ヘヴィメタル寿司 ー 最近観た映画の感想

激突!

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スピルバーグの初監督長編。これもU-NEXTにしかなかったのでとりあえず観とこうと。

タンクローリーに延々あおり運転をされるというサスペンス。煽り運転は昨今日本でも社会問題として取り上げられることが多くなっていますが、時代や洋の東西を問わず人間は全く進歩してないのがよく分かりますね。

如何にもアメリカ映画って感じの殺風景な一本道で、巨大なタンクローリーに殺意を込めて煽られまくる。なんとかやり過ごしたと思っても行く先で待ち受けているタンクローリー。最後までドライバーの顔が出ないことと、まるで幽霊船のように年季の入ったボロボロのタンクローリーの佇まいゆえに心霊現象や悪夢の類にすら思える執拗さで追跡は続く。

デス・プルーフ」終盤のカート・ラッセル側の気持ちになる映画。要は常に強いられる緊迫感で見る見るうちに憔悴していく主人公を眺めるだけの映画なのですが、やはり演出が巧みなのでオチが付くまで目が離せなくなるんですよね。結末まで観て煽られまくったストレスを発散させないことにはこちらの気持ちの収まりがつかないという。

全然ジャンルの違う映画なんだけど何故か「新感染 ファイナル・エクスプレス」を思い出しました。あれもずっと心の休まる暇がないんだけど面白い。

一緒に観ていた嫁さんは「毛根にクる」って言ってました。 

激突! (字幕版)

激突! (字幕版)

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皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

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俺は世代が違うしスパロボもやったことがないので馴染みがないのですが、「鋼鉄ジーグ」は昔のロボットアニメ。これが当時イタリアで大ヒットしたらしく、ある世代のイタリア人にとってはガンダムよりも馴染み深いそうで。ジーグ直撃世代の監督がオマージュのヒーロー映画を撮っても通用するぐらいには。

主人公は核廃棄物かなんか(適当)で意図せずスーパーパワーを手に入れてしまったおっさん。このおっさん、もともとケチな窃盗とか犯罪の手伝いでその日暮らしをしているゴロツキなので、力を手に入れてもやることは人目を避けてATMをもぎ取って帰ったり、現金輸送車を襲ったり。

超人として派手に力を誇示することもなく、奪った金で贅沢をするでもなく。大金を手に入れてもとのパッとしない生活をそのまま続けていたが、ひょんなことから同じアパートに住んでいるヒロインを助けることになる。

このヒロインは結構いい年なんだけどちょっと気が触れていて、何故か日本のアニメ「鋼鉄ジーグ」のDVDを連日繰り返し観て現実と区別がつかなくなっている人。主人公のパワーを見て「鋼鉄ジーグだ!!」と懐いてしまう。

鋼鉄ジーグ要素ってこの主人公とヒロインのつながりでしかないので、単なるマクガフィンの類だと考えれば仮面ライダーでもアメコミヒーローでも置き換え可能ではあるのですが、率直に言ってダサいデザインの鋼鉄ジーグだからこそヒロインの特異性が際立ってる気もします。 

最終的にはヒロインに絡んでいた地元のギャングと敵対するのですが、監視カメラの映像などで有名になってしまった主人公に嫉妬する、恐ろしく器のちっちぇえボス vs 怪力持ち腐れの小悪党という、スーパーヒーロー映画としては大変に地味な構図。

バトルを期待すると本当に映えない映画なのですが、このボスが本当に小物かつクズかつ頭が悪く、主人公と関係ないところで勝手にどんどん追い詰められて行くので楽しく観ることができます。

悪と戦わないヒーローとあまりにも魅力のないヴィランによる謎のシナジー。なんともしっとりとした空気の漂うヒーロー映画でした。ヒーロー映画なのか? 

リトルトウキョー殺人課

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「ニンジャスレイヤー」や「キル・ビル」のように、西洋人が考える「間違った日本」を殊更に強調して面白がる作品というものがありますが、そうではなく恐らく素で全部間違っているのがこの映画です。

海外文化を魔改造してしまうのは日本人も同じなので、いちいちドヤ顔でツッコミを入れるのは野暮(「カリフォルニアロールは寿司じゃない」と言い出すようなもの)だと思うのですが、本作は一から十まで間違っているところしかないので言及しないこと自体が不可能です。

日本育ちの刑事であるドルフ・ラングレンがLAの日本人街で起きた殺人事件の捜査でジャパニーズヤクザをフリーダムにブッ殺してまわる映画。ドルフ・ラングレンの何言ってんだかわからない日本語と、日本人役者の恐ろしく下手くそなカタカナ英語(逆に聞き取りやすい)が両方楽しめる欲張りセット。

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一方で日本人役者の喋る日本語は超適当に翻訳されており、唐突にヘヴィメタル寿司等の大変エッジの効いた単語が飛び出してきます。

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セップク・ブシドー・ニョタイモリ。ラストバトルに臨むドルフ・ラングレンの出で立ちを見れば内容は概ねご理解いただけると思うので詳細は省きますが、この手のボンクラ日本をネタではなくガチでやっている作品は実は初めて見ます(部分的におかしいのはよくありますが)。

ニンジャスレイヤーってオマージュとして良くできてるんですね。SFじゃないニンジャスレイヤーだわこれ。 

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無限ループって怖くね? 「パラドクス」他 ー 最近観た映画の感想

デビルズ・メタル

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メタルを聴くと救われる。

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時折Twitterのタイムラインに流れてきてたこのカットが面白すぎるのでずっと観たかったんですが、わりと普通の悪趣味スプラッター映画かなあと。

高校生メタルバンドがひょんなことから手に入れた魔王を召喚する楽譜を演奏してしまい、街中の人間が悪魔憑きになって襲いかかってくる。

あとはチェーンソーやら斧やらでバッサバッサと悪魔憑きを殺しまくるし、受肉した魔王も殺す。血ィドバドバ出る。内臓もボロボロこぼれる。

この手の映画、一応普通に観れますけども、基本的に俺はゴア描写好きじゃないんですよね。血がアホほど出るまではギャグの範疇でいいんですが、人間の断面とか観たくない。

それらを塗りつぶして有り余るほどの突き抜けた頭の悪さがあるかと言えばそうでもなく、ガワにメタルをかぶせただけのありがちな映画って感じ。というかB級スプラッターって全部内容同じなんじゃないだろうかと思うぐらい既視感がすごい。

ゴリッゴリのメタルをBGMに、手近な武器としてディルドーやバイブレーターといった大人のおもちゃで悪魔憑きに襲いかかる(そして勝つ)とか、面白がる人は面白がるんでしょうけどね。個人的には方向性が合いませんでした。

観た後で知ったんですが、これ「ガンズ・アキンボ」と同じ監督なんですね。いずれも悪趣味には違いないけれど、ガンズ・アキンボはきっちり一般受けするようにブラッシュアップされてるのがすげーなと、変な感心をしてしまいました。 

機動警察パトレイバー THE MOVIE

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パトレイバーは漫画版を既読。TV版は未見ですが、評価の高い劇場版を観てみたかったのです。

