONにはできないけどね。

小さくて高っけえ冷蔵庫を買ったんですよ

在宅で仕事するにあたって、箱買いした炭酸水をよく飲みます。

自分のデスクから階段を上り下りしてキッチンまでボトルを取りにいくのも面倒だし、まとめ買いしたストックを置いておく場所も欲しかったので、最近発売されたばかりの日立のChiiilを買いました。色はグラファイト。

デザインコンセプトだとかクラウドファンディングがどうのといった能書きは適当にググって調べてください。

というか、購入前にググっても能書きしか出てこなかったので今これ書いてます。現状、実店舗での展示はほぼないし、WEB上にも情報なさ過ぎて購入するかどうか相当逡巡したので。

容量とか形状が俺のニーズど真ん中だったんですが、何しろ高価い。これより容量の大きい1ドア冷蔵庫が2万円足らずで買えるのに対して、これ8万もするんですもん。なんなら下手なファミリー用冷蔵庫より高価いですよ。

あるのはマットな質感、直線的でシンプルなデザイン。要するに「かっこいい」ということだけに余計な金が払えるかどうか、という話になります。

めちゃめちゃ悩みましたが、結果としては満足しています。

見た目は公式サイトを見ればわかる話なので質感の話をしますが、外側から見える部分は全部樹脂でできてます。ベースは黒で、カラバリになる前面/天面のパネルはマットな表面処理がされた一枚板の樹脂。

なんとなく塗装された金属パネルをイメージしていたのですが、耐久性を考えたら無塗装でいけるカラーの樹脂にするのは妥当なところなんでしょう。

プラスチッキーな光沢はなく、見た目上の高級感は十分ありますが、重量的にも触感的にも軽いので、実際触ると「あ、プラだな」という実感は否めません。

まあ購入動機の半分以上は見た目なので、見た目だけよけりゃいいじゃん、って話ではあります。

あと磁石がくっつかないので、水道屋のマグネットを貼ってデザインを台無しにするという遊びはできません。

そして購入のもう一つの決め手になったのが、横に広く、奥行きが狭い薄型形状。

手前にある棚は無印のスタッキングシェルフですが、奥行き28cmのシェルフに対してせり出しはこんなもん。個人的には許容範囲。

放熱機構が工夫されていて、背面をぴったり壁につけても大丈夫というのも大きいです(その分左右は少し隙間をあける必要あり)。

容量に対して背が低いのもいいところで、天面が物置きとして手頃な高さ。

ひとまずラブリコの突っ張りアジャスターを使って上空に棚を組んで、入りきらないペットボトルと常温保存の酒置き場にしてみました。

たぶん冬場は天面上に湯沸かしポットとかを置くと思います。

 

さて中はどうでしょう。

特徴としては入れたものが冷えるという機能があります。あと黒いです。

炭酸水以外はミチミチに酒が詰まっておりますが、どれだけ入るか試すために何だかかっこいいと思った缶瓶飲料を買いまくった結果です。俺は基本的にそれほど量は飲めず、普段は3日に一回程度、350ml缶のビールを一本も飲めば十分なので、多分写ってる酒を全部消費するのに2~3か月はかかります。バカなんでしょうか。

ともあれ容量は十分で、ストック飲料置き場としての目的は十二分に果たしているとは言えます。

ちなみに上段、缶がかっこいいってだけで買ってきたブリュードッグのビールはどれもめちゃめちゃ美味しくてめっけもんでした。どれも香りがとても良い。切らしたらまた買う。

あと、関東では北野エースでしか買えないという「瀬戸内のはっさくチューハイ」も美味かったのでこれもリピートします。

あとはまだ飲んでないので分かりません。

 

冷蔵庫の話に戻ります。

オフィシャルサイトの画像を引用させてもらいましたが、見ての通り上中下段で奥行きが違います。薄型化のために冷却機構を内側に収めた結果と思われます。

各段の高さに関しては棚板を付け替えることで変更できますが、ビミョーに使い勝手の悪い部分がいくつか。

まず下段。左側のハイネケンを見ての通りですが、奥行きが狭いのでビールの小瓶やペットボトルは互い違いに入れるしかありません。

容量的には些細な話ですが、いまいちスッキリしないな、という感じ。

じゃあ奥行きのある中段に逃がせば、と思ってもギリギリ入んねぇのですよこれが。

通常の500mlペットボトルでいっぱいいっぱい。コカ・コーラ プラスとかのちょっと背が高いペットボトルも入りませんでした。

上段の棚板を下げてそちらに置こうとしても入りません。中段がものすごく狭くなっても構わないので、もう少し上段の棚が下げられればな……と思いました。

で、また下段の話になりますが、四合瓶がこれまたギリギリ入りません。

うーん、もどかしい。

一応中段の棚の手前は外れるようになっていて、四合瓶どころか一升瓶でも入れられますよって売り文句ではあるんですが、そのために中段を半分殺すのはあまりにもコストパフォーマンスが悪く感じてしまいます。

