最近観た映画を30本まとめておすすめしたりしなかったり
ここ3ヶ月ぐらいで観た映画の感想を適当に書いていきます。
ハンガーゲーム
かつて反乱を起こした12の地区から毎年男女各1名づつ、計24名の少年少女が集められ、最後のひとりになるまで殺し合いをさせられる。ゲームの様子はTVで放映され、反乱者への見せしめと同時に富裕層の娯楽にもなっているという、ディストピアかつデスゲーム作品。
ゲームが始まるまではよかったんだよねぇ。かつてのゲームの勝者から生き抜くためのコツを伝授されるくだりとか。好感度を上げるとスポンサーが付いて物資が供給されるので有利になるなんてシステムも面白い。
ただ肝心のゲームがグッダグダ。駆け引きも戦略もあったものではなく、ただなんとなく死んでいくプレイヤーと適当に改変されるルール。
大した盛り上がりもなくヌルっと終わる。何がやりたかったんだ。
ファイト・クラブ
評価が高いのはよく分かる。
ただシンプルに殴りあうことで生を実感する喜び。自分の預かり知らぬ所で組織が肥大化していくことに対する戸惑い、気づいた時にはコントロール不能になっている恐怖。中盤から急転直下、最後まで全く退屈させないストーリーは素晴らしいし、バシッと伏線がハマる大オチも良かった。
んだけど、俺は別に殴り合いにカタルシスを感じないのが問題で。大したストレスも抱えずにのほほんと生きているので、打撃で解き放つべき何かをそもそも持っていないんだな。
男の本能? 何それ。IKEAの家具、結構じゃないか。こんな具合で根っこの部分でシンクロ出来なかったのが残念。
それはそれとしてミステリーとして面白かったです。
デッド寿司
クソ映画を作ろうとしてちゃんとクソ映画になっているので良いと思います。
生物を凶暴化させる薬により、空を飛び人を襲うクリーチャーと化した寿司。寿司に食われた人間は口から酢飯を吐き出すゾンビとなる。いやー、画ヅラが汚い汚い。
無意味なエロ、必要以上のグロ、安っぽいCGや着ぐるみといった低予算バカホラーのポイントはしっかり押さえてあり、真面目にクソ映画を作ってるのはよく分かる。ヒロインがしっかりアクションできる人ですし、結構観れますよこれ。
あと松崎しげるが黒いです。
ATARI GAME OVER
ATARI社倒産のきっかけとなった伝説のクソゲー「E.T.」。その不良在庫はニューメキシコの砂漠に投棄され埋められたという……。
その都市伝説を追い、実際にE.T.発掘を試みるという、どこに需要があるんだかよく分からないドキュメンタリー映画。たぶん製作者が掘りたかっただけ。
徳川埋蔵金発掘みたいな話かと思いきや、当時の関係者へのインタビューがメインでゲーム史の資料としてなかなか面白い。まあマニア以外は別に観ないでも。
ラン・ローラ・ラン
恋人を救うため20分以内に大金を工面して駆け付けなければならない。ひたすら走るローラのショートムービー x3。
同じスタートからほんの少しのタイミングのズレによって大きく結末の変わるバタフライ効果を味わえる実験的映画。
試みは面白いんだけどどうにもスッキリしない。ローラも恋人もチンピラだし主要人物にろくでなししかいないので、丸く収まったところでハイそうですかという気分にしかならんのだよね。
最後に漫☆画太郎のトラックが突っ込んできて全員バラバラになるとかだったら面白かったんじゃないかな。
ミスト
絶望的な未来しか感じさせない結末の原作が好きなんです。だから観てなかったんだけど。観終わったあといい気分にはなり得ないから。
霧の中に正体不明のモンスター。ほぼ原作に忠実な脚本で人はどんどん死ぬものの、グロシーンは少なく不意打ちドッキリみたいなのもないのでホラーが苦手でも普通に観られます。人の死に様がちょっぴり安っぽいのもB級感があってむしろ安心できる。
