インド映画の楽しいダンスシーンで泣きそうになる ー 最近観た映画の感想

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 最近の観賞ペースだと10本観終わるころには最初の方の作品の記憶が薄れているので、今後はもう3本づつぐらいで感想書こうと思いました。どうせ備忘録だし。

ヘッド・ショット

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「ザ・レイド」が面白いと聞いたんだけど、サブスク観放題の中にはなかったので、同じくイコ・ウワイスがシラットでなんかいい感じに戦うっぽいこれを観るなど。

 終始格闘してるのでバトル自体が趣味に合うかどうかなんだけど、俺は良くわからんかった。殴り合いでも結構リアルに血まみれになったりする割には妙に溜めたテレフォンパンチで殴り掛かったりする。(そんで避けられる)

 高速の打撃と捌きの応酬も実際すごいんだろうけど、素人目にはぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちぺちとじゃれ合っているようにしか見えないという問題が。

 カンフー映画や時代劇のような、殺陣における良い嘘くささ、ハッタリ・外連味みたいなもんがあんまりこなれてない気がしました。それがリアルさなのかも知れんけども。

 それでふと思い出したんだけど、俺スターウォーズシリーズの殺陣シーンも眠くなるんだよね。当時劇場で観たエピソード3でオビワンとグリーバスが戦ってるあたりで意識を失って、気づいた時にはアナキンが闇落ちしてたという。

 要するにこれはもう本当好みの問題でしかないというお話。映画が悪いわけじゃないです。

シャークネード ラスト・チェーンソー 4DX

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 5よりはマシになってたけど、やっぱ普通のクソ映画に落ち着いちゃった感じだなあ。名作がシリーズ化すると3あたりで凡作になるというのはよく観る光景ですが、クソ映画もシリーズ化すると凡庸な映画になるんだな……。自信たっぷりにつまらんギャグを見せられてる感じが鼻につく。

 過去に遡ってシャークネードの起源から叩き、世界からシャークネードを駆逐するストーリーなんだけど、シャークネードはただの舞台装置と化していて、もうパニック映画の面白さじゃないんだよね。

 エクスカリバーを引っこ抜いたら案の定チェーンソーだったのと、シャークネードが消滅した平和な世界で1の冒頭に戻る完全ハッピーエンドは良かったです。 

ハッピー・デス・デイ

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 ポスターデザインに反して、めっちゃくちゃ明るく楽しいホラー。これ面白いよ!

 誕生日の夜、キャラクターマスクの不審者に殺されるヒロイン。だが気づくとその日の朝にタイムリープしているのだった。死ぬとやり直しになるループもの。最近は珍しくもないけれど、これはヒロインの行動が最高なんですよ。

 最初は夢かと思ったものの、2~3回死んだあたりで現実を認識すると、死のループから逃れるために始めるのはしらみつぶし。自分に恨みを持ってそうな人間をリストアップして、自分が死ぬ瞬間まで監視する。自分殺害の瞬間のアリバイを自分で確認するという、なんともタフな捜査方法。

 何度も同じ一日を繰り返すうちにだんだん開き直って全裸で学校を練り歩いてみたり、自分から容疑者に襲い掛かってみたり。ホラーとコメディとミステリのミックス加減が非常にいい。

 序盤では性格最悪のクソビッチだったヒロインが、同じ出来事を繰り返し、多角的に経験することで自分自身や周りの人間との関係性を見つめなおし、どんどん良い娘さんに変わっていくところもいいし、そうして内面的にも「生まれ変わった」ヒロインが犯人の目星をつけていざラストバトル!! やったるぜ!! ってところで最高にテンション上がる。

 ついに殺されずに一日を終えたあとも一筋縄では終わらない終盤の展開も秀逸。あと音楽もいいね。ホラーらしくサクッと短時間で終わるし、エンタメ作品として完璧に近いんじゃないかこれ。

海底47m

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 吊るしたケージに入った状態で安全にサメを眺めるというダイビングのアクティビティでトラブル発生、ケージごと海底に落下してしまう。

