最近の嫁さんの趣味はザクです。
ザク。ガンダムの。何かの比喩とかではなく。
スマホの待受やPCの壁紙がザクになったかと思えば、いつの間にかガンプラ買っていそいそ組んでたりする。次はRGのエリック・マンスフィールド専用機を組むんだってさ。
嫁さんは素組みで十分楽しいってんで色を塗る気はないらしいのだけれど、墨入れだけはしたいというので塗料を買いに模型店に付き合ったわけです。
ところで話が全然変わるんですが、世の中には大鎌戦役という世界観とビジュアルが超絶イカスボードゲームがあります。
ヨーロッパ風の異世界戦記ものとでも言いましょうか。ゲームの要素に他プレイヤーとの戦争があって、そこに使われるのが「メック」と呼ばれる多脚戦車のプラスチック駒。これがそれぞれの国で異なる絶妙なダサかっこよさを醸しております。
世の中にはこれをさらに格好良く塗っちゃう人がいるんですよね。
大鎌戦役 基本セットのトップコートまで完了しました!
— Kanjin (@Kanjin_bear) 2018年6月6日
Painting of "Scythe" basic set is completed.
#大鎌戦役 #Scythe #Stonemaier
#シタデル #Citadel #minis pic.twitter.com/Kh1AH57oB4
まあ俺にはそんな技術はないので関係ない話なんですけども。
ところで話が全然変わるんですが、世の中にはクトゥルフ・ウォーズという世界観とビジュアルが超絶イカスボードゲームがあります。
こちらは名前の通りクトゥルフ神話モチーフのゲームなんですが、旧支配者の復活を阻止するために戦うのではなくて、魔物や邪神の類をじゃんじゃん召喚しまくって世界の覇権を取りにいくゲームです。(とりあえず文明は滅ぶ)
これもアホみたいに大量に詰め込まれたフィギュアが本当に良く出来てるんです。
当然これも人の「塗り欲」を刺激しますよね、っていう。
クトゥルフウォーズのコマ塗りあがりました〜♪明日9/29はクトゥルフの日‼️ということで新川のボドゲカフェ、アインプロージット‼︎で開催されるイベントで実際にプレイ出来ます🎶#クトゥルフウォーズ #クトゥルフ #アインプロージット #アークライト pic.twitter.com/9Wz17oNY3q
— MAX渡辺 (@MAXWATANABE) 2017年9月28日
まあ俺にはそんな技術はないので関係ない話なんですけども。
さて、話を戻して模型店。
プラモ趣味には縁がなく、しかしながら「塗りたさ」だけをお持ちの俺は、嫁さんの買い物ついでにウォーハンマーのスタートガイドを買ったのでした。
沼の様子を見に行った pic.twitter.com/3Zey2sXJiM
— baumkuchen (@baumkuchen_) 2019年5月19日
ウォーハンマーがどういうゲームか、詳しくはメーカーサイトとかを見てもらうとして、なげやりに言えばルール付きのブンドド遊びです。
ゲームの駒として大量に発売されているプラモデルのミニチュアフィギュアには全て設定とパラメータがついていて、それを統一されたルールのもとで戦わせるという、ボードゲームやTRPGに近い遊び。フィギュアをコレクションして、能力を組み合わせて自分の部隊を作るという点ではトレーディングカードゲームのデックビルド的な要素もあるのかな。
そういう立て付けの遊びなんで買ってきてすぐゲームプレイとはいかず、その前段階としてプラモを組み立てて色を塗るという工程があるわけです。
クソめんどいと思うでしょう? 俺もそう思う。
10個も20個もプラモを組んで塗って、ようやくプレイできるなんとも気の長い遊び。塗らなくても勿論遊べるんだけど、単色のままで見分けがつかないプラスチックフィギュアを並べて遊んでも味気ないじゃない。
そんなわけでボードゲーム好きとして興味はあれど、死ぬほどハードルの高いミニチュアゲームには手を出さずにいたわけです。今回それを手頃な色塗りの練習台として買ってきたというのが事の顛末。
ゲームをすることが目標だとゴールは果てしなく遠いんですが、「塗ること」そのものを目当てに買ってみたところ、それ自体がすんげえ楽しくてですね。
ウォーハンマーにはファンタジーの「エイジ・オブ・シグマー」とSFの「ウォーハンマー40000」の2シリーズがあるんですが、どちらも造形の作り込みが素晴らしい。
これはスタートガイド付属のミニチュアフィギュア。全長ほんの4cmのプラモで、たった5~6個のパーツを組み付けたらおしまい。
組むこと自体を楽しませる、組んだあとも可動性の高さで遊べるガンプラとは根本的に思想が違う。パチパチとパーツを組み合わせたら5分足らずで終わる、色分けすらされていないプラモ。「でもディティールがすごいだろ? 動かせなくても最初から格好いいポーズにしてあるから集めて眺めて楽しめよ」という世界。
そして、このあと塗らなきゃならないことに関しては「そこが楽しいんじゃん!!」という売り方です。で、実際楽しいんですよこれが。
さて、ようやく本題。
プラモに興味のなかった素人の初塗りでこのぐらいはできます。ちゃんと塗り分けもできてるし、塗りムラは目立たず、質感もそれっぽくなってるでしょう?
