薄荷と煙管

俺にはかつて癖になっていた奇行があります。

「ペットボトルの蓋の下のリングを外してガムのように奥歯で噛みしめ続ける」

適度に硬かったり弾力のあるものを嚙んでると落ち着くんですよね。犬かな。

もちろん噛んでると喋れないので、会社でこれをやっていると「話しかけられると口からベコベコになったペットボトルのリングを吐き出す人」になってしまい、恥ずかしくて自然と止められたのですが。

奇行が収まったとはいえ、何かを齧って歯に適度な圧を加えていると落ち着くという性癖自体は変わらず、ストローなどをよくベコベコにしてしまうので、代わりに煙管でも咥えてみるか、と思ったのが今回の発端です。

まあ普通は煙管の吸い口は噛まないとは思いますが。

当たり前ですが、Amazonで普通に買えるのでちょっとびっくりしました。普段生活しててお目にかかることはまずないし、ゴエモンが人をぶん殴る道具ぐらいのイメージしかなかったので。

俺はたばこは吸いませんが、どうせなら最近の加熱式たばこのようにニコチンレスのフレーバーを入れられないかと思って検索したら、ハッカ結晶を火皿に詰めて吸うということをしている人が結構いました。

「ハッカ結晶」「薄荷脳」などで検索しますと、画像のように警察に捕まる感じしかしない結晶(捕まりません)が買えますので、これをポキポキ折って火皿に詰めます。

棒状の結晶なので、詰める際に穴がふさがらないように先に耳かきの柄を突っ込んでいます。爪楊枝でもなんでもいいし、穴を避けて結晶を詰められるなら特にいりません。

詰めたら軽く火であぶってやると、結晶同士が溶けてくっついて、ひっくり返しても火皿から落ちなくなります。

で、吸う。

少量の結晶の隙間を通った空気にめちゃめちゃメンソールの清涼感が乗ってきます。メンソール煙草より余程効く。目は冴えるし鼻は通るしでなかなか良いんじゃないのこれ。

しかも全然減らない。結晶から直接メンソール成分が気化してるので一応減りはするはずなんですが、数日程度じゃどれだけ吸っても見た目は変わらず、清涼感もなくならない。無限メンソール。

これ、たぶん最初に買った50gのハッカ結晶一袋で一生吸えてしまいます(食品添加物なので賞味期限はありますが)。

死ぬほど結晶が余るので「味変」じゃあないですが、加熱式たばこ同様、フルーツフレーバーにもできないかと、製菓用のオレンジエッセンスを買ってみるなど。

結晶の上に一滴垂らす。これも悪くない。しっかりオレンジフレーバーがついて、オレンジミント味になりました。ただ、こちらはメンソールの清涼感と違って鼻が慣れてくるので連続して吸い続けていると分からなくなる感じ。

また、見ての通りですが、エッセンスの主成分であるアルコールにハッカ結晶が反応して、画像のようにボワっと発泡した感じに膨らみます。

これは要するに結晶がアルコールに溶けて固まっている状態なので、フルーツフレーバーが感じられなくなったら適宜エッセンスを足す、ということをしているといずれは溶けてなくなっていきます。

良かった、消費できる。

ある程度溶けると火皿にくっついていた部分も溶け落ちて結晶が落ちるようになるので、そうなったら交換の頃合い。

新しい結晶でプレーンなメンソールを味わってもいいし、山ほど種類のある別の香料を試しても面白そう。

元々は咥えて軽く齧ること自体が目的でしたが、思いのほか嗜好品としても楽しめてしまっているという現状です。俺は鼻炎持ちなので鼻が通るのもうれしい。

なので、仕事中も大体咥えてます。減らないし。

さすがにこれを咥えたままオンライン会議のカメラをONにはできないけどね。