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なんで俺ボードゲームやってんだろ

ボードゲーム ゲーム 自薦

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 「やらずにすむゲームはないか?」と漫画に描いたのは吉田戦車ですが、最近その気持ちがよく分かるようになっちゃってね。

 3DSのスマブラを買ったんだけど、5~6人クリアしてフィギュア取って、それからやってない。プレイアブルキャラをコンプリートする気すら起こらない。

 スライドパッドだとちょっと遊びづらくてそれがストレスというのはある。あるけれどそれは些細な問題で、これは俺の方の問題なんだろなと思う。

 これはもう認めざるを得ないんだけど、俺にはもう「ビデオゲームにはまり込むための体力」が足りなくなってきている。心の体力が。

「やらずにすむゲームはないか?」

「ゲームをやりたくないんですかドクター」

「いや やりたいんだ でもなんだか最近やるのがおっくうなんだ」

(はまり道/吉田戦車)

  飽きたのとはちょっと違う。ゲームをやる楽しさは体が覚えているし、今もそれを求めている。なのにそれを味わうための一手間がめんどくさい。ここ2~3年ではダークソウルとメガテン4以外にゲームをクリアした記憶がない。

 一方でボードゲームは大量に買ってるのね。 

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 大箱なら一つ5~6千円。人が揃わないと遊べない。一本で何十時間も遊べるビデオゲームに比べて、普通は1~2時間、長くても数時間で終わる。箱はデカくて場所を食う。

 手軽に始められるビデオゲームが長続きしなくなってきているのに、ありとあらゆる面でコストパフォーマンスの悪いボードゲームを何故わざわざやるのか。 そりゃもちろん面白いからなんですが、何が面白いのかうまいこと言語化できないので今から考えようという試み。

※面倒なのでカードゲームその他の非電源ゲームも「ボードゲーム」と記述します。

対人ゲームであること


 まず最初に思いつくのがこれ。

 プレイヤーを集めなければならないのがボードゲームを遊ぶにあたって最初の障壁であり、面白さの重要なファクターでもあります。

 単純に一括りにしちゃえば「コミュニケーションの面白さ」という事になるのでしょうが、もうちょっと細かく考える。

 

コミュニケーションのリアルタイム性

 一緒に遊ぶプレイヤーは目の前にいますから、プレイ中の一手一手に対しての反応が直に分かります。妙手を打てた時に相手が悩む様子はそれ自体が賞賛ですし、逆もまた然り。

 これはネットワーク越しの対戦では味わえません。

 

読み合いというコミュニケーション

 裏をかく、裏の裏をかくといった不合理な行動をする人間相手だからこそ、勝てた時の喜びも負けた時の悔しさも大きい。

 ボードゲームはその性質上、戦略や読み合いを重視した思考型のゲームが多いということもそれに拍車をかけます。狙いがはまった、読み勝った、といったという喜びを得やすいんですよね。

 ビデオゲームの対人戦だと例えば格闘ゲームの攻防なんかが読み合いに相当する*1と思うのですが、まずそれができるまでの熟達が必要になります。

 もちろんボードゲームもプレイ経験で差は付きますが、ルールさえ把握してしまえば、駆け引きを楽しむまでのハードルは比較的低いですし、適度なランダム性を含むゲームは初心者と上級者の差をいい感じに平滑化してくれます。*2

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 例えば、世界一売れてるボードゲームの「カタンの開拓者たち」はダイス目の偏りによる逆転劇をしばしば引き起こしますし、盗賊の存在や「交渉」というルールは暫定一位のプレイヤーの独走にブレーキをかけます。 

カタンの開拓者たち スタンダード版

カタンの開拓者たち スタンダード版

 

 下手でも勝てる運ゲームになってしまうとゲームの面白さをスポイルしてしまうのですが、良いゲームはその匙加減が適切で基本的には上級者が勝つ。でも初心者も終盤まで「いい勝負」ができるようになっていて楽しめるし、時には番狂わせも起こる。

 そして最終的に勝とうが負けようが、そこに至るまでの思考のせめぎ合いを楽しめる。それがボードゲームの良いところ。*3

 

プレイスタイルに性格が出る

 車のハンドルを握ると性格が変わる人ってのがいますが、ゲームも結構人の性格をむき出しにします。

 リスクを嫌い、堅実なプレーをする人。一攫千金を狙った大博打を好む人。じわじわと蓄えを膨らませていくことに喜びを感じる人。好戦的な人。ハッタリ大好きな人。考え込んじゃって動かなくなる人。

 良く知った相手ならばそういった一面が顕著に表れてくるのは面白いですし、それを戦略に組み込むのもまた一興。よく知らない相手なら知る切っ掛けにもなりそうです。オープンなゲーム会に行かずとも、知らない人と遊ぶことは結構あるんですよね。友達がその友達を連れてきたりするので。

 

コンピュータにはできないゲーム

 人の発想そのものを問うようなゲームも多々ありまして、例えばディクシットというゲーム。

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 なんとも言い難いフワッとしたイラストのカードが大量に入っていまして、手番のプレイヤーは出題者として手持ちの1枚に「タイトル」を付けるんですね。

 全員が手持ちのカードからそのタイトルに沿っていると考える1枚を出して、誰が出したか分かんないように混ぜる。そこから出題者のカードを当てたら得点が入る、というゲームです。

 このゲームのポイントは、お題が簡単すぎても難しすぎてもダメというところで、全員正解もしくは全員不正解だと出題者には点数が入りません。だからあえて曖昧なタイトルを付ける必要があります。

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 例えばうちの嫁さんはこのカードに「ナムル」というタイトルを付けました。

 