パトレイバーはレイバーが徹底して「汎用的な重機」として描かれているのがいいですよね。ロボットアニメとしてよりはお仕事モノの部分に軸足が置かれている。

公開は30年前、劇中内の時間でも20年前だというのに内容は全く古びない。漫画版にもOSがハックされる話がありましたけど、より大規模に首都壊滅レベルのテロ事件として持ってくるその先見性がスゲエし、それを刑事モノの「足で稼ぐ捜査」的描写で地道に進めていくのもいい。

なのでぶっちゃけレイバー同士の格闘は無用というか、最後の零式とのバトルは蛇足に感じます。ロボットアニメとしての建て付けを考えたら入れなきゃいけないのは分かりますが、個人的には警備ロボットと作業用レイバーまでで良かった。

30年前から見た「未来の東京(20年前)」という世界はちょっと良いですね。バラック街の中を進む人型レイバーとか再開発地区の廃墟とか。

実際の世界とは似ても似つかない風景なのに、今観ると20年前だったらこういう場所が本当にあったのではないかという気がしてくる。妙なリアリティがあるんですよね。

映像も脚本も好みでした。2はこれに輪をかけて名作だという話なので楽しみ。 

パラドクス

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ポスターがサイコホラーとかスラッシュホラーみたいですが、こんな人は出てこないし、こんなシーンはありません。

古くは「Cube」なんかを連想させる不条理系のシチュエーションスリラー。ループものなんですが、近年よく見る時間遡行のループではなくて空間がループする。

非常階段は1階の下に最上階が現れ、一本道は何度でも同じ看板とガソリンスタンドが現れる。そんな不可解な空間に囚われた人間たちのお話。

ループしているのは空間だけなので、時間は普通に経過する。食料などの物資は消費してもなぜか定期的に初期化されてもとに戻るので生存自体は問題なし。

数日、数ヶ月、数年。あるいは死ぬまで脱出できないかもしれない空間に監禁された人間の精神はどのような変貌を遂げるのか。個々の全く異なった振る舞いと、閉鎖空間・極小人数でも生まれる独自の文化、宗教じみたもの。思考実験としてめっちゃ面白い。あといかにも金かかってなさそうなのもいい。

一応ループの理由も説明されるけれど、まあ何の説明にもなっていません。元より超現実的なシチュエーションなので俺は全く気になりませんでしたが。

最近は少しづつ刻んで映画を観ることが多いのですが、これは最終的に一体どういうオチを付けるのかが気になって一気に最後まで。人によってはちゃぶ台ひっくり返すかもしれませんが。 

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エル・マリアッチ

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俺が愛して止まない痛快クソバカB級ガンアクション「デスペラード」を含むマリアッチ三部作の一作目。

ギターケースに銃を詰め込んだ殺し屋と勘違いされたギター弾き(マリアッチ)の兄ちゃんがギャングに命を狙われて追いかけ回される。

相当シンプルでありがちな筋書きなのにちゃんと面白くなるのが監督の力量、画作りの妙というやつなのでしょうかね。ザラザラのグレインノイズがメキシコの乾いた町並みによく似合う。

明らかな低予算映画なので続編2作のような派手なガンアクションはありませんが、必死で逃げ回りながら、時には敵を返り討ちにしていく、本当にただそれだけの映画がちゃんと面白い。

主人公がアントニオ・バンデラスじゃないのでデスペラードの原型になる別の話なのかと思ってたんですが、改めてデスペラードを見直すと設定上は同一人物っぽいですね(この映画での出来事を夢に見るシーンがある)。バンデラス自身がギターケースに銃を詰め込んだ「エル・マリアッチ」となるまでの前日譚。

このときはちょっと幼さの残る顔をした気のいい青年なのに、一体何喰ったらバンデラスに成長してしまうんだと思うと笑いが止まりません。 

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「ブルース・ブラザーズ」が楽しすぎた ー 最近観た映画の感想

トマホーク ガンマン vs 食人族

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アメリカ西部の田舎町で数名の住人が原住民に拉致される。さらったのはネイティブアメリカンの間でも人喰いとして恐れられる蛮族と判明。一刻も早く住人を救い出すためさらわれた女医の夫や保安官など、4人のガンマンが旅立つ。

なんとも描写が淡々としていて、2時間超えの作中の大半が移動と野営、それに伴う会話ばかりという渋い作り。

と、思いきや、何の前触れもなく野盗の襲撃やらなんやらの事件を差し挟んでくる。映画的な溜めの演出を設けずに、効果音やBGMをつけることもなくヌルっと事が起こるので逆に妙な臨場感があります。

ドラマというよりは蛮族と戦うドキュメンタリーを観ているような。何だ蛮族と戦うドキュメンタリーって。

長らくダラダラ旅をしていたかと思えば「目線をフッと横に向けたらそこに蛮族がいました」ぐらいの勢いでいきなり戦闘が始まって、そのまま一気にクライマックスまで。ペース配分がいろいろとおかしいのだけれど、だからこそ終盤が印象に残る。

それまで淡々と旅をしてきたように淡々と命のやり取りが始まって、淡々と大ピンチに陥る。それはもうスルッと絶望的状況に陥るので全く助かる気がしねぇ。露骨な伏線や溜めがないのがここでも逆に良い効果になっていると思います。

邦題がどうみてもB級バカ映画のそれなんですが、思いの外しっかりした映画でした。

前半のロードムービー部分は多くの人には退屈だろうし、敵は食人族なので食材として人体を解体するエグめの描写もある。なのでなんとも人にはおすすめしづらい作品ではあるのですが、ちょっと変わった後味の映画で嫌いじゃないです。

いや、本当はB級バカ映画を観るつもりで再生したんですけどね。 

ファイティング・ダディ 怒りの除雪車

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そんなわけで今度こそB級バカ映画を観ようと思ってこれを再生したら、これもシリアスかつ普通に良い出来の映画でした。配給会社は何考えてこんな邦題付けてんだよ。

重機での除雪を生業にする真面目で勤勉な男ディックマンはある日、一人息子を薬物のオーバードーズで失う。息子が薬物など使うわけがないと確信するディックマンは警察に捜査を求めるが、警察は自死として取り合わない。

そんな中、何者かによる他殺であるとの真相を知ったディックマンは真犯人を見つけ出し、復讐を果たすべくひとり孤独な捜査を始めるのだった。

この手の映画って復讐者が特別な戦闘技術を持っているってケースが多いのですが、この親父さんはもともと善良な一般市民。正面切ったバトルはできないので犯人グループの下っ端が1人きりのときに不意打ちで殴り倒しては情報を吐かせ、殺していく。死体は金網でぐるぐる巻きにして滝に捨てる。

これを必要な情報が揃うまで何度か繰り返すんだけど、妙にテンポが良くて笑えてしまう。

殴る→吐かす→殺す→捨てる。毎回同じコーラスをBGMにスローモーションで滝を落下していく簀巻き。天丼芸かよ。

さらには死人が出ると画面が暗転して十字架と名前が出る演出があって、異様なスピード感に拍車をかける。途中からは殺害シーンも省略して「彼は死にました」。とにかく分かりやすいんだけど、日本で言ったら遺影のアップにチーンと鐘の音が鳴るようなものなので、どうしても面白くなっちゃうのは仕方ない。

