江ノ島辺りにミニベロ輪行

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 最近JRの輪行ルールが厳密になったので、サドルを取っ手として使うternのトロリーラックがNGになってしまいました。なので引っ越してからこっち、Link N8に全く乗っていなかったのですが、折りたたまれたまま部屋で埃をかぶっている姿があまりにも可哀想なので、トロリーラックは外して普通の輪行袋で担いで輪行してきました。

 

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 スピードを出す自転車ではないので観光地っぽいところをちんたら走ろうと思い、「江ノ島らへん」と雑に決めて降りたのは茅ヶ崎駅。海岸沿いを適当に走る。 

 

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 砂浜のすぐ横がサイクリングロードになっていたので海を眺めながら走ることにする。天気は悪いが温かい。

 とはいえ晴れてない海岸は絵にならないこと甚だしいな。日差しに炙られないぶん走りやすくはあるけれど。

 当たり前だが道は砂々としているので、Link N8の車輪の太さが頼もしい。行き交うサーファー達で人通りも多くスピードも出せないので折りたたみ自転車はベストチョイスだったかも知れない。ロードバイクだったら並走する国道を通らざるを得ず、海を見ずに走るところだった。 

 

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 真冬か。

 いわゆる湘南地区において、その名が持つ果てしない「陽」のイメージを殺しきる俺のフォトテクニックしゅごい。なんだこの物寂しさ。

 手前の焼け焦げた流木は若者達の焚き火でウェーイの跡だろうか。そんな出来事を思わせるにも関わらず、見渡す限りゴミがひとつも落ちてないのには感心するね。

 サイクリングロード沿いにはゴミ箱がいくつも設置されていて、そちらにはゴミが山盛りになっている。つまりはゴミが出ないのではなくて、海岸利用者のマナーがしっかりしているということ。この辺りの人たちは地元愛が強いイメージがあるけれど、これもその証左だろうね。

 

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 反対側にはサーファー溜まりができていた。

 海岸沿いはバイクや車の乗入れは禁止。近隣に駐車場もない。だからサーフボードの運搬手段は主に自転車。

 

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 こんな感じでボードを運ぶサーファーがそこら中に。つーか自転車乗ってる人は殆どサーファー。土地柄か爺さんサーファーが多くて格好いい。

 

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 停めてある自転車は100%ラックがついててこう。

 

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 こう。

 

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 ママチャリも多い。 

 どうせ潮風ですぐサビるし、あまりメンテもされていないのだろう。どの自転車もサビサビで、しかしながら放置自転車ではなく、間違いなく乗りまくられている現役。これはこれで格好いいというか、自転車にとっては幸せな事ではないかと勝手に思う。

 生きた使い方をされているとでも言うのか。折りたたまれたまま埃をかぶっている折りたたみ自転車よりは作られた意味もあろうよ。いや、ほんとごめん俺のN8。

 

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 存在意義のよく分かんないアーケード。 

 

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 江ノ島が大分近くなってきた。城塞都市っぽい。 

 

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 調べて初めて知ったがビーチテニスというスポーツらしい。周りに沢山転がっているボールを見るに、戯れではないガチの練習風景。

 川沿いサイクリングロードだと大抵野球かサッカー、珍しい所ではアルティメットとかやってるのを見るけれど、別に河川敷である必要はない。海には海でなくてはできないスポーツがあって、それが独特の風景を作る。

 

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 津波の緊急避難ゾーン。3.11以降に設置されたものだそうで、普段は展望台。本来の用途で使われずに済めば良い。 

 

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 流れる水を眺めるのが好きだ。

 ドブ川は嫌だけど、水が綺麗ならば別に田んぼの用水路でも構わない。小魚の群れや脳天気に浮かぶカモでもいれば最高だ。それをボケーと眺めるだけで1時間や2時間は簡単に潰せる。

 思うに俺は水辺の生態を見るのが好きなのだな。溜まり、澱んでいない水の周りにはそれがある。

 そして同じ趣を波待ちのサーファーに感じるなど。一定の間隔を保ち、一様に同じ方向を向き、プカプカと波を待つ。まるでそういう習性を持った生き物の群れのようじゃないか。

「春。湘南の海には産卵のため沢山のサーファーが集まってきます」

 頭の中で森本レオが勝手にナレーションする。番組のラストは満月の晩に孵化して、たどたどしい動きで海に還るサーファーの赤ちゃんたち。

「厳しい大自然の中、来年この場所へ戻ってこれるサーファーは1割に及びません」

 黙れ森本。

 