唯一大きく原作改変されているのが結末ですが、おい、フランク・ダラボンお前性格悪すぎだ。最悪の後味になってるじゃねえか。
「実写化するならこうした方が面白いからそうしようぜ!!」
いや、分かるよ。分かるけどさ。そんな「磯野ー、野球やろうぜ!!」みたいなノリ(想像)で人の腹ん中に鉛突っ込みにくるのやめてもらえませんかね。
極道兵器
原作:石川賢。
右手にバルカン、左足に対戦車ロケットランチャーを埋め込み、人間兵器として生まれ変わった最強ヤクザが組長殺しの裏切り者に落とし前をつけさせるべく大暴れ。
たった一文で全てが伝わるボンクラぶりですが、石川賢先生の作品なのでおそらく原作通りなのでしょう(未読)。「核弾頭を埋め込んだアトミック極道」。俺はそのワードの響きだけで寿命が3分ぐらい延びましたよ。*1
どうしても安っぽいのは実際安い邦画なので仕方ない。それでも色々と趣向をこらしたアクションはなかなか見どころあり。敵に回った元親友のバトルスタイルなど、耳からとろけた脳が流れ出さんばかりになりました。(詳細は伏せます)
この手の邦画は照れがあるのか敵も味方もどうしてもちょっとふざけた感じの演技でギャグを入れてしまうのですが、それはちょっと余計だったかもしれない。折角設定もシチュエーションも頭がおかしいのだから、一貫して大真面目にやってもらったほうが馬鹿馬鹿しさが引き立って良いのになあと思います。
とはいえ俺はこの映画好きです。どう考えても大っぴらに好きだと言わない方がいい感じの映画ではありますが。
バットマン ビギンズ
俺にとって映画版のバットマンはBvSのベン・アフレックが先だったので、真っ先に思ったのは「こっちのバットマンは良識があるなあ」でした。普通はこちらが正しいバットマン像なんでしょうね。
オリジンストーリーとしてそつ無くまとまってる感じ。バットケイブでいそいそと秘密兵器を開発しているのはどのバットマンでも楽しげでよろしいね。
バットマンの格闘ベースが忍術というのは原作設定なんだろうか。外人さんニンジャ好き過ぎだろ。
ダークナイト
3部作の中でも傑作の名高いダークナイト。なるほど、これは非の打ち所がない。
未見でも故ヒース・レジャーによるジョーカーの演技は伝え聞こえていましたが、俺、これまでジョーカーというヴィランの魅力が分からなかったんですよ。天才的犯罪者とはいえ、生身の人間じゃんと。数多いる特殊能力や高い戦闘力を持ったヴィランを差し置いて、なぜジョーカーがバットマンの宿敵と言われるのかと。
しかしこれを観てその理由の一端が掴めました。凄まじく頭の回る狂人とはヴィランとしてなんと魅力的なのだろう!!
この人、その気になれば金や力は簡単に手に入れられるから、その天才的頭脳を自分が楽しむための嫌がらせにしか使わんのよね。自分が街を守らなくてはならないという強迫観念に取り憑かれて金と力を振るうバットマンの対極にいる人物。
鏡に映したがごとく逆を向いた、同レベルの狂人ふたり。確かにライバルはこいつしか居ないなと。
高い戦闘力は持たないものの、策略ひとつでバットマンも警察も「光の騎士」ハービー・デントも翻弄し続ける。そのジョーカーが唯一読みを外したシーンが白眉。ジョーカーの天才性と異常性を脚本と演技で描き切ったからこその高揚!! 最高としか言いようがない。
他にも要素はてんこ盛りで、それが破綻せずにうまくまとまっているのも素晴らしい。光のハービーと闇のバットマン、コインの裏表、ジョーカーが押し付ける二者択一など、多くの「対極」をトゥーフェイスのオリジンに絡めて、アメコミヒーロー永遠のテーマたる「正義とは何か」を問う。
問いっぱなしで「後は各自考えましょう」になるのはいつものこと。
ダークナイト ライジング
背骨治るの早くね?