 減りゆく酸素、途切れる通信、周囲は巨大なサメに囲まれて浮上することも叶わない。サメ映画らしい終始ピンチの息苦しい系映画で、まあツッコミどころも多いけど(素人が水中でボンベの繋ぎ替えなんてできんの? とか)俺は嫌いじゃない。

 それはそれとして、予めピンチの内容が分かっている作品の平和な導入部ってのがどうにも苦手な俺。この作品で言えば、旅先で出会った男に誘われて、乗り気じゃないのにアクティビティをやる決断をするくだり。結果は分かってるのに、というか分かってるからこそ「ダメ!! それダメぇ!!」ってなって辛くなる。

 ゾンビ映画とかで否応なく巻き込まれるんなら別に構わないんだけど、結果論とはいえ「間違っていることが既に分かっている選択」を見せられるのがダメなのだと思う。

 いっそ海底から始めてほしい。

パプリカ

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  VFX技術も進歩してきて大抵のことは実写で表現できるようになったけど、2Dアニメーションのほうが心地よいということは依然としてありますね。

 やや誇張されたアクションとか、極彩色のパレードとか、おそらく実写でやられても目にうるさいし、この悪夢らしさは出ないだろうなと思う。あと所長のかわいさも。

 すげえ「インセプション」っぽいシーンがあるなと思ったら、インセプションのほうがこの映画からインスピレーションを得ているとノーラン監督が公言してるとか。

 夢が現実を侵食してくる展開とか、夢世界のビジュアルとかこっちの方がずっと好きですけどね。インセプションは咄嗟のピンチにとりあえず寝るあたりがどうにも締まらねえなあと個人的に思う。 

バジュランギおじさんと、小さな迷子

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 映画の本筋とはあんまり関係ないんだけど、コロナ緊急事態宣言明けの映画館で最初に観たのがこれで、冒頭の人が入り乱れるあまりにも楽しそうな祭りのシーンで何だか泣きそうになってしまった。

 大勢でめっちゃ歌って踊るタイプのインド映画を久々に観て、こういう世界は当分帰ってこないんだな、と。

 ストーリーは失語症の女の子の親を探して信心深い男バジュランギが共に旅をするロードムービー。ただ、女の子はパキスタン出身で、親とはぐれて迷子になったのはインド国内。対立する2国家の国境を越えて、ビザなし、旅券なしで身元不明かつ喋れない少女を家まで送り届けるという、とんでもなくハードルの高い旅。

 おまけにバジュランギは宗教上の理由で馬鹿がつく程の正直者なので、パキスタンの国境警備隊に密入国の許可を取ろうとするなど、保護者であるバジュランギの方がトラブルを起こすケースもしばしば。しかしながら、そうやって繰り返し描かれるバジュランギの底抜けの善性が人を動かし救われるというシーンを何度も見ることになる。

 こんな出来すぎた話はありえないのだけど、これを斜に構えて鼻で笑う程に俺はひねくれてもいない。ド直球の愛と人情てんこ盛りで、泣くわこんなん。

 インド映画って喜怒哀楽の感情をひねらずそのまま描くことを是とする傾向があると思っていて、そういった特性とこの手のお話は相性が良すぎるね。

コリーニ事件

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 よくできた法廷ものなんですよ、うん。

 でも予告やポスターで「戦後ドイツの不都合な真実」とか言われると観る前から真相が想像出来て、実際その通り。

 こういうのは真相に近づいていく過程が肝心なので、真相は横に置いておくとしても、あまりにも多く目にするテーマだけにちょっと肩透かし感は否めないなと。

 途中で洗ってる資料とかに字幕がつかないので、その時点での進捗が分からなかったりするし。描きたいのはサスペンスじゃないというのは分かるんだけども。

 ダイナー? ピザ屋? の女の子が有能で、最終的にちゃっかり事務所の助手ポジションに落ち着いているのが良かったです、と頭悪い感想を書いておく。

イップ・マン外伝 マスターZ 

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「イップ・マン 継承」でドニー・イェンに敗れて武館を畳んだマックス・チャンが主人公の外伝。史実によらない完全フィクションなので、お話が本編に輪をかけてファンタジー寄りで、それはそれで良い。

