キラー・メイズ
自宅にダンボールで迷路を作った男が、中で迷って脱出できなくなってしまった。
そんな馬鹿なと恋人や友人たちが入ってみると、小さな入り口の先には広大なダンボール製の迷宮が広がっていたのだった。
中にはダンボールで作られた殺人トラップやモンスター。各種紙製品で作られた世界で、犠牲者たちは罠にかかり死ぬ。血しぶき代わりに赤い毛糸や紙吹雪を舞い散らして。
と、ビジュアル的にもアイデア的にもめっちゃくちゃ面白そうなのにびっくりするぐらいつまんねぇのね、この映画。面白いのはダンボール迷宮のセットだけだったわ。
人死にを出すことでガチのサバイバル物にするのか、緊張感のない感じでコメディにするのか、どっちも中途半端で、笑えない上に緊張感がないという悪いとこ取りになっちゃってる。
絵面は面白いのになぁ。もっと他にやりようはなかったもんか。もったいない。
ガンズ・アキンボ
こういう1mmも頭を使わない映画を劇場で観ることこそ娯楽であり、最高の贅沢。ダニエル・ラドクリフは役者として「ハリー・ポッター」に強く固定されたイメージを意図的に壊しにいっているようにも思えます。もうずっとこんな役ばっか演っててほしい。
参加者同士の殺し合いをライブ配信する闇サイト「スキズム」。そこにクソリプを飛ばし運営を怒らせたマイルズ(ダニエル・ラドクリフ)は両手に拳銃を固定され、無理矢理バトルにエントリーさせられてしまう。対戦相手はスキズムで連戦連勝の猛者、ニックス(サマラ・ウィーヴィング)。果たしてマイルズは生きて解放されることができるのか。
まあ内容は割とどーでもいいんですよ。ヘタレが死にもの狂いで逃げ惑う前半と、二丁拳銃(アキンボ)でバンバンバラバラと銃弾を振りまいて敵を倒しまくる後半。何ひとつ考える必要はありません。こういう映画だろうな、と思って劇場に行ったらそういう映画が流れてました。
ポップなイラストやフォントのアイキャッチがバンバン入ってくる演出は最近良く見ますが、人気サイトの見せ物という体にぴったりマッチ。ご機嫌な音楽とともに、元ハリー・ポッター演ずる銃撃と爆発の脳筋デスゲームを鑑賞できます。
そして対戦相手のサマラ・ウィーヴィングがまた非常に役にハマっております。薄い眉、ウォーボーイズばりのアイシャドウ、鋲だらけでトゲトゲのジャケットを着て、鼻にクスリを突っ込んでご登場する最高に柄の悪い姐さん。
この楽しそうなガンアクションを見よ。絶対にお近づきにはなりたくない格好良さでございます。彼女が暴れる序盤だけで元が取れるやつ。
友情、恋愛、親子愛、登場人物の動機づけとして申し訳程度に突っ込んでありますが、そんなもんは横に置いといて、虚構全開の爽快なアクションを楽しみましょう。
あと、マイルズがカメラに向かって「お前らが観るからこんなサイトがのさばるんだ」的なことを訴えたときに視聴者全員大爆笑してたのは最高でした。そうそう、インターネットってこんな感じ、という。
「SEARCH」にも通ずるものがある、ネット批判というよりも単に今の時代を映した描写ですよね。フィクションだからこそ描ける身も蓋もなさ。好き。
ビーチ・シャーク
「砂の中で流体力学的に有利なウロコ」を持ったサメが、ビーチをパニックに陥れる!!
全くサメ映画は言い張ったもん勝ちですね。言うまでもなくクソ映画なんですけども、「デビルシャーク」の後だと全然観れちゃうから本当に罪深いわあの映画。
少なくともカメラはちゃんと使えてるし、 ストーリーは概ね「ジョーズ」そのまんまなのも観やすい理由のひとつ。言い換えると、サメが砂の中を泳ぐことを除けばオリジナリティはほぼないと言って良いです。
この映画でジョーズの海水浴場に相当するのは、島興しとして開催される砂浜での音楽フェス。砂の中を泳ぐサメによる人死にが出ていることを隠したまま強行して大惨事になるという、うん、まあほんとそのまんま。
昔のB級映画みたいに無意味にオッパイを出させようとして、さぁオッパイを出すぞ、せーの、(バクン)と喰われるのはとても良かったなあと思いました。オッパイを出さずに済んだという点でポリコレ的に。この辺は近年の映画なんだなと感じます。まあ喰われたけど。
そしてパニックを起こした客はビーチから去らずに四方八方めちゃくちゃに走り回る。この人達は虫なのかな? って思いました。
他には砂の中は見えないから基本的に背びれだけ出しときゃいいってのが良い発明ですね、というのと、一応ちゃんと映画にはなってるというあたりが褒めるポイントでしょうか。
「デビルシャーク」は本当に酷かったんですが、自分の中の閾値を大幅に押し下げて、楽しめるものが増えたという意味で良い面もあったと言えますね。
いわゆる「バカ舌」になることが幸せなのかどうかは分かりませんが。