前作に比べ一段劣ると専らの評価ですが、ヴィランに街が完全支配されてしまう話の大きさや、本来の法の番人たる警察の活躍、丁寧な伏線の回収など見るべき点は多く、俺は自分の中ではダークナイトと同じ点数を付けてます。あとキャットウーマン。
暗い暗い、気が滅入るほど暗いダークナイトシリーズにおいて唯一掛け値なく幸せに終わるのもいいと思うんだよね。
マチェーテ
兄貴!! トレホ兄貴!!
極悪人ヅラのダニー・トレホ演じる元連邦調査官のマチェーテが鉈(マチェット)を片手にテキサスのメキシコ移民軍団を引き連れて悪党共をブッた斬る。
「プラネット・テラー」の前に流れた小ネタの嘘予告がなんだかんだで劇場公開映画に。仕方ないよね。あの予告ムービー無茶苦茶面白そうだったもの。
「正義とは何か」だと? 俺が正義だ!! 俺が神話だ!!
そう、ダークナイトへのアンサーがここにある。*2
ヒーローの苦悩なんて欠片もないぜメキシコ人。最高だ。
トゥルーマン・ショー
ジム・キャリーのコピペじみた笑顔を見ているとオバマ大統領のgifを思い出してしまうので俺はもうだめだ。
それはそれとして、この作品は面白かった。自分を取り巻く世界、自分の半生が脚本家により作られた物語であり、それが全世界に放映されていることを唯一本人だけが知らないトゥルーマン。これはもう設定勝ちでしょう。
コメディでもありラブストーリーでもあり、ヒューマンドラマでもあるわけですが、俺は本作のサスペンス要素が気に入ってます。
些細な違和感が疑念に変わり、疑念は確信へ、確信は恐怖に変わる。なりふり構わずトゥルーマンの遠出を阻む仕込みはコメディ的でもあるけれど、気づいてしまった人間にとっては悪夢でしかない。姿をくらましたトゥルーマンを街のエキストラ総出で探しまわるシーンはもはや完全にホラー。
ほのぼのとした始まりからは想像も付かない怒涛の展開で、TVドラマ「トゥルーマン・ショー」は全世界絶賛の結末を迎える。希望に満ち溢れたラストではあるのだが、素直にいい話として受け取れない俺は根性ねじ曲がってるんだろうね。
ドーン・オブ・ザ・デッド
めっちゃ走るゾンビが話題になった、「ゾンビ」のリメイク。
突然のパニックから早々にショッピングモールで安全確保、生存者同士の内輪揉め、決死の脱出行と、ゾンビ作品のテンプレートはきっちり押さえてある。俺はそれほどゾンビものを観ているわけではないのですが、これはかなり面白い方なんじゃないでしょうか。
俺は早々にゾンビ化して皆と一緒にドドドドドと走りたいと思いました。
サウルの息子
鑑賞後の精神的ダメージがとんでもないことに。
ゾンダーコマンド。アウシュヴィッツ収容所において労務部隊として徴用された囚人。ガス室で処刑された同胞の遺体を運び、焼き、灰を捨てる。いずれは自分が同様に処理される側に回ることを知りながら。
ゾンダーコマンドのサウルはある日ガス室で見つけた瀕死の少年を自分の息子だと言い張り、彼が亡くなった後は正式なユダヤ式の埋葬をするために奔走する。
カメラは常にサウルを中心に大きく据えて、アウシュヴィッツ各所の風景はぼかし気味に撮られています。しかしそれが逆に音を恐ろしく引き立てるのね。ガス室のドアを叩く音、阿鼻叫喚の悲鳴。なんかもう、月並な言葉にしかできないけれど、これは映像化された地獄絵図。史実を基にしているからなお救われない。
そのうえガス室はまだマシな方だったりする。虚偽に気づく者はあれど、建前上は「シャワー室」であるのだから。
いよいよ収容所のキャパが足りなくなると、ドイツ兵は囚人を並ばせて順番に撃ち殺し、燃え盛る穴に放り込んでいく。囚人に許されるのは、殺されるのを知りながら列をなし、歩みを進めることのみ。
「地獄の釜の蓋が開く」という表現がありますが、そうとしか言いようのない穴の映像が衝撃的すぎてもうね。どうしてもそういったインパクトの強いシーンの話ばかりしてしまいますが。
サウルが何故「息子」の埋葬にこだわったのか、ラストシーンの意味はなんだったのか、など色々解釈の余地があってもう一度観たいところではあるのですが、まあ観ないね。しばらく立ち直れなくなるから。
でも未見なら一度観といたほうがいいよ、とおすすめはしときます。二度は観なくていいです。俺も観ない。
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
祭りじゃあ!!