 見所は多くて、まず「ドラゴン×マッハ!」以来のマックス・チャン vs トニー・ジャーのカードが観られること。トニーは裏社会の暗殺者的なキャラで、これがまたいい役どころなんだわ。ぶっちゃけストーリー的には全然居なくて成り立つんで、ただ出したかっただけなんだろうなこれ。

 そして、裏社会の大物であるミシェル・ヨー姐さん。権力だけでなく、自らも1対1でマックス・チャンと渡り合える達人級の使い手。俺、カンフー映画で戦えるおばさんキャラってあんまり観たことないので、それだけで俺なんかはイチコロになるぐらいカッコいい。(「カンフーハッスル」にも強いオバちゃん居たけどあれは能力者バトルなんで俺の中ではネタキャラ枠に入ってる)

 詳細は避けるけれど、マックス・チャンと戦うことになった経緯やその後の落とし前のつけ方なんかもゴッドファーザー感にあふれて最高でしたわ。

 あとラスボスのデイヴ・バウティスタ。表向きは慈善家のレストランオーナー兼シェフという設定なんだけど、イップ・マンシリーズは毎回外国人が悪役だし、あまりに体格が良すぎて出てきた瞬間から「お前のようなババアがいるか」状態になっててクソ面白かったです。お前のようなコックがいるか。

 ほかにもバー経営のフーの兄貴とか、心底クズなミシェル・ヨーの弟(名前忘れた)とか、まあとにかく全体に登場人物が良くって、本編は完結しちゃったけどもこっちでシリーズ続けてくれるといいなあと思える出来でした。 

イップ・マン 完結

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 んで、本編の方。

 こっちも良かったなあ。マイクタイソンをぶち込んで若干話がとっ散らかってた前作に対して、シリーズの締めくくりとして綺麗にまとまった。

 一作目で赤ん坊だった息子が反抗期真っ盛りの高校生になっており、その親子関係がストーリーの軸。イップ・マンはガンで余命宣告をされており、息子の将来のためにと留学先を探しに、弟子のブルース・リーの伝手でアメリカに渡る。

 一方、父親の体のことなど知らされていない息子は、留学よりも父と同じ拳法家の道に進みたい。だから反発する。

 父を尊敬するがゆえ、息子を想うがゆえにすれ違っていたわだかまりが解けて、息子に木人椿の打ち方を教えるシーンはシリーズのラストとして文句なし。

 あともう一つの軸として、シリーズで大体共通している(3だけちょっと違う)中国人差別との闘いがありまして、今回も露骨なクソヘイト野郎どもをイップ師父がなぎ倒す痛快アクションを見ることができます。昨今の中国共産党の人権軽視っぷりを思うと素直に楽しめない部分もあるのだけれど。

 あと、ブルース・リーの格闘シーンで「少林サッカーのそっくりさん」だったダニー・チャンがちゃんとブルース・リーになってたのと、「イップおじさん」にめっちゃ懐いてくる女子高生のルオナンが子犬的な意味でかわいかったのが良かったです。

ストーリー・オブ・マイライフ/私の若草物語

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 嫁さんが観たいというので。

 女性の生きづらさってのは程度の差こそあれ、国や時代を問わず共通しているのだなあと思わされる。女性にとっては幸せな結婚をすることが唯一絶対の価値と考える登場人物を見て、「高慢と偏見」(ゾンビが出ないほう)を思い出しました。

 観ている間は心からジョーを応援しているし、予想以上のハッピーエンドに幸せな気分になりはしたものの、やはり俺は女性ではないので、真の意味ではこの映画は理解できていないのではないかという気はする。

「それは愛じゃない」というセリフは正直なところ痛快に感じてしまったし、結果的に弄ばれたフレッドが可哀そうとか、わりとどうでもいいはずのところに感情移入してしまうのだよね。

 と、いうようなことを鑑賞後に嫁さんに話した。女性視点ではどうだった?

「途中寝てたわ」

 没入できるかどうかに性別はあんまり関係ないらしい。

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