派手なアクションはほぼなし。肉体労働者ゆえワンパンで人を殴り倒すだけの腕っぷしはあるものの、殴りつづけると息が切れちゃうような親父さんが主人公なので。それでも前述の異様なテンポの良さや、妙な愛嬌のある第3勢力、重機のカッコ良さなどで終始楽しく観れちゃいます。

というか、そもそもこれアクション映画じゃないですね。サスペンスとかスリラーとかそっちのジャンルです。ジャケットも邦題も勘違いを狙って作ってる感じが気に入りませんが、中身は良作です。 

ブルース・ブラザーズ

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5月からNETFLIXが値上がりしたので、ひとまずU-NEXTの31日間無料に切り替えて様子を見ています。

月額は高いけど、さすがに作品数No.1を謳ってるだけあって、NETFLIXやAmazn Prime Videoで観られなかった映画も多数。最初に契約するVODサービスとしては全くおすすめしませんが、ある程度他のサービスを使ったあとに一時的に乗り換えるのは有りだな、と思いました。

で、名作と名高い「ブルース・ブラザーズ」。いまのところU-NEXTにしかないので早速観てみましたが、確かにめっちゃくちゃ面白いなこれ!

刑務所帰りのジェイクと弟のエルウッドが、経営難の孤児院を救うために昔の仲間を集めてバンドを結成、一攫千金を目指す。

バンドで金を稼ぐためには手段を選ばない兄弟。警察に追いかけ回され、飲み代を踏み倒した酒場の主人やステージを奪ったカントリーバンドからも恨みを買い、ネオナチや神出鬼没の謎の女からは命まで狙われる。

そうなるのも当然の悪事を働いている兄弟なのですが、視聴者的には音楽シーン(ミュージカル・ライブ)の楽しさで全部チャラになってしまうのが非常にずるい。

教会の牧師はジェームス・ブラウン。説法の最中にめっちゃ歌い出して参拝者は跳ねるわ踊るわの大騒ぎ。楽器店の店主はレイ・チャールズで、一緒に中古の楽器を試奏すれば街中がツイストする。クライマックスのライブシーンの熱狂は言わずもがな。40年前の垢抜けないダンスがダサいやら可愛いやら格好いいやらでずっと観ていられる。

コメディに関しても全力でスラップスティックをやってやろうという気概たっぷり。

VFXがない時代のスラップスティックを作り出すのは物量と破壊。カーチェイスはショッピングモールであらゆるショーウインドウをぶち抜き、商品を撒き散らしながら駆け抜ける。アパートは粉々に崩れ落ち、電話ボックスは空を舞う。あり得ない台数のパトカーは兄弟を追いかけ回し、跳んでぶつかりひっくり返る。しまいには狙撃部隊や陸軍が数百人規模で出動ときた。

コント的演出を過剰にド派手にビッグタイトルならではの金をかけまくった力技で押し切る。もちろん現代の映画ならもっと派手な画はいくらでもあるんだけど、全て実物・実写でここまでやるかってのがとてつもなく贅沢に感じられます。コメディ映画だよねこれ?

この映画に関してはまさしく「古き良き」という言葉を使いたい。昔は良かった、ではなく昔だからこその(今とは違う)良さが全編に詰まってる。

5日前に初めて観たこの映画、作業中のBGVとしてもう何度も流してます。音楽シーンのたびに見入って手が止まるのでBGVには絶望的に向いてませんが。 

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XBOX360版の獣王記 ー 最近観た映画の感想

ガールズ&パンツァー 最終章 第3話

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このシリーズは本当に面白いのだけど、人に勧めるのが困難で。どうやったら普通の人に「女子高生が戦車で戦うアニメ」を観させることができるのか分からない。俺自身、劇場版が話題になるまでは「またこういうのか」って思ってましたし。

「こういうの」。キャンプやら釣りやらの男性比率が異様に高い趣味を女子高生にやらせる漫画やアニメってのは大量にあって、多くはホンワカフワフワした日常系。

これもその亜流かと思いきや、劇中の殆どの時間は戦車で戦っているという。

足を止めて砲撃する移動砲台ではなく「高い機動性を持った戦闘車両」として、大量の戦車が錯綜しながら交戦し、主砲をぶっ放しあう。架空のスポーツ「戦車道」をでっち上げることによって実現したあり得ない絵面の戦車バトルが最高なのです。

この第3話は知波単学園の成長ぶりが観られて良かった。旧日本軍を模した突撃バカ共、劇場版での初登場時には足を引っ張る勤勉な無能というコメディリリーフだった彼女たちが思考停止の「突撃という伝統」と決別し、勝つために知恵を絞って行動する。

部活ものの王道、弱小チームの大躍進。今回、意図的にライバルチームを主役ポジションに置いているけれど、こういうの観ると他の対戦カードもじっくり描写してもらいたくなっちゃいますね。

1話48分は短いわ。

ガーディアンズ

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ロシアが頑張って作ったマーベル映画みたいなやつです。誰も困らないと思うのでネタバレしますけど、嫌なら読み飛ばしてください。

旧ソビエト時代の強化人間がロシアを崩壊させんとする科学者に立ち向かう。キャプテンアメリカや仮面ライダーに通ずる、ヒーローものとしては古典的といっても良いやつ。

どのシーンも静止画で観るとそこそこ格好いいのですが、動いた途端どうにももっさりする不思議な映画。上のイメージビジュアルの通り、凶暴化して暴れるというハルクのポジションにクマチャンの半獣人がいるのですが、彼が変身して暴れると「そうそう、XBOX360版の獣王記ってこんな感じ」と存在しないゲームの幻覚が見えてしまう前時代感がたまらない。

とにかくガーディアンズの面々が弱い。モブ兵に負けて全員拘束される。ちなみにメンバーの一人である念動力使いは「手ごろな石が無くなった(石しか動かせない)」という原始人のような理由で負けます。

そして救出されたあと石を沢山くくりつけたスーツなどの新装備と訓練でパワーアップするんですが、また普通に負けます。

最後はそれまで使っていた超スピードや透明化といったスーパーパワーに関係なく、4人ですげえ遠くからかめはめ波みたいなの撃って建物ごとラスボス吹っ飛ばしてました。

特別面白いわけでもなく、色々と雑なのですが、なぜか嫌いになれないこの味わい。続編作る気満々の終わり方してたけど本当にやるの? 観るけど。(見放題なら) 

ガーディアンズ(字幕版)

ガーディアンズ(字幕版)

  • アントン・パンプシニ
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ナイブズ・アウト / 名探偵と刃の館の秘密

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一代で莫大な財を成した有名ミステリー作家の自殺。警察の捜査では不審な点は見つからなかったものの、現場には依頼を受けた名探偵が現れる。

いざ殺人事件と疑ってみると、親族は殆どが故人とのトラブルを抱えており、遺産相続を前にして全員が容疑者として浮かび上がってくるのだった。

という長ーい容疑者紹介が終わってからのテンポの良さが素晴らしい。体感的には20分に1回ぐらいのペースで「おいおい、面白くなってきやがったぜ……」と思わせる展開や新事実、または新たな謎が。