最上段に寝かせれば入るんですが、折角こんな格好つけた冷蔵庫使ってんのに、開けた時にラベルが見えないのは面白くない。

これはワインでも同じことが言えそうです。俺はワインはあまり飲みませんが、瓶のサイズは大体四合瓶と同じぐらいか、ちょっと大きいイメージです。だとしたら収納の微妙さも似たり寄ったりでしょう。

温度帯を切り替えて適温保存ができるセラーとしても使えるようになってますが、少なくともワインセラー・日本酒セラーとしては専用のものを買った方が良いかと。その方が余程安くて使い勝手の良いものが手に入ると思います。

 

以上。

諸々詰めの甘い部分もありますが、「居室に置いて違和感がない&冷却可能な大容量ストッカー」という俺の個人的ニーズは完全に満たしてくれたので満足しています。駆動音も近づいて耳を傾けなければわからない程度には静かです。寝室に置いても全く問題ないでしょう。

サブ冷蔵庫は食材のスペースを考慮しなくていいので、諸々の酒をジャケ買いして好き放題詰め込むのが楽しいです。それで美味しい酒に出合えれば儲けものだし、いろんな缶や瓶を並べるだけでも本棚を眺めているようで楽しいという、居室に置く冷蔵庫ならではの楽しみかたもあります。

手放しで人におすすめできるものではありませんが、個人的には買って良かったと即答できます。

もっとも、小遣い口座は枯れたのでしばらく節制が必要ですが。

机周りの最近買ってよかったやつ

リモートワークで自室の机に向かって座っている時間が多くなり、環境改善と称して色々買っていたらちょっと楽しくなってきちゃったので書きます。

電動スタンディングデスクとかアーロンチェアは出てきません。

照明

まず机上がなんとなく暗い気がしたので正面にダクトレールを足しました。壁に直付けは嫌だったので2x4材用の突っ張りアジャスターを使ってこんな感じで(ロフトなので天井低い)。

この手のアイテム、ラブリコとかディアウォールとかウォリストとかカインズホームのとか、いろいろあるんですが、選んだのはこれ。

通常のラブリコはプラスチックで安っぽいのがあんまり好きじゃないんですが、これは艶消しブラック塗装のアイアンでかっこいい。

これで2x4材の突っ張り棒を2本作って、横向きに材を取り付ければ、ダクトレールの台座の出来上がり。

2x4材はブライワックスで塗装、横材の取り付けはラブリコのジョイントパーツを使いました。

ジョイントパーツは本来、短い木材を縦に継いで延長するためのものなのでこういう使い方は保証外なのですが、別に重いものを乗せるわけではないので強度は十分にあります。質感を揃えたかったので同じシリーズのパーツで構成した次第。

で、スポットライトを、こう。

手元は読書や書き物をするには十分な程度に明るいものの、人間、壁や天井が暗いと部屋全体を暗く感じるそうで、そこを照らす形。もちろん間接照明で手元もより明るくなります。

最近はダイソーでも短いのが売ってますが、こういうコンセントや引っかけシーリングから電源を取るダクトレールは電源ON/OFFができないのがほとんどですから、デスクライトとして使うにはコンセント側にスイッチを挟み込むか、ネットワーク制御できるスマートランプを使う必要があります。

うちはE26/E17バルブの照明はすべてHueにしていて、今回もそう。Google HomeでON/OFFや明るさを制御しています。

サイズ的にE17バルブのスポットライトにしたかったのでHueになりましたが、E26(普通の電球)サイズだと、最近はSwitchBotがフルカラーで安いスマートランプ出してるんですよね。

今後追加や買い替えがあるときには試してみたくなる価格設定ではあります。この影響でHueももう少し安くなるとありがたいのですが。

そしていくらでも照明を増やせるのが面白くなっちゃったので、サイドにもダクトレールを追加しました。ラブリコ水平突っ張り。言うまでもなくこんな使い方は保証外なので落ちても自己責任です。でも実際問題、ちょっと叩いたぐらいじゃビクともしません。

結果として、俺の机上は今、電気スタンドも含め7個の電球に照らされています。やりすぎ。

あとダクトレールフックを追加して、会社のノートPCをつなぐときのHDMIケーブルとLANケーブルを吊っています。これ、ケーブルを使わないときの収納としてはかなり便利なのですが、もうすこしカッコいい方法は考えたいところです。

