ババアズ・バタリオン「デンデラ」他 ー 最近観た映画の感想

機動警察パトレイバー2 the Movie

f:id:baumkuchen:20210605195459j:plain

 

面白え!! & レイバー全然出ねえ!!

日本が戦争状態に陥るとしたらどんな状況か。その問いの答えがまさかの内戦、警察と自衛隊という治安機関同士のぶつかり合い。

横浜ベイブリッジで発生した爆破事件。その裏にはPKOでレイバー小隊を指揮していた元自衛官率いるグループの影が。

責任を警察に押し付けようとする政府によって実行される自衛隊の都内への治安出動。決定的となる警察と自衛隊の対立。抑えめの描写で話が進んでいるだけに、なおさらこの画が鮮烈で。

この瞬間、決定的に日常が崩壊しているのにいつもどおりに出勤していつもどおりの生活を送っている都民も皮肉が効いていていい。コロナ禍でも電車に乗って通勤せざるを得ない現状に通ずる、というか現実に日本人は全くこの通りの振る舞いををすることが分かったわけでね。

責任逃れに必死な警察上層部の図なんかも如何にもって感じで面白い。上の無能を現場がなんとかする美しき日本。「シン・ゴジラ」にも似た味わい。

特車二課が襲撃されて孤立する展開は漫画版の最終エピソードにもありましたが、自衛隊のヘリが警察の拠点を蜂の巣にしていく映像は、同じネタの焼き直しや使い回しとはとても言えない凄まじいインパクトがあります。

ここで整備中のレイバーがほとんど破壊されるし、使える数少ないレイバーも戦闘開始後、ほとんど格闘シーンもなく次のカットでは敵と相打ちでスクラップになっている。前作の感想でレイバーの戦闘が蛇足に感じると書いたけど、今回レイバーを活躍させる気が全くなくてちょっと笑えます。だってこの話にロボットの格闘はいらないもん、と。(わかる)

じゃあパトレイバーである必要はないのか、というとそうとも言い切れなくて、後藤隊長、南雲隊長、松井刑事といった漫画やTVシリーズを知っている人間にとってはおなじみの人たちがメインキャラとなっているというのが肝要。多少でもその人となりが事前知識として頭に入っていると、状況の理解がものすごく早くなるんですよね。(後藤さんが声を荒げるならそりゃあ大変なことだと一発で分かる)

一方で特車二課の隊員はほぼ空気でした。太田はクソウザかったです。

結局のところ、必ずしもパトレイバーである必要はないし、事前知識はなくても楽しめるのだけれど、パトレイバーの皮をかぶせているからより一層面白く感じるし、そもそもパトレイバーの企画じゃなかったらこの映画製作されてないよね。

その上でやりたい放題やってんだからもう最高ですよ。 

メン・イン・ブラック:インターナショナル

f:id:baumkuchen:20210606001113j:plain

映画には「可もなく不可もなく毒にも薬にもなんねぇ3日で内容を忘れるハリウッド大作」というジャンルがあると思っていて、これはそれでした。

可もなく不可もなく毒にも薬にもなんねぇ3日で内容を忘れるハリウッド大作が観たい気分のときにおすすめです(そういうときはあるので否定をしているわけではない)。

ちなみに観てから3日目にこの文章書いてます。明日には内容を忘れてしまうので急ぎ感想をしたためているのですが、忘れても「頭空っぽにして観られる楽しい映画です」とかなんとか言っとけばだいたい当てはまるので楽でいいです。

クリス・ヘムズワースにちっちゃいハンマーを持たせて勝ち誇らせてみたり、ポリコレに気を使って親指ビシィって立てたりしてとってもおもしろかったですね。わかりやすい。「ここが面白いところですよ」って付箋が貼ってある本みたいですね。

あとオーバーテクノロジーの超兵器を手に入れてワクテカしながら「ちょっと撃ってみようぜ!」って言うときのクリス・ヘムズワースの笑顔は完全にアホの顔でそこは掛け値なしに面白かったです。

クリス・ヘムズワース演じるアホといえば「マイティ・ソー バトルロイヤル」のときのソーとか「ゴーストバスターズ」のケヴィン等がありますが、今回は超有能なMIBのトップエージェントであるにも関わらず、魂から発せられたかのようなアホ面が最高でした。

変顔じゃないの。超絶イケメンの素敵な笑顔なのに「あ、コレ駄目なやつだ」ってすぐ分かるぐらい完全にアホがにじみ出てるの。トップスターの演技力半端ねえな。

あとはえーと、頭空っぽにして観られる楽しい映画でした。おわり。  

デンデラ

 

f:id:baumkuchen:20210606143535j:plain

口減らしとして姨捨てされた老婆たちは山奥で集落を作って生き延びており、村への復讐を果たすべく戦闘訓練を行っていた!!

なるほど、追放からの復讐譚。「なろう」とかで大人気のやつですね。俺は詳しいんだ。

最年少70歳(70歳になると山に捨てられるので)からのババア軍団による戦闘。そんなん面白いに決まってんじゃん。

往年の大女優たちによる美老女揃いの軍団ではありますが、過酷な雪山の中、ボロをまとって鬼気迫る表情で巻藁を突く彼女らの逞しさに敬意を表してここは「ババア」と書かせてもらいたい。「老婆」では足りない。

いざ決起せん、というところまでは本当にワクワクして面白い。途中で熊が乱入してきて復讐が有耶無耶になっちゃうのがちょっと残念ですが、熊大暴れ、血しぶきドバドバはちょっと予想外の映像で驚きました。おばあちゃんにここまで大量の血糊をあびせまくった作品ってのも他に例がないんじゃないでしょうか。

ちょっと安っぽいですが、おかげで過剰にグロくもないし、一風変わったアニマルパニックものとしても楽しめます。

ところで、アリ・アスター監督が「ミッドサマー」を撮る際に同じく姥捨伝説を描いた「楢山節考」の影響を受けていることを公言していますが、ひょっとしてこの映画も観てる? どうしても連想せざるを得ないシーンあり。 

デンデラ

デンデラ

  • 浅丘ルリ子
Amazon

前の


一覧