邦題は名探偵だの館がどうのと本格ミステリーのようなトリックと推理を予感させますが、全くそういう映画ではないですね。

探偵が真相に辿り着くのは視聴者の知らない証拠によってだし、ノックスの十戒によれば推理ものとして反則。ただ、この映画で楽しむべきは推理じゃなくて立て続けに発生する急展開と、それらが全部つながる怒涛のネタばらしなので。

ミステリーの捜査シーンなんて、名探偵が推理を開陳する前のタメ、下手したら単なる情報提示だけのシーンに成り下がるわけですが(「オリエント急行殺人事件」なんかはわりとそんな感じ)、本作ではそれらがことごとく面白かった。

どうせ真相は最後まで分からないようになっているので、筋道立てて推理するのはダニエル・クレイグに任せて、我々はシーンごとに適当な憶測をしたりビックリしたりしてればいいやつです。

ちなみに俺は家が全然刃の館じゃないことにビックリしました。なんだこの邦題。

孤狼の血

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「ヤクザこええ」って思いました。小学生でももっとマシな感想言いそうなもんですが。

暴対法施行直前の昭和ヤクザによる抗争。それを食い止めるべく犯罪スレスレを2・3歩通り過ぎた違法捜査を行うベテラン刑事の役所広司。と、コンビを組まされた若手刑事の松坂桃李。

実際のマル暴の刑事さんもそうなんでしょうが、役所広司のガラの悪さが素晴らしいですね。大卒のエリートの松坂桃李がそれに振り回されつつも、最終的には立派なマル暴の刑事として覚醒する。まあそんな感じなんだろーなと思ってたらそんな感じでした。

そこに至るまでがなかなかに生々しくショッキングで、どうしても「ヤクザこええ」が一番最初に来る。この手の単純かつ理不尽な暴力の恐怖を映画で感じることってあまり無いので新鮮に感じます。

ヤクザによるバイオレンス描写は韓国ノワールでよく観ますが、やっぱり海外映画だと自然と現実離れしたファンタジーとして捉えちゃうんですよね。それが邦画で吹替ではない日本語を話しているだけで自分と地続きの世界と感じられてしまう。これは邦画ならではの楽しみですね。

松坂桃李は普通に演技上手いのですが、強面のおっさんまみれの宇宙にただ1人存在する若いイケメンなので画面内の違和感がものすげぇですね。そもそもそういう役どころなので仕方ないんですが。

本作で立派なマル暴として覚醒済みの松坂桃李が、近々公開されるらしい続編でどんだけスレて画面に馴染んでいるかが結構楽しみだったりします。 

孤狼の血

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  • 役所広司
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狂気の沙汰のストップモーション「JUNK HEAD」他 ー 最近観た映画の感想

ルーザーズ

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なんのひねりもない映画が観てぇなぁと思って、NETFLIXのおすすめから何のひねりもなさそうなこの映画を選んで観てみたらなんのひねりもなくて良かったです。

これはべつに皮肉で言ってるわけではなく、シンプルな筋書きに銃撃戦と爆発があるだけの映画ってたまに観たくなるもんなんですよね。

何者かの謀略により、南米で爆殺された特殊部隊のメンバーたち。しかし彼らは生きていた。存在ごと表舞台から消された彼ら「ルーザーズ」がCIA内部にいるという黒幕に報復するため立ち上がる。

んで、この黒幕が大量破壊兵器でテロを企てて、気に入らない相手、ちょっとミスした人間をバンバン殺す「ぼくのかんがえたすっごいわるいやつ」なので、必然的に復讐劇が世界を救う戦いになります。がんばえー。ルーザーズがんばえー。

中身はメンバーがそれぞれ違った技能を活かして戦う「特攻野郎Aチーム」みたいなやつです。それ以上でも以下でもないですが、こういう映画、疲れてるときに丁度いいんですよね。 

ルーザーズ (字幕版)

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  • ゾーイ・サルダナ
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星の王子ニューヨークへ行く

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30年ぶりの続編が話題になっていたので、まず1から観てみようと思い。

アフリカ・ザムンダ王国の王子であるエディ・マーフィが親に決められた結婚相手を良しとせず、自分で花嫁を探しに自由の国アメリカへ。

「大金持ちの王子」ではなく、「本当の自分」を愛してくれる女性を探すのだ、と身分を隠しオンボロアパートに居を構えバイト生活。貴種流離譚の一つのパターンでしょうか、結構既視感のあるタイプのお話。

古典的だけど鉄板なネタ満載のコメディ。今観ても普通に面白いのですが、30年前の価値観に基づいた人種差別、女性蔑視、拝金主義なネタは正直キツイ部分も多々あります。相手の素性を見てクルクル手のひらを返すタイプの登場人物をギャグとして使うのは俺は本当に苦手なんですけども、30年前ならウケてたんでしょうかこれ。

30年でどう変わるのかというのは興味深いので2もいずれ観ます。

あと、ちょい役で若かりし日(といっても当時39歳)のサミュエル・L・ジャクソンが出てました。出世したんだねぇ。

ところでこれは数年前に道端に落ちていたサミュエル・L・ジャクソンの特攻服です。

この映画とは全く関係ありません。 

JUNK HEAD

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その工程を思うだけで圧倒されます。ストップモーションで制作された長編映画。

自作のパペットを使い、微妙に動かして一コマづつ撮影、つなぎ合わせることで作成する秒間24フレームのアニメーション。それが5分のショートムービーではなく、99分の映画一本分。

個展を開けばそれだけで金が取れるようなクオリティのフィギュアやセット。それを「ひとりで」動かして映画を撮ろうなんて、思いついたとしても実際にやるかそんなこと。

……という狂気の沙汰が本当にスクリーンに映し出されているのがもう面白い。想像もつかないような面倒くささの結晶が映画館の大スクリーンで動いとる。

人類滅亡を回避するための生殖遺伝子を求めて、主人公は義体に乗り込み地下3000m以深の世界へダイブする。しかし途中で撃墜されて、頭を残して全身バラバラ。気がついたときには地下の住人たちによって非力なボディに換装されていたのだった。

地下はかつて人類に反旗を翻して戦った人造生物マリガンの世界。奇妙奇怪な生物で満たされたこの地下世界から、はたして主人公は目的を果たして生還することができるのか。

ということで、ストーリーはずっと地下世界で展開されるのだけれど、地下なのにとんでもない広大さを感じさせるセットの作り込みがすごい。これ、陽の光のあたらない穴ぐらの中の話でありながら巨大建造物ものなのです。

煤けたコンクリートと錆びた鉄、そしてグロテスクなクリーチャーと生体パーツで形作られる広大な地下世界。スチームパンクとも廃墟ともつかない薄汚れた風景。

CGではなくミニチュアセットで作られたことによって生まれるリアリティというものは確かにあります。なんというか「本物っぽすぎない」から「そういうものが実際にカメラの向こうにある」ことが良く分かるんですよね。