大勢のヒーローが入り乱れる大混戦となりつつも、各ヒーローにしっかり見せ場を与え、なおかつ画面がスッキリ観やすい。楽しい楽しい。
確執・別離・和解・因縁。多すぎる登場人物と面倒くさい背景をアホでも分かるストーリーにまとめて、あからさまに次回作への引きを入れてくるあたり、全くもってソツがない。優等生すぎて逆に感想書きづらいわこれ。
シビルウォーのファルコン紹介画像がじわる pic.twitter.com/seMl9eV0BG
— baumkuchen (@baumkuchen_) 2016年5月4日
鑑賞直後にものすごくどうでもいいことをツイートしてしまうほどに。飛んでるところの画像にしてやれよ。
ストリートファイター 暗殺拳
ジャン・クロード・ヴァンダムのアレみたいなのを期待して観たら、思った以上にまともな映画だったのでびっくりしました。ただし超地味。
修行修行、昔話。回想でも修行、最後にちょっとバトルして俺達の戦いはこれからだ!! みたいな。
概ね公式ストーリーに忠実(?)でよく出来てますが、豪鬼の儚いラブストーリーには誰得感を禁じ得ない。容貌変わりすぎなのもちょっと笑う。
細かいディティールは思いのほか再現度が高く、スト2が好きな人ならおおっと思える部分もちらほら。しっかり作ってあるので逆にネタ映画としては中途半端なんですが、ファン向けとしては有りだと思います。
インセプション
夢のなかに侵入して情報を盗み出す産業スパイ。壮大な夢の世界を構築しておきながら、やることは依頼人のライバル企業の解体。どうにもミッションが小さいね。
夢の世界の中でさらに夢を見ることで何層にもダイブしていく多重構造は面白いんだけど、当然のことながら夢への入り口は「寝る」なのでどんな修羅場の中でもポクリと寝入るのにちょっと笑っちゃって緊張感が削がれました。
セッション
非常に評価が高いので観てみたんですが、「歴史上の偉大な音楽家は全員人間のクズだった」などというひどい俗説をうっかり信じかけるぐらいドクズですねこの人ら。
音楽のために全てを投げうつ狂気の果て、最高のセッションに辿り付き、初めて分かり合う男たち。とてつもない熱量のこもった作品であることは否定のしようもありませんが、俺は「ステージに漫☆画太郎のトラックが突っ込んできて全員バラバラになればいいのに」と思ったのでそもそも向いてなかったんだと思います。
投げやりな感想のオチに漫☆画太郎のトラックを持ってくる手法は便利すぎてどんどん頭が悪くなりそうなので以後封印します。
インクレディブル・ハルク
マーベルキャラの中では最強クラスのハルクですが、バトルスタイルが「暴れる」なのでどうしても地味です。つまんなくは無いんだけど「MCUの基礎知識」以上の意味合いが感じられないなあ。
HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス
続編らしいマンネリ感と、執拗なサム・ライミ版スパイダーマンのパロディ。
2ということでDr.オクトパスを意識した巨大着ぐるみがメインヴィランだけど、予算の少ない邦画の悲しさであんまり動かないし、中心にはめ込まれてる柳楽優弥もただ喋るだけにならざるを得ないので演技もクソもねえなと。そこまでしてスパイダーマンをなぞらなくてもいい気はする。
とはいえ鈴木亮平の筋肉とイヤな動きは相変わらず素晴らしいのでもうこの方針で3まで行っちゃってくれればいいと思います。マンネリは悪いことじゃないよ。
次はヴェノムか。黒パンティのブラック変態仮面でも出てくるんですかね。
グリーン・ディスティニー
アカデミー賞が合わないのか武侠ものがダメなのか、いまいち楽しめませんでした。同じ武侠ものでも昔観た「英雄 ~HERO~」とかは結構面白かった記憶があるんだが。
デッドプール
うむ。デッドプールがチャーミングすぎる。