つーことで、今のディスプレイ周りの照明はこんな感じ。ディスプレイ裏にも裸電球を一つ入れているのがポイントで、手元の明るさはほとんど変わりませんが、壁・天井が広く照らされることで体感的には相当明るく感じるようになります。

2022.05.07 追記
机周りの最近買ってよかったやつ - 機械

ダクトレール壁付けするならカバーしてね。

2022/05/06 16:08

しました。

机周りの最近買ってよかったやつ - 機械

ラブリコはギチギチに設置しても冬の乾燥で木が収縮して突然落ちることがある(経験済み)ので、階段に面した方の設置は危ないよ。階段下の床か階段を使ってる家族に激突する可能性がある。

2022/05/07 07:57

なるほど。収縮こわい。

なので結束バンドとワイヤー圧着の2段構えでガードしてみました。

じわじわ緩んでいったとしても、いきなり落下はせずに反対側がズリ落ちて軟着陸する形。仮にラブリコが突然爆発四散して保持力を完全に失い、階段側に落下したとしても結束バンド一本で木材と照明をぶら下げてキープできるだけの強度はあります(実験済み)。

さらにレールの電源ケーブルも支柱に固定。これでも落ちるならもう電源ケーブルがブッちぎれるか柱が折れるかしてると思うのであきらめます。

まあ既に書いてますが、この水平つっぱりは完全に自己責任でやってますので、真似しないほうが良いです。

追記ここまで。アドバイスありがとうございました。>コメント

Fargo STEEL TAP

続けて電気モノ。デカくて重くてケーブル太くて置き場所が非常に限定されそうなスチール製の電源タップ。かっこいい。

家を設計した段階で机を置く場所は決めていたので、机直近のコンセントは天板上の高さのものも含めて計8口を用意。それでもタップなしだと簡単に埋まるし、ノートPCやタブレットを充電しつつ使う等の一時的な電源は壁際ではなく手元から取れると便利です。

つーことで振り回したらば鈍器としても使えるであろうこのタップ。存在感を全力でアピールするこれは、床や机の上にだらしなく転がっていても「そういうオブジェです」と言い張れる強引な説得力に満ち満ちています。

小さくシンプルで周りに溶け込む電源タップもいいですが、こんなふうにプラグが刺さりまくったら、びろーんとケーブルが広がってどうせ見苦しくなるんですから。目に見える・手の届くところに置くんだったらケーブルよりも強い主張でいろいろと有耶無耶にしてくれるコイツがいい。

でも使ったらケーブルは挿しっぱなしにしないで片づける。結局ケーブルボックスやらオーガナイザーを使うよりも、片づけるのが一番すっきりするという身も蓋もない話。

デカくて重い分、片手でプラグを抜き差ししやすいのが何気に便利で、都度ケーブルを片づけるのも楽です。

無印良品 ポリプロピレンウェットシートケース

うちの会社の社食、コロナ対策で全テーブルにアルコール除菌シートが備え付けられるようになって、各自で拭いて消毒してねって形式になってるのですよね。

それが非常に便利だなと思いまして。自宅なので別にコロナ対策というわけではなく、単純に細かいゴミやほこりを拭う濡れ布巾替わりとして。作業の前後に使い捨てのウェットシートでさっと机を拭き清められるのは非常に手早く合理的。

このケースは店舗を物色していたときに社食のことを思い出して購入したのですが、ネットで買える他メーカーの類似品のどれよりも大幅に安くて、結果として一番良い選択になっていました。

これはさっきの電源タップとは真逆で、特徴を消した佇まいが常備アイテムとして完璧といえます。

要するにこのデザインのパッケージが常に机上にあったら嫌だ、って話ですね。(※公共の場に置くにはとても良いデザインだと思います)

あらゆるものを無印で揃えてしまった際のナチュラル感は性に合わないのですが、なんだかんだでそのシンプルさは便利。存在を希薄化したいものは無印で探すと良いという知見を得ました。

あと仕事中に飲むお茶もよく買う。

DULTON MINI PEGBOARDとMAGNETIC HOOK

俺はペグボード(有孔ボード)という収納用具の簡素さが結構好きでして、自宅では工具の整理やヘッドホン・ケーブルその他の置き場として利用しています。

いわゆる「見せる収納」の中でも、センスがあまりいらないというか、雑に吊るしてもそれなりに片付いている気がする(気がするだけ)のがいいところ。しまい込んで場所が分からなくなるということもないし。

