10万円台のロードバイクについて調べた
毎年クロスバイクのニューモデルについてああだこうだと好き勝手な所感を述べるエントリを書いているのですが、それに対して必ず「クロスバイクなんて中途半端なものを買うぐらいなら最初からロードバイクを買った方がいい」という意見が出てきます。
クロスバイクを買った2ヶ月後にロードバイクを買った身としては言いたいことは分からなくもないんですが、やはり俺は最初のスポーツバイクにはクロスバイクを推したい。
言っときたいのはロードバイクはクロスバイクの上位互換ではないよ、ということ。ロードバイクはスピードを出すこと、長距離を走ることに特化した、より趣味やスポーツ寄りの自転車。ママチャリの代替として普段使いするにはちょっと尖りすぎじゃないかなと思います。
クロスバイクよりもきつくなる前傾姿勢には慣れが必要ですし、タイヤは細くて振動がダイレクトに伝わるから上手く乗らないと手や尻や股が痛くなる。スタンドはつけない事が多い*1 からちょっとした外出だと置き場に困るし、クロスバイクより高価ですから盗難の心配も大きい。
そもそも皆が皆自転車で40km/hオーバーのスピードを出すことや、100kmを走ることを求めているかといったら、そんな事ないですよね。ママチャリの代わりに通勤や買物時の軽快な乗り心地が得られれば良い、休日にちょっとしたサイクリングができれば十分、って人も多いはず。むしろそちらの方が多数派なんじゃないでしょうか。
そういう人にロードバイクを薦めてもオーバースペックだし、使いづらいだけ。それに高い。10万以下でクロスバイクと殆ど価格差のないロードバイクも結構ありますけれど、そこまで予算を絞るぐらいだったらクロスバイクの方が色々と潰しがきく分幸せになれるんじゃないかなあと俺は思うのですよ。性に合わなかった場合の傷も小さくて済むし。
「クロスバイクを買ってもすぐロードバイクを買っちゃうから無駄」とも言われますが、そういう人は10万以下のロードバイクを買ったらすぐ30万や50万のロードバイクを買うだけだと思います。そしたらロードバイクが2台あるよりも、気軽に使えるクロスがある方が便利だと思うんですよね。俺自身の事を言えば、乗った距離は圧倒的にロードバイクが上ですが、乗った回数はクロスバイクの方が多いです。
もちろん「俺は速く走りたいんだ」「俺は遠くに行きたいんだ」という明確な目的があるのならば最初にロードバイクを買ったほうが無駄がありません。やりたい事は人それぞれなんで用途にあった物を選びましょうね、って事です。
10万円台のロードバイク
最初の1台にロードバイクを買うならば。
前述のとおり、10万以下のロードバイクを買うならクロスバイクの方が幸せじゃない? というのが俺の見解なので、どうせなら10万~20万円ぐらいのものをおすすめします。
もちろん予算が許すならもっと高価なのでもいいですよ。初心者が高いものを買っても使いこなせないかも、というような尻込みは不要です。カメラやオーディオなんかと違って、高くても安くても使い方は変わりませんし、およそ高いほうが楽に走れます。そこにどれだけの価値を見いだせるかというだけの話。乗らなくなるリスクも含め。
とりあえず10万円台にはどんなバイクがあるのかなと各メーカーを調べてみましたが、この価格帯はどのメーカーも大体同じようなスペックで比較する面白みには欠けますね。あとはメーカーによってブランド代がちょっと乗っかったり、GIANTが相変わらず安かったりというぐらい。
クロスバイクだとロードバイクとMTBのブレンド具合で同価格帯でもいろんなバリエーションがあるのですが、ロードバイクと限定するとこんなものですかね。
10万円台のロードバイクは大別すると2つのパターンがあるようです。「アルミフレームにミドルグレードのコンポーネント」か「カーボンフレームにエントリーグレードのコンポーネント」のどちらか。フレームに金をかけるかその他のパーツに金をかけるかの違いです。あとは細くて格好いいクロモリ(鉄)フレームが少々。
予算が同じならどちらを取るかは考え方の問題。購入時点でトータル性能が高いのはコンポーネントが良いアルミフレームですが、コンポーネントは交換可能なので将来のアップグレードを考えてカーボンフレームにするという手もある。
カーボンは軽さと衝撃を和らげるという点で利があり、ペダルを踏み込んだ時の加速感はアルミのほうがあるといいます。カーボンのバイクは試乗レベルでしか乗ったことがないので伝聞形。現状アルミで困ったことはありません。