この映画のセットを眺める喜びって、巨大かつ複雑怪奇な構造体に興奮を覚える工場マニアのそれに近いと思うのですが、この風景がグリーンバックの合成ではなく現実のミニチュアとして存在していると知っているだけで、CGとは別種の感動が生まれます。

CGによるこういうボロけた鉄の世界といえば「アリータ:バトル・エンジェル」のクズ鉄街あたりも最高ですが、それとは別タイプの体験であるということが言いたいのです。どちらも素晴らしい。

実のところ、俺はアニメーションは置いといてこれらのセットが観られただけでも満足できてしまいました。

映画の半分ぐらいは野生のマリガンに追い回されているか、この世界の中を彷徨していたばかりの印象なのですが、この映画は主に風景とマリガンたちの奇怪な文化、そしてクリーチャーたちの動きを楽しむものだと思うので、個人的にはそれで十分です。

セットの素晴らしさだけじゃなくて、マリガンたちにも愛嬌があって本当に良いんですよね。ラボでグロいペットとじゃれ合う3バカとか、エレベーターを操縦しているマリガンとか本当好き。そして一度見たら絶対に忘れられないクノコ屋店内。

これはディスクが出たら一時停止しながらじっくり観たい。セットとマリガンを並べたJUNK HEAD展、本当にやってくんないかな。

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超美麗キアヌ無双「ジョン・ウィック:パラベラム」他 ー 最近観た映画の感想

ザ・ベビーシッター

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ガンズ・アキンボ」のサマラ・ウィーヴィングが良かったのでキャストで検索かけたらネットフリックスオリジナルのこれが引っかかり、そういやサムネはよく見るなと思って視聴。

主人公の少年コールは12歳になってもベビーシッターを付けられていることを同級生からからかわれ、いじめられている。彼自身それがコンプレックスではあるものの、ベビーシッターであるビーの事は大好き。

彼女はセクシーな美人で、どんなときにもコールを守り、いじめっ子を追っ払う。大切な弟のようにコールに接しながらも、決して子供扱いはせず、ガチで一緒に遊んでくれたり、大好きな映画トークに花を咲かせたりする。思春期の少年が恋をしてしまうのも当然の素敵なお姉さんなのです。悪魔崇拝者の殺人鬼だということを除けば。

両親不在のある晩、コールはビーが深夜に数人の仲間を連れ込んで悪魔召喚の儀式を行っているところを目撃してしまう。

なんでバイト先の家でそれをやるんだよという話はさておき、そのことを感づかれたコールは悪魔崇拝者の学生グループたちから命を狙われることになるのでした。

以降は負けたほうが死ぬ「ホーム・アローン」なんですが、普通のB級ホラーなら殺人鬼や化け物に順次殺されるバカ大学生グループが全員殺人鬼側に回る構図が面白い。返り討ちにあって順次死んでいくのは一緒ですが。

学生たちのキャラも立ってて、普通なら真っ先に死ぬ「ブロンドバカ女」が意外としぶとかったり、やはりすぐ死ぬタイプの「脳筋ジョックス男」が敵に回ると超手強い。ネタバレになるので内容は書きませんが、コールがいじめられているのを知った脳筋とのやり取りが面白すぎでした。

本気で悪魔を召喚しようとして人を殺す連中なので全員ノータリンではあるのですが、少なくともただ返り討ちに遭うためだけの有象無象ではなく、なかなかに良い見せ場と死に様があるバカ共です。

血はドバドバ出ますが、B級ホラーにしてはゴア描写は少なめ。コメディ寄りの一風変わったホラーとして気軽に観られます。

ジョン・ウィック:パラベラム

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2が個人的にいまいちだったので、劇場には観に行かず配信待ちしていたのを最近ようやく観れました。そしたらすっげえ良かったです。これなら劇場で観てもよかったな。

いつものキアヌ無双が観られりゃそれでいい、ぐらいの気持ちだったんですが、今回とにかく映像が綺麗なのが気に入りました。光の使い方、フレーミング、セットや小道具類を含めた画作り。ありとあらゆるシーンが美しすぎる。アクションそっちのけで見惚れるわ。

図書館やアンティークショップ(?)での戦闘とか、馬とバイクのチェイスシーン、無闇にアイテムにこだわったコンチネンタルのアカウント部など、序盤から美麗シーンの超ドカ盛り。うーん、好き。

その上でもちろんアクションも相変わらず極上で隙がない。馬のシーンとかマジでどうやって撮ったんだアレ。至近距離でヘッドショットを決める前にとりあえず足とか腹とか撃つのは良く分かりませんが、1作目からそうやってるので、ガン・フーとはそういうものなのです。たぶん。

そしてシリーズ化によって人間模様にも深みが出てきた。四面楚歌状態のジョンに手を貸すサブキャラたちはどいつもこいつも男前だし、完全に敵に回ったコンチネンタルという組織の概要もおぼろげながら見えてくる。

メインの刺客は怪しげな日本語とニンジュツを使う寿司屋という訳の分からない造形ですが、彼の部下(弟子)が全員長ドスで襲いかかってくるのは最高ですし、本人がなんだかんだでジョンの大ファンで戦ってみたいバトルマニアってのもいいですね。この辺、前二作に比べて多分にアメコミチックですが、個人的には好みの方向性です。まあ今作程度で留めておくのが良いバランスだとは思いますが。

絶体絶命状態から始まるストーリーに反してコミカルな要素もふんだんに盛り込まれていて、弾切れからのめっちゃナイフ投げつけあうバトルだとか、飼い犬に舐められまくってまともに話せないジョン、完全防弾装備の敵部隊とひとしきりやりあってから「ちょ、銃効かねえ!! もっと強いの!!」と武器庫に引き返すジョンなど、殺伐としているのに謎のほっこり感を振りまくシーンがちらほらとあって楽しいです。

今作で完結すると思っていたので、まさかの「第4作に続く」エンドに驚きましたが、今回はむしろ楽しみ。次は劇場で観ます。 

シン・エヴァンゲリオン劇場版:|| 

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公開直後に熱い感想文がアップされてまくっているのを横目に見てはいたのですが、いま人混みは嫌なんで、2週間ぐらい経った頃に観に行きました。

ネット上の熱量に対して、俺自身は「ちゃんと終わったねえ。よく出来てたねえ。面白かったねえ」ぐらいしか書くことがなくて驚いています。驚く程に感慨が沸かない。エヴァンゲリオンは結構好きなはずなんですが、それほど思い入れがあるわけでもないのだということを自覚しました。

全ての発端を語るゲンドウの独白。共感できるところも大いにあるんですが、同時に「お前こんだけやらかしといて言いたいことはそれだけか」と思ったのが正直な所。

俺は今まで「セカイ系」って言葉がどういうものを指すのかピンと来てなかったんですが、「ああ、これかぁ」って思いました(違ってたらごめんなさい)。

でもアニメーションとして眼福だったので劇場で観る価値は十分ありました。艦船を盾に使ったりミサイルにしたり、実にハッタリが効いていて良かった。ネルフ側のエヴァも大変にクリーチャーじみていて素敵。フランスのラインダンスみたいなやつが大好きです。

はい、こんな程度の感想しかございません。

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ロマンの二丁拳銃バカ映画「ガンズ・アキンボ」他 ー 最近観た映画の感想