で、雑貨屋で見かけて即日購入したダルトンのミニペグボード。

2年前ぐらい前まで「置く」小型ペグボードのデスクオーガナイザーというのはキングジムのPEGGYぐらいしかなかったと思うのですが、いまやめちゃくちゃ多くのメーカーから発売されてますね。

安価かつカスタムの効く、リモートワーク需要にはまった製品ということで伸びているのだと思いますが、各社が白か黒、たまにパステルカラーで商品を展開する中、こんなド原色でラインナップをキメているのはDULTONぐらいのもの。

Fargoの電源タップを買って気づいたんですが、俺はどうもスチール粉体塗装の雑貨が好きなのですね。定番の艶消しブラックはもちろんのこと、うっすらツヤのある赤やオリーブドラブなんかも超好き。キズが入っても錆びが浮いてもかっこいい。

要するに工具箱の色や質感に馴染みがあって、雑貨もそういうものを買いがちなのです。ネットで探すと「アメリカン雑貨」という枠にくくられるのはどうかと思いますが。

ともあれそういう趣味ゆえに真っ赤なやつを購入。実をいうと最初は赤とどちらにするか悩んだ末にRAWカラー(クリアー塗装)を買ったのですが、黒い机上ではあんまりにも地味だったもんで買い替えた経緯があります。

なお、RAWカラーもリビングで「帰ったら財布とか鍵とか携帯とか全部置く場所」の収納としてきちんと活躍してますよ。カップやトレイをつければ普通にペン立てや小物置き場として使えます。

このペグボード、穴のピッチは一般的なペグボードと一緒で25mm。なのでフックも汎用品が使えるのですが、穴は大きめなので横に二穴使うタイプのフックの方が安定します(一穴だったり縦に二穴だと横方向にグラグラする)。

最近はダイソーでもペグボードを扱っていますが、周辺商品のラインナップとしてブロンズカラーのフックが安く売られているのでありがたいですね。ときどき専門メーカーよりツボを押さえた商品を出してくるから100円ショップは面白い。

そしてこのペグボードはスチール製で磁石がくっつくので、フックに下げられないメモや写真なども貼っておけます。

磁石もDULTONのを合わせて購入。この無駄なリベット打ちの板金タグとかいいですね。機能的には全くの無意味ですが、こういうのが好きなんだよ、工業製品してて。

フックは飾りとはいいませんが、垂直のボードに付けてると吊り下げられるのはキーホルダーぐらい。ちょっと重いものを下げるとズリ落ちます。

とはいえ、そこそこ強力な磁石なので、フックはつまんで引っ張る場所としても便利です。

あと、写真の赤のボードは3枚連結してますが、基本セットは2枚です。後から何枚でも色違いでも追加できる形。

気に入ったので後から1枚追加したものの、特に吊ったり貼ったりしたいものがなかったので、今はコレクションしてる嫁さんの落書きメモとか、その辺にあった栞や絵葉書なんかを貼っています。

あさつき。

必要に応じてメモを貼ったりするために遊ばせとくスペースという感じです。

山崎実業 テーブル下収納ラック タワー

PCでゲームするために有線のXBOXコントローラーをつないでいて、その置き場所が欲しかったんですよね。

天板下に取り付けるちょい置き用ラックの類はさまざまなバリエーションのものが売られていますが、これはスリットが入っていてティッシュを下から出せるというもの。

ティッシュケースは15年ぐらい前に思い切って買った(ティッシュケースに4000円オーバーはかなり頑張った)DUENDEのSTAND! STEELをいまだに愛用していますが、机が広いんで作業ポジションによってはちょっと遠いなと感じたりすることもあり。

ということでSTAND! の逆サイドにこれを取り付けることにしたわけです。

置くのは本当にXBOXコンとティッシュだけ。求める機能を完全に満たしております。椅子を移動させたり、腰を浮かしたりしなくてもよい場所に常にティッシュがある。今の時期、どうしても花粉にやられがちなので箱ティッシュは多すぎて困ることはありません。

Amazonレビューでは逆さまにしたティッシュが自重で破れる、出しづらいとの評価が散見されましたが、うちで使ってる最安ティッシュ「はなびより」は、ひと箱あたりの枚数が少なくティッシュの圧縮が弱いせいか、全く問題ありませんでした。

このラックは普段使ってるティッシュボックスを逆さまにして試してから買うといいです。俺はそうしました。

おわり

ほぼただの雑貨の話だった。

『マトリックス レザレクションズ』、俺は駄目でした ー 最近観た映画の感想

ラストナイト・イン・ソーホー

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服飾デザイナーになることを夢見てロンドンの専門学校へ進学してきたエリーは一人暮らしを始めたソーホーのアパートで1960年代の夢を見る。