仇であるフランシスの護衛を皆殺しにして、スキップしながら「フラーンシースくーん」と近づいていく姿に俺はやられたカワイイヤッター。
「第四の壁」をひょいひょい越えてこちらに話しかけてくるチャラけた主人公。ヒーローではなく、醜くなった自分の姿を治して恋人の元へ戻るためだけに戦う。デッドプール自身が最初に言ってたけれど、これラブストーリーなんですよね。何事も恋人のためという目的は一貫しているので、やることなすこと全く善人とは言いがたいのだけれど不快感はない。
常時下ネタ連発のうえ、キャラクターの性質上楽屋ネタも飛び出すのですが、内輪受けになってないのが非常にセンス良く思えました。「スーパーヒーロー着地」のくだりとか大好き。膝に悪い。
デッドプールのオリジンストーリーはあらすじで説明されてるし、ちょっと予告編を大盤振る舞いしすぎというか、アクションシーンのおいしいところを事前に結構見せてしまっているので正直なところを言えば本編がちょっと物足りないかな? とは感じてしまいました。しかしそれでも昨今の単品ヒーロー物としては出色の出来。早くケーブルと組んだ続編が観たい。
あと、ふた目と見られない醜い顔のはずが、十分イケメンなので主人公補正はずるいなあと思いました。
12モンキーズ
致死ウイルスで人類の99%が死滅した未来から現代(制作当時)へ送り込まれた囚人のブルース・ウィリスが特赦のためにウイルスの出処を追う。
全裸で転送されてきた上に人類が滅ぶと妄言を垂れるのでいきなり鉄格子の付いた病院に放り込まれてる展開が大層面白かったです。パッケージのターミネーターみたいな目のシーンなんかないのだけれど、これは全裸で送り込まれることを暗示していたんだね。
ストーリーは、まあ普通。結末はフラッシュバックの形で何度も見せられてるし意外性はあまりなし。最後の最後に「お前が来るんかい!!」って面白さはありましたが。
あと俺は人の顔を覚えるのが苦手で、外国人俳優なんか尚のこと分からなくなりがちなのですが、ブルース・ウィリスはいつ見てもブルース・ウィリスにしか見えず「ああ……ブルース・ウィリスだなあ」って思いながら観ていたので他の感想があんまり残りませんでした。ブラピもいたね。
イップ・マン 序章
いいからAmazonプライム加入者は全員観ろ!! NETFLIXやHULUでもいいぞ!! 加入してなきゃDVD借りてこい!!
詠春拳の達人でブルース・リーの師匠でもある武術家・葉問(イップ・マン)が主役のカンフーアクション。
木人で近接組手の修行を行う詠春拳は最小の動きで敵の攻撃を捌き、短いストロークの打撃を叩き込む超接近戦の高速アクション。殺陣が観てて気持ちいいんだわ。
小さな動きで重心を崩して投げ飛ばすアクションには合気道っぽさもあるし、かと思えば骨をポキポキ折ったり、相手の顔を引っ掴んでぐったりして動かなくなるまで殴り続けるような凶暴さも兼ね備える。
穏やかな人格者であるイップ師父がいざ戦いとなると鬼のような強さを発揮。ドニー・イェンって高校の化学教師かなんかをやってそうな素朴な顔立ちですが、それも含めてイップ・マンははまり役ですね。
イップ・マン 葉問
序章が終わって、すぐに続編を観始めた俺がいます。こちらも負けず劣らず面白い。
ドニー・イェンは相変わらず最高なのだけど、 香港武館の元締めをしている洪拳使い役のサモ・ハン・キンポーがまたいい。前作でのイップ師父はほぼノーダメージで全戦全勝する無敵の人でしたが、そのイップ師父と初めて互角に戦う男。
サモ・ハン演ずるホン師父は一見金に汚いように見えて、その実、家族思いで中国武術の誇りのために戦う熱い男なんですね。
終盤、ピンチのイップ師父が彼の言葉で自分を奮い立たせて立ち上がるシーンなんかベタだけど。ベタだけどそういうのが好きなんだよ。