20万を超えるとカーボンのバイクが多くなるので、アルミのバイクが選べるのはこの価格帯だけという考え方もあります。*2
予算が限られているならば、俺はやっぱりアルミを選ぶかな。そして上のグレードが欲しくなったらコンポーネントを変えるんじゃなくて、まるごと買い換えるだけの金を貯めると思います。
なお、これは単なる個人の嗜好の問題なので、そうする事をおすすめする、という訳ではありません。
予算20万円(アクセサリ含む)で考える
個人的な好みで幾つかピックアップしてみます。
ちなみにコンポーネントに金をかけたい理由は見た目に拠る所も大きいです。このクラスは殆どがシマノのコンポーネントをメインに採用していて、価格的に 105(11速)/TIAGRA(10速)/SORA(9速)あたりになります。
アルミだと105になって、カーボンだとTIAGRAかSORA。俺はTIAGRAのチェーンリングがあんまり好きじゃないんですよねえ。色もデザインもなんか板っぽいというか「のぺっ」としてるなあと。本当にただの好みでしかないんですが。
あと、105からシフトケーブルがコントロールレバー内蔵になるので、見た目がスッキリして高級感がぐっと増します。変速性能やギアの枚数よりそちらの方が嬉しいですね。
ということで、以下に紹介するロードバイクは105採用のアルミフレームばっかです。
GIANT TCR 0 135,000円
この手のエントリで最初にGIANTを出すとそれだけで終了感があります。「もうこれでいいじゃん」的な。リア11速でこの値段は安すぎるだろ。おかしいよGIANT。
フラットながらペダルつき、ベルもあるからこれだけ買えばすぐ公道で乗れる。
ブレーキやチェーンにシマノ以外の部品を使っていますが、一番のコストダウン要素はホイールなのかな。OEM生産らしき自社ブランド品です。性能は多分シマノのWH-RS010(一番安い奴)と大差ないでしょう。気に入らなきゃ本体価格差分で良いホイールを買ってください。
台湾メーカーということで毛嫌いする人もいますが、この価格帯のバイクなんてどこのメーカーもほとんどGIANTかMERIDAのOEMでしょうしね。だから品質に関して欧米のメーカーに劣るということはありません。同じとこが作ってんだもん。
デザインも最近のは結構好き。心配は他のライダーとバイクが被ることぐらいじゃないですかね。お買い得だから。
MERIDA SCULTURA 400 139,900円
GIANTに次ぐ台湾の大手メーカー、MERIDA。これも安いなあ……すごいなあ……もうこれでいいんじゃないかな……。
税込み価格だから何気にGIANTより安いですね。何故かベルの他にロックとリフレクターが付くらしいです。どんなロックか興味はありますがあんまり過信はできないでしょうね。リフレクターは大して役に立たないので夜走るならライトを付けましょう。
チェーン、ブレーキ、ホイールあたりでコストダウンしているのはGIANT同等で、ペダルはついてないけどフロントフォークはカーボン。ペダルを自分で選びたい人にとってはむしろこちらのほうが有難い。
あとハンドルがアナトミック(下ハン部分が直線的)で格好いいですね。ただハンドル形状はブレーキレバーの握りやすさに影響しますので、買う前には実際握ってみることをおすすめします。手が小さい人は特に。
ANCHOR RFA5 EPSE 165,000円
165,000円。逆に安心する価格というか、GIANTとMERIDAがおかしい。
これは台数限定品だそうで、同クラスにはRA6というレースモデルがあります。そちらに比べてハンドルが高めになってるとか、フレームを細めにして振動吸収性を良くしている等でロングライド向きになっています。
反面、ガツンと踏み込んだ時の加速だったり、ハンドリングのクイックさではRA6に軍配があがるのでしょうが、俺は楽に乗れる方がいいですね。レースしないし。
クランクが上2つと同じ105グレードですが、こちらはホローテック2規格のちょっと良いやつです。デザインも太い4本アームが頼もしい感じで、俺はこちらのほうが好きです。
RFA5 EQUIPというホイールとペイント以外全く一緒で台数限定ではないモデルがあるんですが、180,000円とちょっと高い。なのにこっちのEPSEの方が高いホイール付いてるんですよねえ。何が何だかよく分からない。限定品はサービス価格なの?