エリーは夢に見た女性・サンディとシンクロし、精神的に現代と過去を行き来する。憧れの60年代ロンドンを楽しむエリーだったが、やがてサンディは夜の街に沈み、シンクロしたエリーも恐怖体験に遭遇することとなる。

心霊体験系のオカルトホラーではあるものの、怖さの質は一般的なホラーと全く違う。パンイチの男の霊とか、心霊現象はむしろちょっと笑っちゃうぐらいなんだけれど、それでも上映中ずっとじんわりまとわりつく不快感がある。

この映画が見せてくる恐怖って主に女性に対する性的搾取なんですよね。女衒に騙されて身を持ち崩していくサンディと、それに引きずられて憔悴していくエリー。

華やかなソーホーの風景に反して二人ともどんどん目が死んでいく。エリーもサンディも夢いっぱいに目を輝かせているところから始まるからそれが本当にしんどい。

俺は観ている間、完全に二人の少女側の目線になってしまっていたので、「男」そのものが怖い、気持ち悪いという普段全く感じ得ない恐怖感というか居心地の悪い不安を覚えました。それは俺にとっては新鮮な感覚で、ある意味最近観た映画の中では一番怖かったと言っていい。

レトロなロンドンの映像は文句なく美しい(最高!)し、エリーとサンディの行く末も良い落しどころだったと個人的には思うのですが、この系統のイヤさはしばらく味わいたくないので再見は当分なし。

ちなみに嫁さんは「程度の差はあれ、女は常にこういう類の不快感を感じているのでそれほど怖くなかった」そうです。日常がハードモードすぎる。

ジョジョ・ラビット

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10歳のジョジョは、イマジナリーフレンドの「アドルフ・ヒトラー」と仲良し。彼に励まされながらヒトラーユーゲントで立派なナチスの兵士になることを夢見るのだった。

ある日、彼は母に匿われて自宅に隠れ住んでいたユダヤ人の少女を見つけてしまう。

なるほど『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』を撮ったタイカ・ワイティティっぽい、と思わせるコミカルな演出と、淡い色彩のポップな画作り。加えて本人演じる妄想上のアドルフ君ときたせいで、俺はエンドロールが始まるまでこれが現実を描いた映画だと気づかなかったのです。

子供が憧れるイマジナリーヒトラー、イマジナリードイツ、イマジナリー戦争だったりするんじゃないかなーとぼんやり思っていたら、ネタバレ・種明かし的なものは何一つなくスッと終わって「これガチなやつじゃん……」とようやく気付いたという。

そう勘違いするぐらいにはポップでとぼけた登場人物たちのおかげでだいぶマイルドになってはいるものの、敗戦間際のドイツで起きている現実は相当にショッキング。

「全部妄想」説で頭がボケていたのでスルッと観れてしまったようなところはあるなぁ、と思います。おかげで現実と認識したときとのギャップが映画終了時にまとめて来てしまってダメージでかかったのですが。

こういうクソ重たい戒めをスムーズに叩き込んでくるのが創作の力というものか、とボンヤリ考えていたのですが、そうこうしているうちに現実の世界情勢の方がとんでもないことになっており、日々超絶ヘビー級のニュースが飛び込んでくる始末。こういう方面で現実が強すぎるの本当勘弁してほしい。

会うたびにジョジョとハグをする親友のヨーキー君が癒しでした。デブ眼鏡の親友キャラにハズレなし。

マトリックス レザレクションズ

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評価が大きく割れてますね。俺は駄目な方でした。もう全然駄目でした。

メタネタってのは隠し味、エッセンス程度に使うから良いのであって、こうも全編にこってりブチまけられたら鼻についてしかたがない。

「親会社のワーナーの意向だから続編を作らないわけにはいかない」「マトリックスといえばこれだろ、バレットタイム!」「スピンオフで会おう!」

これ全部作中の人物が言うんだよ。皮肉やジョークにしたって格好悪すぎでしょ。内輪受けの同人誌を読まされてる気分だよ。

あまりにも有名になってしまった赤い薬と青い薬のくだりが陰謀論界隈に勝手な解釈で使われたりして、旧作品の扱いに関しては監督が忸怩たる思いを抱えていた、というのは後から知りました。

だから「『マトリックス』はそんな映画じゃないんだよ!!」と再構築した気持ちは分らんではないけれど、焼き直すにしたってもっとスマートなやり方があったんじゃないの、と思います。

再びマトリックスに囚われたネオが赤い薬で現実を知るまでの流れとか、モーフィアスとの修行とか、どうしても「それもう観た」となるし、あれほど斬新で世界中に衝撃を与えたアクションはなーんかもっさり。