前作のラストバトルは日本軍の空手使いでしたが、今回はイギリス統治下の香港でボクサーとの戦い。対空手以上の異種格闘感がたまらない。
多人数の乱闘シーンや武器戦闘もしっかり押さえてあるし、前作で道場破りから山賊にまで身を落としたカム・サンチャウが所帯を持って丸くなり、すっかりいい奴になっているという萌えポイントまである。
続編ジンクスなどなんのその。前作とまとめて超オススメです。
アメイジング・スパイダーマン2
ヴィランが果てしなく地味だった前作の反省をきちんと生かし、本作のヴィランは電撃バリバリ超派手なエレクトロ。流石に原作のトンチキな衣装ではなくなってます。
でもまあ、普通。スパイダーマンの大ファンだったエレクトロがなんか不憫だなと。あとハリーがびっくりするほどアホの子になってたので、続編制作打ち切りもさもありなんというか。
つまんなくはないです。
捜査官X
すっかりドニー・イェンのファンになってしまったので観てみたら、ミステリーがやりたいのかアクションがやりたいのかどっちつかずのまま、驚きのフェイタリティーが飛び出して終わりました。FINISH HIM!!
あとこの邦題何なの。
スナッチ
はいはいオシャレオシャレ。
「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」の感想と同じ事を書きますが、そらもうクオリティの高い作品です。オシャレでかっこ良すぎて、長年非オシャレで何かとこじらせている俺にとってはノットフォーミー感が尋常じゃない。
面白いんだよ。すげー面白いんだけど、同じバイオレンスなら俺には英国シャレオツアウトローよりも鉈を振り回すメキシコ人の方がお似合いなんだよね。
あと、流石に構成が似すぎてて、「ロック、ストック~」かこれかどっちか一本でいいやという思いもあり。もう少し間をあけてればまた違った感想になったかもしれない。
シャークネード
サメ+トルネード=シャークネード。竜巻で巻き上げられたサメの大群が空から降ってくる。人生初のサメ映画がこんなんでよかったんだろうか。
はるか上空から落下してきたサメは地面に激突しても傷一つ負わず。元気に車のルーフを喰い破り、元気に人を喰らっていくよ!! あれだね、なんつーか制作陣はサメのタフネスを信頼しすぎだよね。
引きのカメラで一人映された人は大抵死ぬし、主人公の別れた妻と子の元で父親気取りの濃いイケメンは「はっはっは何を馬鹿なことを言ってるんだ、こんなところにサメなんかいる訳がンNOOOOOOOOOOOォゥ!!」つって喰われていくので大層分かりやすい映画だといえます。あとヒロインの喰われ方が大変アクロバティックで感動しました。
CGは露骨に安いですが、こんなの金かけて作られても何だその、困る。どんな顔して観たらいいのか分からなくなる。
なお、NETFLIXには1と3しかなかったので3は観ずに今月末で一旦解約して、2のあるHULUに移る予定です。気に入ってんじゃねーか。
マジカル・ガール
病床の娘の願いを叶えるため奔走する父のハートフルストーリーがなぜこうなった。娘を除く登場人物が軒並み気持ち悪い。
言いたいことは「ちゃんと会話しろよ」の一点に尽きるのだけれど、何もかもが悪い方向に転がってくイヤーな感じはよく出来てます。何書いてもネタバレになりそうなんでぼかしますが。
「トカゲの部屋」や「10年前」など、情報が意図的にばっさりカットされている部分にろくでもない事情しか感じさせないのも実にイヤでよろしいね。「13巻で一体何があったんだよ!!」的な。
エンドロールを見て「一番上がお前かよ!!」って思ったんだけど、本作のマジカル要素(呪い系)を最もよく体現していた人なのでそういうことなのだろうと解釈しています。
以上。
30本まとめて感想を書くととても疲れることが分かったので次からは10本づつぐらいにします。おわり。