EQUIPと違って1カラーのみですが、配色が嫌でなかったらEPSEのほうがおすすめですね。
TREK Madone 2.1 169,000円
エントリーグレードもどんどんワイヤー内蔵にしていくTREKの商品展開は大変好ましゅうございますね。だいたいスペック横並びのこのグレードの中で明白なセールスポイントがあるのはでかい。
スピードセンサーはフロントフォークに内蔵できるみたいですが、それだとケイデンスが分からない。何でクロスみたいにチェーンステーにしなかったんだろう。ケイデンスは弱虫ペダルごっこには必須でしょうに。
必死で走ってるところに「ケイデンスを30上げろ!!」「はい!!」ってのは野球漫画にしたら「ベンチを見たらホームランのサインが出てた」ぐらいの無茶振りだと思うのよね。俺だったら2分で疲れて終わる。
あと彼らは全力疾走中に後ろ見過ぎだよね。そして話し込み過ぎだよね。死ぬよね。漫画だと気にならないんだけどアニメだとどうしても時間が気になっちゃう。お前ら500m進むのに何分かかってんだよ、とか。それでも面白いし出来も良いから毎週欠かさず観てるけど。
こう無駄な方向に筆が滑るのは段々書くことが無くなってきているからです。
あとブラックモデルだけにペイントされてる謎のSHIMANOロゴは何なんだ。
cannondale CAAD 8 105 160,000円
アルミと言ったらcannondale、のイメージを作ってきたのがこのCAADシリーズ。ミドルグレードにもアルミのラインナップを展開し続けているのはその矜持なのでしょう。
ノウハウの詰まったフレーム形状は振動吸収にも優れ、快適な乗り心地と推進力を併せ持つ。という話ですよ。サイクルモードとかにも出展してませんし乗ったことありません。ホリゾンタルに近い直線的なフォルムに憧れはあるんですが。快適性を維持しつつレーシーな見た目だなんて素敵ですよね。
なおcannondaleのバイクはボトムブラケットが同社提唱のBB30規格なのでシマノのクランクが入りません。人によってはそこら辺も検討要素になりますかね。変速性能に大きく影響するのってディレイラーの方だと思ってるので俺は見た目しか気にしませんが。
BASSO MONZA 158,000円
妙にBASSOのバイクが好きなんです俺。
メーカー名がめっちゃ書いてあるフレームって基本的にあんまり好みじゃないんですが、なんかBASSOは許せる。ダウンチューブ、シートチューブ、シートステーにチェーンステー。片面だけで4箇所もバッソバッソと書かれているというのに。
こういう細い線が入ったペイントも格好いいですよね。人修羅みたいで。
俺は格好良さの基準をどこに置いているのだろう。
スペックに関してはもはや語ることがないぐらい他と大差ありません。
Raleigh Carlton-F 149,500円
ちょっとだけクロモリも。うーん、美しい。
ちょっとこの写真だと精彩がない感じなんで、是非オフィシャルサイトのクローズアップ写真を見てください。ピッカピカですよ。
細身のクロモリは素材をイメージさせるメタリックカラーがよく似合う。ラレーは老舗メーカーですが、お手頃価格なのも嬉しい。
クロモリは素材の柔軟性による「しなり」で快適な乗り心地を実現できるため、ロングライドに向くと言われます。俺はクロモリのバイクに試乗してもよく分かんなかったんですけれど。長時間乗ることで身に沁みて分かる類の差なのだろうと思います。
BASSO GAP 1977 110,000円
グレードとしては断然下のモデルになるんですが、某所で使い込まれた感じのこいつがガードレールに括りつけられてるのをよく見かけて、格好いいなあと常々思っていたのです。路駐はやめとけよとは思うけど。
でもサイクルモードで新品を見たらツヤツヤのフレームに何となくコレジャナイ感。クラシックデザインかつ、高級感をアピールするグレードでもないから、多少くたびれてた方が様になるんだろうなあ。
普段使いにして「育てて」みたいバイクです。自転車にそういう概念があるのかは知りませんが。
BASSO VIPER 5800 158,000円
「BASSOならVIPERがかっこいいと思う」とのコメントをいただいて、見てみたら本当に格好良かったので急遽追記しました。BASSOのクロモリはGAP 1977に目が行ってたので無意識にスルーしちゃってましたよ。
真っ黒いフレームに映えるヘッドチューブのエンブレムとか、ダウンチューブのメーカ名の右側だけに赤ラインが入ってるあたりとかワンポイントがいちいち素敵。レッドやスカイブルーもいいですが、これはやっぱりブラックがいいなあ。
しかしBASSOはなんでこんなに文字を書き込みたがるんだ。耳なし芳一みたいになってんじゃねーか。
9台中3台がBASSOになっちゃったよ。
おわり
ヘルメット他の必須アイテムは合わせて2万円ぐらいで勘定しています。装着義務はないのですが、ロードならヘルメットは買いましょうね。死ぬから。
スペック同等かつ予算内なのに挙げなかったモデルも結構あって、それは単に見た目が俺の好みで無かっただけです。このクラスのロードバイクは大抵のメーカーのラインナップにありますから、購入検討中の人は色々調べてみてください。高いもの買う前の比較調査って楽しいよね。