キラー・メイズ

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自宅にダンボールで迷路を作った男が、中で迷って脱出できなくなってしまった。

そんな馬鹿なと恋人や友人たちが入ってみると、小さな入り口の先には広大なダンボール製の迷宮が広がっていたのだった。

中にはダンボールで作られた殺人トラップやモンスター。各種紙製品で作られた世界で、犠牲者たちは罠にかかり死ぬ。血しぶき代わりに赤い毛糸や紙吹雪を舞い散らして。

と、ビジュアル的にもアイデア的にもめっちゃくちゃ面白そうなのにびっくりするぐらいつまんねぇのね、この映画。面白いのはダンボール迷宮のセットだけだったわ。

人死にを出すことでガチのサバイバル物にするのか、緊張感のない感じでコメディにするのか、どっちも中途半端で、笑えない上に緊張感がないという悪いとこ取りになっちゃってる。

絵面は面白いのになぁ。もっと他にやりようはなかったもんか。もったいない。

ガンズ・アキンボ 

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こういう1mmも頭を使わない映画を劇場で観ることこそ娯楽であり、最高の贅沢。ダニエル・ラドクリフは役者として「ハリー・ポッター」に強く固定されたイメージを意図的に壊しにいっているようにも思えます。もうずっとこんな役ばっか演っててほしい。

参加者同士の殺し合いをライブ配信する闇サイト「スキズム」。そこにクソリプを飛ばし運営を怒らせたマイルズ(ダニエル・ラドクリフ)は両手に拳銃を固定され、無理矢理バトルにエントリーさせられてしまう。対戦相手はスキズムで連戦連勝の猛者、ニックス(サマラ・ウィーヴィング)。果たしてマイルズは生きて解放されることができるのか。

まあ内容は割とどーでもいいんですよ。ヘタレが死にもの狂いで逃げ惑う前半と、二丁拳銃(アキンボ)でバンバンバラバラと銃弾を振りまいて敵を倒しまくる後半。何ひとつ考える必要はありません。こういう映画だろうな、と思って劇場に行ったらそういう映画が流れてました。

ポップなイラストやフォントのアイキャッチがバンバン入ってくる演出は最近良く見ますが、人気サイトの見せ物という体にぴったりマッチ。ご機嫌な音楽とともに、元ハリー・ポッター演ずる銃撃と爆発の脳筋デスゲームを鑑賞できます。

そして対戦相手のサマラ・ウィーヴィングがまた非常に役にハマっております。薄い眉、ウォーボーイズばりのアイシャドウ、鋲だらけでトゲトゲのジャケットを着て、鼻にクスリを突っ込んでご登場する最高に柄の悪い姐さん。

この楽しそうなガンアクションを見よ。絶対にお近づきにはなりたくない格好良さでございます。彼女が暴れる序盤だけで元が取れるやつ。

友情、恋愛、親子愛、登場人物の動機づけとして申し訳程度に突っ込んでありますが、そんなもんは横に置いといて、虚構全開の爽快なアクションを楽しみましょう。

あと、マイルズがカメラに向かって「お前らが観るからこんなサイトがのさばるんだ」的なことを訴えたときに視聴者全員大爆笑してたのは最高でした。そうそう、インターネットってこんな感じ、という。

SEARCH」にも通ずるものがある、ネット批判というよりも単に今の時代を映した描写ですよね。フィクションだからこそ描ける身も蓋もなさ。好き。

ビーチ・シャーク

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「砂の中で流体力学的に有利なウロコ」を持ったサメが、ビーチをパニックに陥れる!!

全くサメ映画は言い張ったもん勝ちですね。言うまでもなくクソ映画なんですけども、「デビルシャーク」の後だと全然観れちゃうから本当に罪深いわあの映画。

少なくともカメラはちゃんと使えてるし、 ストーリーは概ね「ジョーズ」そのまんまなのも観やすい理由のひとつ。言い換えると、サメが砂の中を泳ぐことを除けばオリジナリティはほぼないと言って良いです。

この映画でジョーズの海水浴場に相当するのは、島興しとして開催される砂浜での音楽フェス。砂の中を泳ぐサメによる人死にが出ていることを隠したまま強行して大惨事になるという、うん、まあほんとそのまんま。

昔のB級映画みたいに無意味にオッパイを出させようとして、さぁオッパイを出すぞ、せーの、(バクン)と喰われるのはとても良かったなあと思いました。オッパイを出さずに済んだという点でポリコレ的に。この辺は近年の映画なんだなと感じます。まあ喰われたけど。

そしてパニックを起こした客はビーチから去らずに四方八方めちゃくちゃに走り回る。この人達は虫なのかな? って思いました。

他には砂の中は見えないから基本的に背びれだけ出しときゃいいってのが良い発明ですね、というのと、一応ちゃんと映画にはなってるというあたりが褒めるポイントでしょうか。

「デビルシャーク」は本当に酷かったんですが、自分の中の閾値を大幅に押し下げて、楽しめるものが増えたという意味で良い面もあったと言えますね。

いわゆる「バカ舌」になることが幸せなのかどうかは分かりませんが。

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サプライズエイリアン理論 ー 最近観た映画の感想

コンスタンティン

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なんで悪魔憑きはみんな天井に貼り付くんだろうね。 

ディヴァイン・フューリー」を観たときにそりゃあもうすげえ中二病だなあと思ったもんですが、エクソシストものの宗教色を薄めるとどうやってもそうなるんだね、ということが分かりました。

前提が「聖」対「邪」だから絶対的正義が主人公サイドにあり、かっこいい聖書の一節を唱えながら戦う。ちょっと悪めのハードボイルド感なんて出したら完璧だ。何をやっても中二的格好良さからは逃れられないのなら素直にそれを楽しむのが正解でしょう。

聖なるメリケンサックと金ピカ十字架のクソダサ銃。ボーリング場レーンの裏のアイテム工房やちょくちょく唐突にぶっ込まれる地獄の映像、腕に浮かび上がる紋章等、詳しいことはよく分からないけど何かカッコイイからまあいいや、って感じで深く考えずにディティールを味わう映画です。

最近はヒゲモジャのイメージが定着しちゃってるので、この頃のキアヌ・リーブスはひたすらにイケメンで驚く。この人こんなだったっけ。そしてガブリエル役のティルダ・スウィントンも中性的でやたらとイケメン。イケメン映画。

カウボーイ&エイリアン 

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ダニエル・クレイグの左腕に変な機械が嵌まっていることを除けば、なんともスタンダードな西部劇が展開されるわけですよ。

流れ者のアウトローが、地元の権力者のチンピラ息子とひと揉め起こす。チンピラ息子は普段から父親の権力を笠に着てやりたい放題なので、保安官は流れ者とまとめてしょっ引いてしまいたい。二人まとめて護送馬車へ放り込み、いざ司法の裁きにかけようとしたところで、元軍人の父親が手勢を引き連れて登場、小さな開拓街は一触即発の雰囲気に。