スーパーヒーローではないネオを描きたい意図はわかるけれど、それにしてもごちゃごちゃしたカメラワークで全然面白くねぇのですよ。20年分の進化を見せろとは言わないけれど、旧作の馬鹿馬鹿しい程の中二病アクションクオリティは保って欲しかった。

「監督が描きたかったものはそれではない! 否定派はテーマを読み解けていない!」という意見も見ましたが、読み解けてようがなかろうが俺が観たかったもんとは全然違うんだもんよ。面白くなかったって言ったっていいでしょ。

勝手に期待して勝手にがっかりしただけですよ。評論じゃないただの感想なんてそんなもんです。

良い所を挙げるならばクライマックスの映像とか、現代的にアップデートされた結末は好みだったのでちょっと評価が上がったのですが、ポストクレジットでどん底に叩き落とされました。

自虐や皮肉は作品の外でやってほしい。ほんとに。

好きな人には悪いけど、俺はこの映画はイヤイヤ作ったようにすら見えちゃったよ。

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絶賛されている『アイの歌声を聴かせて』が俺には全く刺さらなかったという話とか ー 最近観た映画の感想

ドロステのはてで僕ら

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理由は不明だが、カフェに置かれたモニターが突然「2分間の過去と未来を繋げるテレビ電話」となった。

このモニターの存在を知ったカフェの常連客たちが、なんとかしてこれを有効活用できないかと考える、というSFコメディ。

アイデアはめちゃめちゃ面白いし、話も綺麗にまとまっているとは思うけども、個人的にはそれ以上のものではなかったな。

出演者が劇団の人たちなので、演技も演出もまんま演劇なのですよね。折角ややこしい設定を映像で伝えられるというメリットがあるのに、全部口で喋っちゃうからどうにも冗長。演技も舞台上から遠くの客に見せるスタイルが板についちゃってるせいか、どうしても大げさで不自然に思える。

結果として過剰なリアクションによる不思議テレビの説明だけで短い上映時間の半分以上(体感)を費やしている感じ。勿体ない。

後半に起こるトラブルをこのテレビを使って解決するのがこの映画のメインですが、辻褄合わせをしているだけのあっさりしたものに思えてしまうのも残念。

この辺も演劇ベースで分かりやすさを優先した結果なのかもしれないけれど、俺には合わなかった。逆に演劇好きな人は楽しめるのかもしれない。映画というより映像化された舞台演劇なんですよね。

「2分後の未来」ってものすごく荒木飛呂彦的で面白そうだと思ったんだけどなー。作中では「藤子不二雄のSF短編」って言ってたけどね。

あとメイキング映像で全編スマホで撮ってるのが分かって驚きました。それは素直にすごい。

アイの歌声を聴かせて

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タイムライン上での評価がものすごく高かったので上映終了直前に駆け込みで観てきたのですが、俺にはびっくりするほど刺さりませんでした。

極秘プロジェクトとしてAIロボットの素性を隠して高校に通うシオンと、AI研究者である母のスケジュールを覗き見してしまい、シオンの正体を知っているサトミ。

シオンは何故か「サトミを幸せにする」ことにこだわるものの、人間の幸せが何かがわからないシオンは突然歌いだすなどの奇行を繰り返し、正体を隠そうとするサトミは振り回される。

何も知らない無垢なAIが「幸せ」を学習し、サトミのみならず周りの人間を皆幸せにしていくハッピーハッピーストーリーなのですが、ちょっと登場する大人たちの頭がハッピーすぎなのでは、というのが率直な感想です。

シオンはサトミの母親が進退をかけたプロジェクトなんだけど、分かりやすく嫌味な悪役として描かれた支社長がプロジェクトを潰したくて仕方ない人なんですね。それに関して作中で説明されているのが「男社会で出世しているサトミの母親は妬まれている」「AIを怖いと思う人もいる」ぐらい。

前者は実験都市を作ってしまうような大企業がそのレベルかよ、としか言いようがないし、そもそも課長がミスしたら大喜びで潰しにくる支社長って何? 部下の出した成果が自分の手柄になる立場でしょアナタ。しかも相手はたかだかいち課長。支社長ともあろう者が一体何やってんの? ばかなの?

