IQが2になるやつ×2 ー 最近観た映画の感想

モータルコンバット

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観ているだけでIQが2になるやつ。

おっさんゲーマーないしは、日本語未対応の洋ゲーをゴリゴリやるヘビーゲーマーには説明不要の残虐格闘ゲームの映画化。

俺はシリーズ初期の実写取り込みキャラクターが真っ二つになったり爆散したりする、いかにも(当時の)洋ゲーといった趣の大雑把なゲームしか知りませんが、まあ映画もそんな感じだと思ってて差し支えありません。人の腕がもげたり人が真っ二つになったり人が消し炭になったりします。

説明。人間界と魔界の覇権を争う格闘大会「モータルコンバット」。人間界は既に9連敗しており、次に負けると人間界が魔界に支配されてしまうのだった。わかりましたか? わかりましたね?

このように初っ端からストーリーを投げ捨ててるあたり、「1ミリも頭を使わずにわかりたい」という需要をきちんと理解しているし最高と言わざると得ません。

わかりやすさと言えば、最近の映画って街並みに「モロッコ」だとか「ブダペスト」だとか、でっかい字幕で地名を乗せる演出をよく見ますが、荒れ地を映して「魔界」は流石にわかり易すぎて笑います。

ちなみにこの映画でモータルコンバットは開催されないんですが、我々は究極神拳の飛び交う格闘バトルが観られればそれで良いですし、その辺りは大会が開かれずとも十二分に満足させてくれるので全く問題ありません。

かように徹頭徹尾「わかり」の極まった映画でございます。

これまでもハリウッド映画では良く見かけたものの、ちょい役が多かった真田広之が主人公格の扱い(主人公は背景で氷を割る仕事)で、序盤から還暦とは思えない程のニンジャアクションを見せてくれるし、ラストバトルへの流れはカッコ良すぎて震える。さらに加えて火を吐くので100万点。真田広之100万点。

あと浅野忠信はずっと目が光ってました。

バクラウ 地図から消された村

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今から数年後の未来。ブラジルのとある小さな村が地図から消えた。

それと時を同じくして、村では不可解な出来事が次々と起こり、ついには謎の襲撃者により村人たちが一人ひとり殺されていく。

しかし村人たちは逃亡奴隷をルーツに持ち、反逆の歴史と共に生きる戦闘民族だった。よって調子こいた素人揃いの襲撃者たちは悲惨な目に遭います。やったぜ。

「戦闘民族」といってもそれは気概の話。めっちゃ強い登場人物がいたり、組織的な戦闘技術があるわけではありません。しかしながら、村人を殺されてただ怯えるのではなく、皆が淡々と反撃の準備を整えるという乾いた感じが実に良きかな。

村人の行動原理はシンプルで「やられたらやりかえす」。明らかに主人公やリーダーという登場人物はおらず、村全体が一つの意思をもって動くこの感じ。襲撃者が不可侵の領域に手を出してしまったということがビシビシ伝わってきてたまりません。派手なアクションは全くありませんが、それだけにリアルだし村人側の静かな殺意が引き立ちます。

いかにも南米の田舎町という風景の中で微妙に近未来ガジェットが使われて展開をスムーズにしている一方で、昔から面々と続いているのであろう村独特の風習なども描かれることでその対比が鮮やかに。独自ルールをお持ちの方々に生半可な手出しは命取りとよーく分かる作りです。

黒幕の「ルールが分かってない」感といい、まるで村の催しのように処分される流れといい、俺は非常に好きな映画です。

(他の人にとっても面白いかはちょっと自信がない) 

ゴジラvsコング 

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観ているだけでIQが2になるやつ。

理屈も辻褄も人間ドラマも全部かなぐり捨てて、巨大生物同士のカッコいい殴り合いに全振りした映画。『シン・ゴジラ』の対極にいるようなゴジラ映画ですが、対決ものとしてはこれで大正解でしょう。

前作の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』みたいな、極端な狂人思考でドライブされる人間ドラマなんて余計なだけだし、あれは怪獣バトルパートもガッチャガチャで俺はあんま好きじゃないんです(「お前が怪獣大好きなのは分かったけどさ……」ってなる)。

ともかく本作に関して「人間ドラマが」「脚本が」と言いながら低評価をつける人はそもそも観る映画間違ってるんじゃないかと思いますよ俺は。人間ドラマが観たいのならば、この世界にはもっといい映画がいっぱいあるので、そちらをご覧になるのが良いでしょう。

今回は身軽な動きと肉弾戦が信条のコングがメインの一方となるだけに、バトルが格闘主体になるのが良かった。前作みたいに熱線バチバチだと画面は派手になるけど、俺などはどうにも散漫な印象を持ってしまったので。

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翻って本作。予告で何度も流れたコングがゴジラをブン殴るこの瞬間など、全身のバネを使い、全体重を乗せてる感じの動きが最高だと思います。

事あるごとに熱線を封じられて、まさかの殴りで応戦するゴジラもまた至高。古代からのライバルという設定で、お互いの手の内を知り尽くしているという体の戦い方が本当にイイ。

ゴジラ有利な海上の戦い、ビルからビルへとコングが本領を発揮する香港での戦い。どの戦場でも双方の見せ場尽くしで、これを観た誰もが言っているようにどちらも主役、「どちらの格も落とさない」構成が見事です。

人間ドラマを完全に切り捨てた人間パートも、矮小な人間が地下世界で翻弄されるスペクタクルが描かれていて、これも『髑髏島の巨神』をさらにスケールアップさせた感じで良かったです。玉座とか斧とかのアホSF展開もワクワクが止まりません。

陰謀論者周りの話は見なかったことにします。

あと小栗旬の役は前作の渡辺謙の息子だったらしいのですが、その説明すらないレベルまで人物描写が削ぎ落とされているので白目剥く以外の役どころがなかったのがすげえ面白かったです。無理して日本人入れんでもいいのよ。

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