   というところで宇宙人の戦闘艇が襲来、その場にいた人間を大量にさらっていって全てが有耶無耶になったのでクソ笑いました。なんだこれ。

「サプライズニンジャ」という作劇の法則が提唱されているらしく、いわく、「突然忍者が現れて、登場人物をなぎ倒して去っていく方が面白い場合は、そのシナリオの面白さが足りていない」んだそうで。

そうは言っても、どんなシナリオでも突然忍者が現れて登場人物をしばき倒してったらそんなもん面白いに決まってるので、相当高いハードルを課してるなあと思うのは俺だけじゃないはずです。

つまり、どうやったって面白すぎるサプライズニンジャを雑にエイリアンに置き換えたこのシーンも面白いに決まっているのです。(※注・映画が面白いとは言ってない)

大物俳優はダニエル・クレイグだけでなくハリソン・フォードまでキャストしているのに、西部劇の世界に唐突にエイリアンが襲来するのに、それなのに抜けきれない凡庸さ。エイリアンの超文明に対峙する絶望感や、それでも対立していた人間同士が手を取って立ち向かう熱さ、あるいは突き抜けた馬鹿さ加減など、どれも見当たらず中途半端が否めない。

どうせやるなら「バトルシップ」のような馬鹿さと熱さがほしかった。クリーチャーデザインもいまいち魅力がないし、全体的に妙に淡々としていて、どんな顔して観たらいいのか分かんないんだよね。

まあ最初のエイリアン襲来の瞬間はめちゃめちゃ面白かったのでそこまでは観てもいいんじゃないでしょうか。たどり着くまで30分かかるけど。 

沈黙の戦艦

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戦艦ミズーリの中でセガールがテロリストを相手にダイ・ハードするやつです。音に聞こえた最強コック、ケーシー・ライバック兵曹を一度観ておこうと思いまして。

古典ではないが、そこそこ古い映画の空気感。いかにも昔の金曜ロードショーでやってそうな感じ、今観るとすっげえ良い味わいがあります。

退官直前のミズーリの内部、古いコンピューターや計器類のビジュアルがフィルムカメラによる解像感甘めの映像で映し出されると「うわぁ、親父がビール飲みながら観てた感じのやつだ!!」ってなって、観たこともない映画に謎のノスタルジーを感じる。洋画を観て実家の茶の間を思い出すという。

内容は何の変哲もないダイ・ハードなので安心して観ていられます。元SEALSのセガール無双やセガール拳による謎のナイフ捌き、ただの足手まといから異様に頼れるパートナーと化すヒロイン、ラスボスのトミー・リー・ジョーンズのぞんざいな殺され方など、見所多数。

お約束・王道とよばれるものの源流に近い、こういう作品をたまに摂取するのはとても良いですね。

アップグレード

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Amazonおすすめからの高評価レビューで観てみたけれど、なるほど、これは面白い。

ある日、謎の男達に襲われて妻を殺され、自身も全身麻痺となってしまった主人公。知人のAI企業トップの助けで脊髄へ最先端のチップを(非合法に)埋め込み、自由に動けるまでに回復したばかりか、人間離れした身体能力を手に入れることになる。

男は死んだ妻の復讐を果たすため、襲撃犯の調査を始めるのだった……。

まず、アクションがすごく良いですね。AIに体の操作を委ねることで、オートパイロット的に戦うことになるんですが、AIなりの合理的な動きと常識離れした身体能力により、人間の体で全く感情のこもっていない無機質なバトルが展開されます。

その面白アクションを強調する独特なカメラワークなども含め、「リベリオン」のガン=カタをちょっと思い出しました。絵面は全然違うんだけど、機械のような動きから何故か連想させるものがあります。

そして襲撃者とその黒幕を追うサスペンス。期待通りの展開、からすごいとこに着地する結末が素晴らしい。終わってから「すげえ良いタイトルだ」って思わされる。SF短編「スパイス」を読んだときのそれを思い出しました。 

夢の樹が接げたなら (ハヤカワ文庫JA)

夢の樹が接げたなら (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:森岡 浩之
  • 発売日: 2017/10/31
  • メディア: Kindle版
 

 最先端のAIチップがゲジゲジICなのだけは納得いきませんが。

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エニグマとサメとワニ ー 最近観た映画の感想

イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密

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これは素晴らしい。

ひとつの作品でこれだけ多くの感情を描き、観ているこちらにも複層的でなんとも言い難い気持ちと複雑すぎる余韻を抱かせる。あらゆる感情てんこ盛りの映画だと俺は思うのです。エモい(語彙力)。

アラン・チューリングのチームによるエニグマ暗号機解読の実話を元にしたお話。

アランの尊大に見える態度や他人との会話の噛み合わなさから、社会性のない超天才が周囲の無理解をものともせずに無双して偉業を成し遂げる映画だと思わされるのですが、そういうテンプレめいた予想はやがて裏切られます。

アランは自分のマシンで暗号を解読するという方針だけは絶対に譲らないものの、自分ひとりの力ではそれが叶わないこともまた認めて、チームメンバーと打ち解けようと努力をする。んだけど、普段から人との関わり方を知らないからやりかたがヘッタクソで。それがたまらなく愛おしい。

一方で、アランをいけ好かないと思っているメンバーも選りすぐりの暗号研究者なので彼のやりかたの正しさにはやがて気づいていく。だからこそ、ぎこちなくも互いに歩み寄る。こういった友情とか仲間意識以外でつながる関係性が好きでねえ。

その潤滑油の役割を果たすのがチームの紅一点、キーラ・ナイトレイ演じるジョーン・クラークで、この人がまた、これまで見たどんなヒロイン像にも当てはまらない良さ。

アランが一目置く才能を持ち、軍の研究所という男社会で渡り合う。作劇的なテンプレで言えば「強い女」ポジにあたるはずなんだけど、この人はなんというかしなやかなのですよね。

誰にも負けない能力を持ちながら、一歩引いて好かれようとすることを厭わない。現代にまして立場の弱かった女性だからこその戦い方。アランもそんな彼女から学んでメンバーと関係性を築いていく。

その彼女が素晴らしい豪胆さをみせるシーンがとても好きなのですが、ネタバレになるので詳しくは伏せます。

歴史上の事実としてエニグマが解読される日が来るのは分かってるわけで、彼らがどうやってそのゴールに辿り着き、どんな振る舞いを見せるのかというのがこの映画の山場のひとつ。そこでめでたしめでたし、というのがプロジェクトものの映画ではよくあるパターンですが、それで話が終わらないからこの作品は素晴らしい。この作品の複雑な余韻は解読後を観てこそのもの。

単なる「プロジェクトX」で終わってても全然面白いところに、戦争のエグい現実や政治的権謀術数、アランが抱え続けて生きて死んだマイノリティの孤独などをぶち込んで終戦後までをたった2時間にパッケージ。その2時間で不足も蛇足も感じさせない美しい映画に仕上がっております。

たった2時間でこんなにも。「~が好きなら」みたいな枕詞抜きでおすすめ。

あと単純にチューリングマシンのビジュアルがめっちゃ格好いいのでメカ好きも観るのが良いと思います。

デビルシャーク

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超名作から最悪のコンボを組んでしまった。

Z級サメ映画には往々にして「サメがほぼ出ない」という特徴があるようですが、この映画もそれを地で行っています。

嫁さんが「ゾンビーバー」を観たことをtwitterで呟いたらフォロワーからこの「デビルシャーク」をオススメされてしまったらしく、また、俺は俺でこの映画の酷さは伝え聞いていたので、喜び勇んで嫁さんと一緒に観たわけです。