後者に至っては、終盤でサトミたちの邪魔をするガードロボットに対して「初めて機械が役に立った」とか言うんですが、そんなに機械が嫌いな奴がなんで先端AI企業で支社長やってんの? って話なんですよね。

社会通念に照らしてみると何故その立場に居られるのか分からないレベルの無能オブ無能が訳のわからない理由で邪魔をしてくる。この悪役がどう見ても嫌がらせのためだけに作られたようないい加減な造形なので俺はこの映画全体が茶番に思えてしまったのですね。

アホすぎる悪役というのはただのご都合主義と大差ないです。支社長じゃなくて出世競争をしているライバルの課長とかならまだ分からなくもないですが。

シオンはシオンで「みんなの幸せのために一生懸命なポンコツAI」という扱いなんですが、実際はあらゆる電子機器を一瞬でハックするオーバーテクノロジーマシンだし、それがサトミの幸せのためなら善悪問わずに何でもしかねないのも怖すぎる。

あるシーンで「純粋で健気なAIが迫害される」みたいな描かれ方をするんですが、人間がやったら普通に逮捕されるような事をやらかしてんだからそりゃそうだろと。ポンコツというより「超高性能なのに一般常識を持ち合わせないAI」なので、傍から見ればただの暴走ですよ。

なのでこんなAIを野放しにすんなよという意味では支社長に完全同意なんですが、先に書いた通りコイツにも全く共感ができないので、どこまでもストーリーが上滑りしていくし、こんなガバガバ極まるプロジェクトに進退をかけているサトミの母親もアホに見えてくる。

高校生の青春ストーリーや、人とAIの共存や幸せを追い求める主題を味わう以前に大人が揃いも揃ってダメダメ過ぎて全く入り込めませんでした。

とはいえ各所のレビュー評価は全体的に高いので、こう感じるのは俺の根性がねじ曲がっているせいだと思います。ホントすいません。

ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ

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「悪」「残虐」を標榜して、実際は懐いた大型犬のようにかわいい宇宙生命体を描いた前作『ヴェノム』。

各方面からの「思ってたんと違う」の声をものともせずに、続編ではさらにかわいさを積み増してくるじゃないの。まあ前作のあの内容から急にダーク路線に移行されても困るので予想の範疇ではあるけれど。

エディとヴェノムの共存生活もすっかり板について、親友どころかもはやラブラブカップルというブロマンス路線を押しまくり。

俺はこれはこれで支持。だってヴェノムめっちゃくちゃかわいいんだもの。マーベル映画で一番かわいいヒーローですよこの子。

ヴィランはカーネイジ、しかも中の人はウディ・ハレルソンということで凶悪・残虐成分はそちらで受け持ってくれることを期待していましたが、思ったほど強くないし案外あっさりしたもんでした。クロスオーバーを考えてMCU準拠にしているのか、人は死ぬけどほとんど映さないし。

カーネイジはヴェノムとスパイダーマンがふたり掛かりでようやく撃退するような強敵という認識(メガドライブに基づく知識)だったのでやや拍子抜けではありますが、これはもうバトルじゃなくてエディとヴェノムのイチャイチャとか、かわいいヴェノムのほっこりライフを観る映画として全然有りなんだよなぁ。とはいえ、これがダメだって人の言うことも良く分かります。

いちおうダークヒーローなので画は全体的に暗いけど、内容はとことん明るいお気楽ムービー。初めからそれを期待して観れば超楽しいんですけどね。

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ガッデム病院 『マリグナント 狂暴な悪夢』他 ー 最近観た映画の感想

皮膚を売った男

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プロポーズ成功の喜びのあまり「革命」という言葉を使った動画が拡散され、投獄されてしまった男、サム。国外逃亡して難民となるも、海外へ移動する自由はなく、家に帰ることも恋人に会うこともできない。

サムはある有名アーティストからの提案で、背中をキャンバスとして提供することにより自らを「アート作品」とし、国外移動の権利を得るのだった。

アート、つまりは物品扱いされ続けることによってメリメリ削れていく人間の尊厳をシリアの内戦と難民問題に絡めて描いていく。

最初は良い生活に浮かれるも、展示を経るごとにみるみる死んでいくサムの目や、家族とのネット通話越し日に日に悪化していくシリアの内情、シンプルに美しい光の使い方など、見るべきところは非常に多いのだけれども、オチがちょっと。

ハッピーエンドは好きだけど、無茶苦茶取ってつけたような終わり方をして、それまで結構真に迫ってた脚本がいきなり嘘くさくなってしまった。

どっかに怒られて付け足したん? ってぐらい結末が分からん。なんでこんな終わり方にしちゃったの。

サムが飼ってる猫は最初から最後までかわいいです。

マリグナント 狂暴な悪夢

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連日悪夢に見る殺人事件が現実にも起こりだす、というホラー。

