「インサイダー・ゲーム」がめちゃくちゃ面白いので紹介する

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 長らくメーカー欠品でマーケットプレイスのボッタクリ商品しかありませんでしたが、ようやく増産されて買えました。友達んちで遊んで、即購入を決めたその面白さを説明します。

クイズゲーム

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 このゲームは何の変哲もないYES/NOゲームから始まります。YESかNOで答えられる質問をして答えを当てる、というやつ。

 プレイヤーのひとりがゲームマスターとなり、残りは回答者。マスターはカードをめくってお題を決めます。めくったカードのうち、山札の数字に対応する単語がお題。この画像だと山札は1とあるので、「サイコロ」がお題になるわけです。

 お題が決まったら砂時計をひっくり返してゲームスタート。回答者はお題に関する質問をして、マスターはそれに「YES」「NO」「わからない」のみで回答。時間内にお題を当てることを目指します。

「お題:サイコロ」

  • 「それは人間より大きいですか」 → NO
  • 「それは手に持てますか?」 → YES
  • 「それは食べられますか?」 → NO
  • 「100円ショップで買えますか?」 → YES

 等々。質問は何度してもOK。とにかく時間内に正解すること。 

 と、ここまではゲームの準備にすぎません。この問題は絶対正解できるようになってるんです。何故なら正解を知っている奴が回答者の中にいるから。

インサイダー

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 出題者となるマスターと回答者の役割はカードを引いて決めるのですが、回答者である「庶民」の中には一人「インサイダー」が混ざってるんですね。

 インサイダーはマスターがお題を決めたあと、誰にも(マスターにも)知られないようにお題カードを確認できます。全員が目を閉じている間にこっそりと。

 このゲームはマスターと回答者チームの勝負ではなく、インサイダーとその他全プレイヤー(マスター&庶民)の戦いなのです。まずYES/NOゲームの正解にたどり着くことが全プレイヤーにとって勝利の前提条件。その上でインサイダーの勝利条件は「正体を隠し通すこと」、その他のプレイヤーの勝利条件は「インサイダーを当てること」になります。

 まずYES/NOゲームで正解しないとお話にならないので、答えを知っているインサイダーは質問してヒントを引き出し他のプレイヤーを正解に誘導しなくてはいけません。かといって、「サイコロ」というお題に対して「ゲームに使いますか?」なんて限定的な質問はしないほうがいいわけです。すぐに正体がバレちゃいますから。

 あくまで答えを知らないふりをして、やんわりと外堀を埋めるように、しかし確実に回答を絞り込むような質問をしましょう。誰も答えに辿り着きそうになかったら、偶然を装って自分で答えてしまえ!!

  そして正解が出たらインサイダーを探し当てる対決パートです。再度砂時計をひっくり返し、誰がインサイダーなのかを話し合う。怪しい奴はたくさんいます。まずは正解者。正解にたどり着くためのクリティカルな質問をした人も怪しい。あるいは正解に近づいた途端に喋らなくなった奴はいないか?

 判断材料はそこまでのゲームの中に転がっています。マスターと庶民は不自然な言動からインサイダーを探し出すべく、そしてインサイダーは無辜の庶民に疑いをなすりつけるために議論を尽くします。

 砂時計が落ちきったら全プレイヤーによる投票。見事逃げおおせたらインサイダーの勝利、逆にインサイダーを言い当てることができたら他全プレイヤーの勝利となります。

死なない人狼

 このゲームは「人狼」に代表される正体隠匿系ゲームのいちバリエーションと言えますが、とにかくゲームに参加するためのハードルが低いのがいい。人狼って議論に参加できないと早々に脱落してしまうので、どうしても慣れたプレイヤーや口が達者な人が有利になってしまいます。さらに序盤は議論しようにも情報が少ないので、誰しもが理不尽な脱落に見舞われる可能性があります。

 ところがこの「インサイダー・ゲーム」はごく簡単なクイズゲームから入るので、初めての人でも問題なくゲームに入っていけます。そして人狼ゲームになる対決パートでは「クイズの正解に至る過程」というヒントが用意されているので、議論のとっかかりに困ることもない。

 さらには「正解に近づいた者ほど疑われやすい」というゲームの性質上、あまり喋れなかった初心者が為す術もなく負けてしまうということも起こりづらい、という点も参加へのハードルをぐぐっと下げてくれます。

 マスター・庶民・インサイダーにそれぞれの楽しみ方があるというのもいい。まずYES/NOゲーム自体が結構楽しいので、正解を知らない庶民にはクイズゲームの楽しみがあります。インサイダーにはそれを上から眺めて誘導する面白さ。

 インサイダーを探す対決パートは推理とミスリードをぶつけ合う楽しみ。推理する楽しみはもちろん庶民とマスターのものですが、中でもマスターには独自の面白さがあります。正解を知った上で各プレイヤーの質問を受ける立場なので「不自然な質問」に気づきやすいんですね。そういう意味で一番情報を持っている人になれるので議論に参加しやすくなるというわけ。

 人狼をカンニング野郎に置き換えるという単純なワンアイデアですが、どの立場でも面白いし、誰でもすぐに入り込めるよく出来たパーティゲームです。お題は自分で考えてもいいし、そうすればほとんど道具のいらない、どこでも遊べるゲームになるのも魅力的。

 言いかえると、ルールさえ知っていれば買わなくても遊べちゃうんで、細かいルールは伏せました。興味を持たれた方はできれば自分で買って、メーカーに金を落としていただきたいと思います。ボッタクリ業者にではなく。

 2,376円のゲームが16,946円って何だよ。おかげで半年以上待たされたわ!! 死ね!!