いや、すごい。これ観るとデビルマン」はまだマシなのがわかる。あっちは原作付きという事もあってストーリーは分かるもの。

誰かが水に近づく → 3秒ぐらい報道番組の解説CGみたいなサメのカットが映る → 襲われる、または取り憑かれる演技(サメ無し) → 突然場面が切り替わる

という事が延々繰り返されます。

とあるサメ映画のレビューで「サメと人が同じ画面に映っている」という褒め言葉を目にしたことがあるのですが、ようやく意味が分かりました。

低予算映画には演技が下手、脚本が下手、カメラが下手、画作りが下手、という作品が少なからずありますが、この映画は加えて編集が絶望的に下手、というか描写するのが面倒くさくなったら適当にぶった切って出来事の顛末は視聴者に各自考えてもらうという手法をとっています。

おかげですべてのシーンの繋がりに全く脈絡がないうえに、頻繁に全く意味のないシーンが挟まるので何が起きたのか一切把握できないまま映画が進みます。観ているとホラーと違う理由で心が不安定になってきます。

馬鹿なわけでもなく、悪ふざけをしているわけでもなく、ただひたすらに全てが下手くそなだけの映画。それでもこれを完成させて世に出す思考が一体どこから湧いて来たのか、それが分からなすぎて一番怖い。 

クロール ー凶暴領域ー

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サメからワニ。普通の評価がついてるアニマルパニック映画で口直ししようと思って。

超巨大ハリケーンが接近する中、家の床下になんかワニがいて、父娘が命がけの脱出を試みます。こんなシチュエーションですが、馬鹿パニックではなくシリアス系。

この父娘、ピンチに陥って話を盛り上げるためだけに愚かな行動ばっか取るんですが、これを観たときの俺はワニがちゃんとワニなだけで全て許せたし、ワニと人が同じ画面に映ってるのすごいなあ、とか思ってました。

ワニの皆さんは有象無象のモブをアグレッシブにお食べあそばされます。基本、水中に引きずり込まれて見えない所で食われるので、えぐいゴア描写が少ないのも良いところ。

食われるのは災害に乗じた火事場泥棒とか、視聴者的には何の思い入れもない主人公の姉の元カレとかなので、元気よくまりまり食われまくる食べコンボにはある種の爽快感があります。まあそれだけの映画なんですけど、アニマルパニック映画なんてそれで十分ですね。

あと、嵐の屋外の映像が彩度低めのコントラスト強めに加工してあって、水墨画みたいなカッコよさがあります。ワニもいいけど水害描写が良かったな。

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Chromecast with Google TVで毎日映画を観ている

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NetflixやAmazon Prime Videoのマイリストって溜まっても案外観ないんですよね。観たいと思ってブックマークしてるのに。

うちは「さあ映画観るぞ」とプロジェクターをONにするときを除いては、飯食うときにニュースを流したり適当なアニメか海外ドラマを流す以外に映像作品を観る機会がないのですが、最近はそのタイミングで映画を流すことが多くなりました。

普段から習慣的に何かを観ている時間に、観たかった映画をねじ込む。積読消化みたいなもんです。こういう映画の消費の仕方は怒る人もいそうな気がしますが、「時間ができたら観よう」は大抵時間ができても観ないので、消費だろうと消化だろうと観といた方が充実した時間が過ごせます。

もとより2時間ぶっ通しで観る気はないので、食事が終わったら中断したり、面白ければそのまま最後まで観たり。テレビの洋画劇場だってCMのたびにブツ切れになってその間にお茶入れたりトイレに行ったりするんだから、自宅で映画なんてそのぐらい適当に観りゃいいんです。

加えてさらに、映画を観始めるときのハードルを極力下げたいと思いまして。

もともとは食卓上に置いていたGoogle Nest Hub Maxの画面にスマホアプリからキャストして観ていたのですが、毎度アプリを立ち上げるのがかったるい&シーク性能があまりよろしくないので卓上サイズの小さいテレビとChromecast with Google TVを買ったのです。

Google TVめっちゃ良いですね。たぶんFire TV Stick 4Kでも同じようなことはできるので、その辺は個人の環境次第で選べば良いと思うのですが、同じインターフェースで複数のサービスを横断的に扱えるのが非常に便利です。

物理ボタン一発、もしくはGooglehomeへの呼びかけでテレビの電源ごと起動でき、ホーム画面には登録済のサービスからのおすすめがまとめて表示される。

もちろん検索も一括で。観たい作品がある場合、スマホやPCだとそれぞれのサービスで検索をかけなきゃいけないところが、Google TVならリモコンのマイクにタイトルを言うだけで視聴可能なサービスを全部引っ張ってきてくれる。

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上の画像なら、レンタル・見放題含め、4つのサービスで視聴可能ということ。便利すぎだわこれ。

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具体的にタイトルを指定しなくても、検索はGoogleですから適当に曖昧なワードを放り込めばそれなりの精度で返ってきます。

「SF映画」などの大きなワードで検索すると「人気のSF映画」に始まり「SFアクション映画」「SFファンタジー映画」「宇宙人侵略SF映画」「人工知能がテーマのSF映画」「地球外生命体がテーマのSF映画」「サイバーパンクSF映画」その他もろもろ、と細かくカテゴリ分けして大量に拾ってきてくれるのも結構すごい。

さらに、ユーザーはGoogleアカウントと紐付いているので、PCやスマホのブラウザで気になる作品を見たいものリストに入れておけばGoogle TVから参照できます。

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ブラウジング中に気になったものがすぐブックマークできるのがまず便利だし、加入しているサービスにない作品もとりあえずブックマークしておいて、見放題に追加されたらすぐ分かるようにしておく、なんて使い方もできます。

それと、当たり前ですが普通のChromecastとしても使えるので、スマホの対応アプリから映像を飛ばせます。

上の記事で書いているように、スマホで見ている動画を簡単に大画面でシェアできる、というのが主な使い方。家族がいると何だかんだでこの機能もよく使います。

他にも色々アプリはありますが、個人的にはSTEAM LINKが結構嬉しいです。手元のノートPCから手軽にゲーム画面を飛ばせるやつ。今嫁さんとBABA IS YOUを遊んでるところなので。

一人で遊びがちなPCゲーム画面が簡単にシェアできるのはなかなか良いものです。

ソニーのAndroid TV対応テレビも持っていますが、シームレスな使い勝手でGoogleTVが一枚上手。大型の上位機種にしか実装されていない機能(というか、それを上回る機能)を省スペースな小さいテレビでも実現できるということでもあります。

適当な映像に素早くアクセスできるので、従来テレビ放送の「とりあえず観るでもないBGVをすぐに流せる」という大きなアドバンテージも埋まってしまいました。

本当にいいですよこれ。元からうちにはアンテナを付けてないけれど、もう本当に地上波いらねーわ。