ゾンビ映画は全部こういうのでいい ー 最近観た映画の感想

コードネーム U.N.C.L.E.

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全くタイプの違うCIAとKGBのイケメンスパイが手を組んで、世界の危機に立ち向かう。

ファッションや立ち振る舞い、ひとつひとつの言動や部屋の室礼に至るまで、ガイ・リッチーの映画はスタイリッシュで隙がない。

なので毎回はまり切れない俺がいる。こんなオシャレなもん絶賛できる人間じゃねぇんだよう俺は、って毎度毎度なる。ロックストックとスナッチしか観てないですが。

いや、面白いんですけどね。派手さはないけど、テンポのいいストーリーとアクションでずっと退屈しないで観ていられるし、コメディ要素もいい感じ。「小気味いい」という言葉がしっくりくる。

それを手放しで褒められないのはスマートで格好いいものに気恥ずかしさを感じてしまう俺の僻み根性ゆえで、根本的なところで相性が良くないとしか言いようがありません。

それでも観た作品は全部面白かったんだからすげえよな、とも思う。

クワイエット・プレイス 

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音に超反応して襲いかかる謎のクリーチャーが跋扈するようになってしまった世界。生き延びた僅かな人類は文字通り息を潜めて生活しているのだった。

ものすごく面白そうな設定のシチュエーションホラーなのに。

誰もがツッコむでしょうけれど、どうしても言わずにいられないので俺も書いておくと、何故その状況で子供を作る? 妊娠してからクリーチャーが現れたんじゃなくて、明らかにクリーチャーが人間を襲いまくっている真っ只中でご懐妊してるんだよ日数的に。

この辺、作中の時系列を変えておけばいいだけなのに、何故かそんな順番になっちゃってるもんだから観ててずっと何してんのお前ら。って考えが拭えなくなっちゃうんだよね。ほんと何してんのお前ら。

音を立てちゃいけない状況で産声をあげさせたかったんでしょ。わかるよ。でも流石に考えなしにも程があるでしょうよ。制作陣が。

で、ずっとその思いが頭の中から離れないまま観ることになるんですが、その思いは最後の5分で「銃効くんかい」に塗り替えられます。

いや、効くのかよ。それならなんで人類ここまで追い込まれてんの。この世界の軍隊は全員チンパンジーか何かで編成されてんのかな?

砂を敷いて歩くとか、非常事態をライトの色で伝えるとか、ディティールにはこだわってるのに、シチュエーション作りがえらく雑なので茶番にしか見えないのだよね。

いっそ「ミスト」(映画版)オチなら多少は説得力がある気もするんですが。ないか。

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY

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うん。まあ面白くはなかった。

「ジョーカーの女」を笠に着て好き放題やってたハーレイが、ジョーカーに捨てられる。それを聞いて四方八方から復讐に来る男どもを千切っては投げたり投げられなかったりする。

ということで、そこら中でやりたい放題暴れるハーレイのアクションが見どころなんだけど、華奢なハーレイの攻撃力に説得力をもたせるためにやたら回転して遠心力を使ったり長い助走したりすんのね。

敵がわざわざ攻撃を喰らうまで待っててくれてるように見えちゃって、あんまり爽快感なかったなあと。

マーゴット・ロビーのハーレイ・クインは本当に似合っててハマり役だと思うんだけど、悲しいかな「スーサイド・スクワッド」共々、登場作品が面白くない。

DCEUの映画はMCUと比べて当たり外れが激しいね。次のスーサイド・スクワッドはジェームズ・ガン監督なので期待してますが。

ザ・フォーリナー/復讐者

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IRA(アイルランド共和軍)系組織の爆弾テロで一人娘を失ったジャッキー・チェンが復讐のため孤独な戦いを始める。

これは全くもって俺個人の問題なのですが、最後に見たジャッキー・チェンが「カンフー・ヨガ」だったもんだからその落差のひでえことよ。

だからこそ常に悲しみを湛えたジャッキーの演技が映えたと言い張ろう。ああ、ジャッキーってこんな役もできるんだ、と心の底から思えたので。

作中の殆どの時間で、戦う相手は犯人ではなくピアース・ブロスナン扮する北アイルランドの副首相。というのも、ジャッキーは実行犯が誰かもわからないので、犯人を教えろ、と元IRA活動家の副首相を脅迫するわけです。爆弾で。

元特殊部隊所属の卓越した戦闘能力ではなく。使うのはまさかの工兵スキル。まさかの爆弾テロ返し。意外な展開すぎて開いた口が塞がんねぇですわ(褒めてます)。

対人戦のアクションはいつもどおりジャッキーらしい周囲の環境を利用した戦い方。動きそのものはまるっきりカンフー映画なのに、風景や画作りのトーンがヨーロッパになるだけで全く別のものに見えてくるから面白い。

これは先日「燃えよデブゴン/TOKYO MISSION」で感じたのと全く逆の感覚。あっちは東京なのに香港にしか見えなかったなあ。

ともあれ、終始目が死んでるジャッキー・チェンは非常にいい感じでした。カンフースターとしてのジャッキーのファンからはあまり評価が高くないみたいですが、俺は好き。じっとりと執念深いストーキングをするジャッキーは新鮮ですよ。

ゾンビランド

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「自分ルール」を守り、わりかし気楽な感じでゾンビアポカリプスを生き延びた主人公。同じノリで生き残っていた人間たちと安住の地を探して気ままに旅をする。

コメディタッチでふわっと軽く描写される人類滅亡と、適度に弱いゾンビ。緊張感なんてこれっぽっちもありませんが、ゾンビ映画なんて全部このぐらいでいいと思ってる。

要約したら5分ぐらいで終わりそうな内容ですが、演出もテンポもいいので間延びを感じさせない。いや本当に内容はないんだけど。

途中、「ゴーストバスターズ」のビル・マーレイが本人役で出てきます。カメオ出演と言うにはやたらと長く、そのうえストーリー的には全く要らないくだりなんですが、突然色々雑になって妙に面白いので大好きです。全体的にきっちり作られてる映画なのに、そこだけ急にクソ映画化するの。

主人公のジェシー・アイゼンバーグはどっかで見た顔だと思ったらBvSのレックスか。ナード学生役が似合いすぎ。

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