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 江ノ島入り口。熱海なんかもそうだけど、何で気候も考えずに椰子を植えるかな。葉っぱが枯れて寂しいことになるだろ。

 

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 ふと横を見ると恐ろしい数の鳶がグルグル旋回中。羽ばたかずに風に乗る猛禽の姿は1匹や2匹なら優美なものだけど、これだけいると思い浮かぶのは「鳥葬」の二文字だけで禍々しさしか感じない。こいつらは観光客の弁当狙いかなんかだろうけど。

 

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 神社を中心に、和風の旅館、コンクリの四角い土産物屋兼レストラン、天辺に塔のついた仏教風の建物に洋館。こうしてみると見事に節操のない入り口をしているけれど、それこそが観光地然としていて嫌いじゃない。むしろ下手にオシャレだと俺は立ち入るだけで蒸発する。

 

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 江ノ島には人慣れした猫がたくさんいるので愛でて行こうかとも思ったが、すごい人だったのでやめた。

 

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 一応、Link N8で来たんだよという記録として一枚。

 このまま鎌倉に行って大仏でも見るつもりだったのだけど、どうせそちらも人だかりが予想されるのでやめ。ちょっと気になっていた境川サイクリングロードを遡上してみることにする。

 

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 鵠沼駅前で目の前を通る江ノ電を見かけたので次の電車を待ち構えて撮影。10分ぐらいはその場で待っていたので、保守点検の人達からは鉄オタに見えたかも知れない。でも俺は正直電車にはあまり興味がない。これは巧拙を問わずカメラを手にした人間の習性で、何でも被写体に見えるというだけの事。

 そもそも鉄オタだったらコンパクトカメラなんか使わない。

 

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 逆方向も撮りました。

 

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 境川沿いは国道1号線を超えるまではただの生活道路で面白くも何ともないが、そこから先は農道兼、歩行者自転車道といった感じで、地元の中高生の通学路にもなってる様子。時々一般道と交差する辺りはつくばりんりんロードに似た雰囲気。のどか。

 

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 遠くに見えてたこの建物がずっと気になっていたので切り出し拡大。

 これはマンション? 屋根が個性的というか、最上階が道場かなんかになってそうだなと。季節の風物詩として時々ギース・ハワードが窓を突き破って落ちてくる類の。

 

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 カルガモ。カモという鳥は好きだねえ。平べったい嘴をガッと掴みたい。

 ポレポレと流れていく姿や、ぺったらぺったら歩く様のどうにも間が抜けた感じがたまらん。

 

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 バードウォッチャーが大挙して同じ方向に一眼を構えていたので何かと思えば雉がいた。野生の雉って初めて見た。デジタルズーム全開でこんなもん。

 地図で見れば分かるけど、境川沿いは畑があってもそのすぐ先は住宅街だったりする。そんなところにも居るもんなのね。いいもん見た。

 あとすぐ逃げちゃったので写真撮りそこねたけど、小熊みたいな何かを見た。犬でも猫でも狸でも猿でもなく、色や形が小熊としか言いようのない何かだったんだけど、流石に藤沢に熊はいないよな。何だったんだアレ。

 

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 藤。藤棚として作り付けられたそれではなく、野生でもっさり。

 藤沢というだけあって、市の花にもなっているみたい。国鳥だったり市花だったり適当に走っていてもいろいろあるもんだ。花に興味はないけれど、ここまで咲き乱れていたら流石に足も止まるというもの。

 

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 見渡す限りの団地っぷりに思わず撮影。

 地図で見ると80号棟とかあるんだが、ここまで密集してるとそれはもはや国だろう。

 ようやくちょっと晴れてきたがもう夕方だ。

 

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 相鉄の線路にぶつかったところで境川を離れて大和駅から帰る。

 

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 トロリーラックが使えなくなったのは痛いけれど、折りたたみ自転車はパッキングは楽だし小さいから電車の中でも邪魔になりにくいしで、輪行がしやすいことには変わりない。それこそ鎌倉あたりの微妙に離れた観光スポットを巡るのに丁度よさそうなので、平日に休みをとれたら行ってみよう。連休中は人混みで死ぬから行かない。

 

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 距離:35.45km

 移動時間:2:17:03

 経過時間:3:34:35

 平均速度:15.0km/h