いやこれめっちゃめちゃ面白い。同監督の『死霊館』は正直ピンと来なかったのですが、全く別タイプのホラー映画である、ということだけ書いときます。

ポスターがなんかすげえ怖いんですが、映画本編はあんまり怖かったり痛かったりグロかったりはしません。ひたすらにエキサイティング。面白カメラワークも素敵だし、でっかい音でビックリ系でもないのでホラー苦手でも結構観られるタイプ。

そしてわりかし想像したものと方向性が変わらない真相が待っているものの、訳の分からん迫力と面白すぎる映像で圧倒してくるパワー型エンタメ作品です。

ばっちり完結しちゃってるけど、作れるものならこの作品の登場人物や施設を使って同一ユニバース作品とか作って欲しいわ。

(「魔城ガッデムみたいな病院」の意)

レッド・ノーティス

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豪華キャストで予算の大半を使い切ったんじゃねーかって感じ。

FBI捜査官と大泥棒と峰不二子が世界を股にかけてわちゃわちゃやる大活劇なんだけど、風景がグリーンバックのCG丸わかりなんですよねぇ。なんなら処理甘くて緑色の輪郭が見えちゃってるとこまであるし。萎える。

お話自体は警官と泥棒が追っかけっこしたりピンチには協力したり、峰不二子においしいところを搔っ攫われたりするド定番のやつなので好きな人は好きだと思います。

囚人ディリ

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パーティで犯罪組織に毒を盛られた警官たちを移送するために運転手として動員されたのは、たまたま居合わせた囚人のディリ。釈放を盾に取られてしぶしぶ協力することになる。

前後左右に分厚いおっさんが圧倒的暴力で戦うタイプのインド映画。インドのアクション映画はこうでなくちゃいかん。

腕力一発、って感じのアクションシーンは久々にこういうのが観たかったんだよ、と心が躍る。ダンスや歌もなく、非常にストイックな作り。

なんだけど、アクションシーンまでが長ぇんですよね……。

犯罪組織の妨害をかわしてトラックを走らせるロードムービーパートと籠城して犯罪組織の襲撃に耐える警察署パートが交互に展開されるのだけど、トラックは全然進まないし、警察署襲撃犯は「ドアが硬い木でできてる」とか言ってバンバン叩くばかり。猿なのかこいつらは。

膠着状態の描き方に無理があるので敵も味方もすっげえ愚鈍に見えちゃうし、話も間延びしてる。あと3~40分は切り詰めてもいいんじゃねーかって感じ。

こっちは戦うおっさんが観れりゃそれでいいんですよ。不死身に過ぎるディリや巻き込まれたビリヤニ屋の兄ちゃんとかはいいキャラだったし、最後の大暴れも無茶苦茶で良かったので非常に惜しい。

配信されたら自分でカットしながらもっかい観たい。

グリーンブック

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基本的に「感動的なイイ話」みたいな売り出し方をされてる映画ってあんまり観ないんですが、観たら観たでイイ話だったのでイイ話だなと思いました。

(だいたいこういう感想になるのが避けてる理由)

 

1962年、いまだ差別の根強いアメリカ南部で黒人ピアニスト、ドクター・シャーリー(ドク)が演奏ツアーを試みる。運転手に雇ったのはイタリア系白人の男、トニー。

金持ちインテリの黒人と、腕っぷし自慢のガサツな白人。正反対の凸凹コンビのロードムービーなんてのはこのサイトに書いたものだけでも『ノッキン・オン・ヘブンズドア』『ローガン』『バジュランギおじさんと、小さな迷子』といった具合で枚挙に暇がありません。

こういう属性が全く異なる人間同士のロードムービーはお互いの距離感の変化が見所のひとつだと思いますが、この映画は友情友情とベタベタしておらず、しかし確実に生まれていく互いへのリスペクトがいい。

最初はナチュラルに黒人を差別していたトニーが、旅のなかでドクが受ける理不尽を目の当たりにして本気で憤るようになる。それはドクの人柄に触れたこと、ドクの演奏に惚れ込んだことによるものだけれど、その変化が本当に自然に描かれているし、黒人差別という大きなものに対する憤りでないのもいい。

つまりは「こいつは立派ないい奴なのになんでそんな扱いをするんだ」という、素直な感情。偏見のフィルターが外れて、当たり前のように一個の人間として見ていることがわかる。それが個人へのリスペクトに立脚しているというのが非常にいいんですね。

トニーは「個人を尊重する」という差別の対極にあるスタンスに自然と変わっていき、ドクもそんなトニーを信頼する。

演奏旅行が終わり、旅の間に生まれた良い関係が結実するラストも本当に爽やかでよい。なにより、やってることが等身大で説教臭くないのがよい。

そりゃアカデミー賞とるわこれ。

グリーンブック(字幕版)

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