俺は性根が雑なもんで、「色をはみ出さずに塗る」とか「折り紙をずらさずに折る」ということができない子供だったんですが、そんな人間がやってもそれなりに仕上がる。それを可能にしているのが、同メーカーが販売している「シタデルカラー」という塗料と、「シタデルペイントシステム」と呼ばれる色塗りメソッド。
要するに、指定の塗料で言われた通りにやれば誰でも格好よく仕上げられるようにメーカーが道を整えてくれてるんですね。
スタートガイドや、フィギュアとシタデルカラーがセットになったペイントセットを買えば一通り塗り方の解説は書かれてますし、必要な塗料を指南してくれる専用アプリまである。
この色を使えばこういう仕上がりになりますよ、と。
ペイント素人の俺は書かれている通りにやるだけなんで、そこに創造性なんてもんはカケラもないんですが、手順を踏むごとに、手を加えるほどに、フィギュアのディティールが増して格好良くなっていくのがすんげえ楽しい。
このシタデルカラーという塗料は重ね塗り可能な水性塗料というのがいいところで、つまりはどれだけはみ出してもすぐにやり直しができるんです。
乾く前ならティッシュで拭っちゃえばなかったことにできるし、乾いて定着しちゃったなら上から新しい色を塗ればそれだけで隠せる。小中学校で使わされる水彩絵の具とはわけが違う。「どんなに失敗してもリカバリーできる」というのは、はみ出さずに塗れない子にとっては福音ですよ。
適当ににベースカラーを塗った上に、べしゃべしゃとシェイドを塗りたくればそれだけでそれなりに格好のつくミニチュアフィギュアの出来上がり。
シェイドとはなんぞや、というと、粘性が低く、透明度が高く、かつ暗い色の塗料。何も考えずにただ塗るだけで造形の隙間に流れ込んでいい感じのコントラストをつけてくれる。
これは今塗りかけのやつですけれど、各所の細かい意匠のエッジが暗く引き締まって浮き上がって見えるわけです。これに関して言えば、はみだしてもOKどころか、はみ出すとかはみ出さないとか全然関係ないんですね。全体に塗れば勝手に隙間に溜まって自動的に格好良くなるんですから。初心者でも超かんたん。
このように模型用塗料というのはそれぞれの用途に合わせて、きちんとチューニングされてるということを知りました。難しそうだと敬遠していた身からすると、ちょっと感動的な知見です。
あとはハイライトを入れるなど、細かい工程を経るほどに完成度は確実に上がっていきます。いずれの工程にも言えることは、 理屈がまずあって、それに従えば狙ったとおりの結果が得られるということ。ウォーハンマーの場合、それがスタートガイドなどでわかりやすく解説されているということ。
どれだけのクオリティを求めるかは人によって違いますが、俺は「素人でもここまでできるんだ」という実感が楽しくて仕方ありません。
で、ゲームはさておき、「もっと塗りたい」という状況になっているのが今の俺です。
そんでウォーハンマーのフィギュアって、これがいちいち格好良くてコレクション欲をそそるんですよね。以前ボードゲームの話のところで書きましたが、俺は「小さくて規格の揃ったものがたくさんある」というのに弱くてですね。
こういうのとか。
こういうのは眺めるだけでもう最高かよ、ってなりますね。ボスクラスの大物フィギュアの格好良さもさることながら、ポーンに相当する兵士たちが皆同じ格好しているのにポーズや武器が違うあたりが本当にたまらん。
しかもこれがさらに幾つもの勢力に別れてて、それぞれにアーミーを構成できるほどのフィギュア数があるんだと。殺す気か。
スーパーロボットや美少女フィギュアはあまり心の琴線に触れないのですが、正直この辺のパワーアーマーやモンスターアーミーはどツボです。
まあ、このままこの沼に足を突っ込み続けるかどうかはともかくとして、これで手持ちのボードゲームの駒を塗れる見通しは立った気がするので、もう1~2体ウォーハンマーで練習したら実行に移したいと思います。
この記事で言いたかったのは
- フィギュアの色塗りに器用さやセンスは不要
- 塗るのすげえ楽しい
ということでした。ここまであからさまな沼に人を呼ぶのも気が引けるので強くおすすめもしませんが、もしシタデルカラーによるプラモの色塗りそのものに興味が出たらウォーハンマー40000のベーシックペイントセットが良いと思います。
フィギュア1体にボトル1本で590円するシタデルカラーが12色、筆と指南書がついて5000円。死ぬほどお得ですし、本当にこれだけあればプラモの色塗りに入門できます。(サーフェイサーも買えばなお良し)
フィギュア3体にシタデルカラー6色で4000円のセットもありますが、6色だとフィギュアを塗り切るのには足りないので(量じゃなくて色数が)、最初は12色のセットを買って気に入ったら追加で買うのがおすすめ。
ところで「規格の揃った小さいもの」というと、シタデルカラーのボトル自体もそれなんですよね。
これを少しづつ買い揃えていくのも実に楽しそうで、全くもって嫌な予感しかしません。懐具合的に。
2019/06/02 追記
塗りかけのやつ完成させたんで見て
人生において2個めのプラモ塗りでこれだけできれば上出来でしょう。
俺が特別手先が器用な人間でないことは重ねて書いておきます。素人でもここまでできるのだからシタデルペイントシステムは本当にすごい。
あとモデラーの人がおすすめしてたこの筆使ったら、信じられないぐらい細かい部分が塗りやすくなりました。本当に超おすすめでした。