ヘヴィメタル寿司 ー 最近観た映画の感想

激突!

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スピルバーグの初監督長編。これもU-NEXTにしかなかったのでとりあえず観とこうと。

タンクローリーに延々あおり運転をされるというサスペンス。煽り運転は昨今日本でも社会問題として取り上げられることが多くなっていますが、時代や洋の東西を問わず人間は全く進歩してないのがよく分かりますね。

如何にもアメリカ映画って感じの殺風景な一本道で、巨大なタンクローリーに殺意を込めて煽られまくる。なんとかやり過ごしたと思っても行く先で待ち受けているタンクローリー。最後までドライバーの顔が出ないことと、まるで幽霊船のように年季の入ったボロボロのタンクローリーの佇まいゆえに心霊現象や悪夢の類にすら思える執拗さで追跡は続く。

デス・プルーフ」終盤のカート・ラッセル側の気持ちになる映画。要は常に強いられる緊迫感で見る見るうちに憔悴していく主人公を眺めるだけの映画なのですが、やはり演出が巧みなのでオチが付くまで目が離せなくなるんですよね。結末まで観て煽られまくったストレスを発散させないことにはこちらの気持ちの収まりがつかないという。

全然ジャンルの違う映画なんだけど何故か「新感染 ファイナル・エクスプレス」を思い出しました。あれもずっと心の休まる暇がないんだけど面白い。

一緒に観ていた嫁さんは「毛根にクる」って言ってました。 

激突! (字幕版)

激突! (字幕版)

  • デニス・ウィーヴァー
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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

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俺は世代が違うしスパロボもやったことがないので馴染みがないのですが、「鋼鉄ジーグ」は昔のロボットアニメ。これが当時イタリアで大ヒットしたらしく、ある世代のイタリア人にとってはガンダムよりも馴染み深いそうで。ジーグ直撃世代の監督がオマージュのヒーロー映画を撮っても通用するぐらいには。

主人公は核廃棄物かなんか(適当)で意図せずスーパーパワーを手に入れてしまったおっさん。このおっさん、もともとケチな窃盗とか犯罪の手伝いでその日暮らしをしているゴロツキなので、力を手に入れてもやることは人目を避けてATMをもぎ取って帰ったり、現金輸送車を襲ったり。

超人として派手に力を誇示することもなく、奪った金で贅沢をするでもなく。大金を手に入れてもとのパッとしない生活をそのまま続けていたが、ひょんなことから同じアパートに住んでいるヒロインを助けることになる。

このヒロインは結構いい年なんだけどちょっと気が触れていて、何故か日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」のDVDを連日繰り返し観て現実と区別がつかなくなっている人。主人公のパワーを見て「鋼鉄ジーグだ!!」と懐いてしまう。

鋼鉄ジーグ要素ってこの主人公とヒロインのつながりでしかないので、単なるマクガフィンの類だと考えれば仮面ライダーでもアメコミヒーローでも置き換え可能ではあるのですが、率直に言ってダサいデザインの鋼鉄ジーグだからこそヒロインの特異性が際立ってる気もします。 

最終的にはヒロインに絡んでいた地元のギャングと敵対するのですが、監視カメラの映像などで有名になってしまった主人公に嫉妬する、恐ろしく器のちっちぇえボス vs 怪力持ち腐れの小悪党という、スーパーヒーロー映画としては大変に地味な構図。

バトルを期待すると本当に映えない映画なのですが、このボスが本当に小物かつクズかつ頭が悪く、主人公と関係ないところで勝手にどんどん追い詰められて行くので楽しく観ることができます。

悪と戦わないヒーローとあまりにも魅力のないヴィランによる謎のシナジー。なんともしっとりとした空気の漂うヒーロー映画でした。ヒーロー映画なのか? 

リトルトウキョー殺人課

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「ニンジャスレイヤー」や「キル・ビル」のように、西洋人が考える「間違った日本」を殊更に強調して面白がる作品というものがありますが、そうではなく恐らく素で全部間違っているのがこの映画です。

海外文化を魔改造してしまうのは日本人も同じなので、いちいちドヤ顔でツッコミを入れるのは野暮(「カリフォルニアロールは寿司じゃない」と言い出すようなもの)だと思うのですが、本作は一から十まで間違っているところしかないので言及しないこと自体が不可能です。

日本育ちの刑事であるドルフ・ラングレンがLAの日本人街で起きた殺人事件の捜査でジャパニーズヤクザをフリーダムにブッ殺してまわる映画。ドルフ・ラングレンの何言ってんだかわからない日本語と、日本人役者の恐ろしく下手くそなカタカナ英語(逆に聞き取りやすい)が両方楽しめる欲張りセット。

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一方で日本人役者の喋る日本語は超適当に翻訳されており、唐突にヘヴィメタル寿司等の大変エッジの効いた単語が飛び出してきます。

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セップク・ブシドー・盆栽クラブ。ラストバトルに臨むドルフ・ラングレンの出で立ちを見れば内容は概ねご理解いただけると思うので詳細は省きますが、この手のボンクラ日本をネタではなくガチでやっている作品は実は初めて見ます(部分的におかしいのはよくありますが)。

ニンジャスレイヤーってオマージュとして良くできてるんですね。SFじゃないニンジャスレイヤーだわこれ。 

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