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 ここが。お前アホだろう。

 その場にいた皆そのくだらなさに爆笑し、俺は感服すらしました。ああ本当にくだらない。対人ゲームはこういった人の考えがばんばか形になって出てくるから面白いんですよ。

ディクシット 日本語版

ディクシット 日本語版

 

 

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 これは何だか得体のしれない粘土細工を作って、それが何かを当て合う「バルバロッサ」。これもディクシットと同じで簡単に当てられたらダメだし、誰にも理解できない代物を作ってしまってもダメ。

 訳の分からないオブジェの正体を見ぬいた時のひらめきには快感がありますし、粘土細工の出来が悪ければ悪いほど正解時には笑いを誘う。

 手前の黄色いやつは俺が作った「バックドロップ」。早々に正体がバレてしまったのですが、分かってもらえたので満足だったりします。 

バルバロッサ 日本語版

バルバロッサ 日本語版

 

  他にも引き際を見極めるバーストゲームや、ハッタリをかまして腹を探りあうブラフゲーム等、人間相手のコミュニケーションだからこそ面白いというゲームデザインはボードゲームならではのものです。

 

無駄話は楽しい

 うちではくだらない無駄話をしながらゲームをプレイするのが常です。気を使わずにダラダラ話してればボードゲームでなくたって大概は楽しいやね。

 目の前には話の種たるゲームを囲んでいるわけで、まあ話す内容には事欠かない。

 そしてボードゲームは強くテーマ性を持ったものも多く、そういったゲームでは物語が生まれがちです。

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 登山ゲーム「K2」。横たわっているコマは道半ばにして倒れた登山家。

 死亡した登山家コマはボードから取り除くルールなのですが、なんとなく横にしてその場に残すようになりました。頂上で力尽きた緑色の彼はグリーンブーツと呼ばれたり。

 あとはこのコラの話をするなど。この世のものとは思えないほどどうでもいい味について。

K2 日本語版

K2 日本語版

 

  

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 これまたテーマ性の強いワーカープレイスメント「村の人生」。

 教会の権力闘争に家族を多数送り込み、宗教で村を牛耳ろうとする赤ファミリーの図。ボードの他の部分では旅に出たまま客死する放蕩息子や、政治の世界で幅をきかせる狸親父なども。

 このようにワーカーの一つ一つに人格を映してしまうのはワーカープレイスメントのゲームにありがちな出来事。リソース不足で仕事ができなかったワーカーはニート呼ばわりで妙なキラキラネームを付けられてしまう。

 だから人のワーカーを「光宙(ぴかちゅう)」とか「幻の銀侍(まぼろしのぎんじ)」と呼ぶのはやめろと言ってるだろうお前ら。

 

 このゲームには寿命の概念がありまして、ゲーム内で一定時間が経過するとワーカーが墓に入ります。(写真左側)

(一人目死去)「おじいちゃーん!!」

(二人目死去)「おじいちゃーん!!」

(三人目死去)「おじいちゃーん!!」

 お前んちおじいちゃん何人居んだよ。

 で、早くに死ぬと村の歴史に名が刻まれて点数になるシステム。

「よし、じゃあここでおじいちゃん殺そう」

 こういうひどい会話も含め楽しむのがボードゲームです。 

村の人生 日本語版

村の人生 日本語版

 

 

システムとしての楽しさ


 「ゲーム自体の面白さ」って言っちゃうと語弊があるんですが、例えばコンピュータを相手にして対人要素を排除した場合でも面白いもんは面白い。*4

 その良さは何なんだろね、と考える。

 

「次はもっと上手くやれる」

 個人的にはこれに尽きる気がします。

 システムの面白さと言ってもゲームごとに千差万別で、そこが差別化ポイントであり、売りになる部分です。なのでそれぞれの良さについて語りだすときりがないのですが、良いゲームに共通するのは様々な戦略が取れるということです。ゲーム用語でいうと「勝ち筋」が沢山ある。 

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 多種族間の発展競争「テラミスティカ」。

 街を発展させ、マップ上に版図を広げていくのがゲームの基本ですが、住居や交易所を沢山作る、砦を作る事によって発動する種族の特殊能力を活かす、神殿や聖域を作り神の恩恵を得る、修道会に司祭を送り込んで地位を高める、ラウンドごとに獲得条件が変わるボーナスを狙う等、リソースや得点の獲得方法は多岐にわたります。

 勝つためにはほぼすべての方法を駆使する必要がありますが、それぞれの比重の置き方や盤面の状況で有効な手筋は如何様にも変わっていきます。

 そうなると、勝とうが負けようが「次はこういう手を試してみたい」という思いが生まれますし、他のプレイヤーが上手い打ち回しをしていたら自分もやってみたくなる。もしくは対策を盛り込んでみたくなる。

 プレイする度に「次はもっと上手くやれる」と思わせる。そして「もう一回やろうぜ」と言わせるのが良いゲームです。 

 テラミスティカ 日本語版 - テンデイズゲームズ(日本語版販売元)

 

短時間で終わる

 上記の補強にすぎないんですが、短時間でゲームが終わるのも良い所。

 1~2時間かかるものを短時間と言えるかどうかは意見の分かれるところだと思いますが、大作ビデオゲームに比べたら短いということが言いたいのです。

 気楽に始めてその日のうちに終われる*5から「もう一回」もやりやすい。繰り返し遊ぶ事による上達は確実に感じられるし、どんどん面白くなっていきます。

 ブラッド・ピットも言ってたよね。「上達に必要なのは練習だ」って。満面の笑顔でドイツ兵の額にハーケンクロイツを刻みながら。

 

感想戦が楽しい

 ボードゲームの醍醐味の一つがジレンマです。

 例えばAというアクション、Bというアクション、どちらもやりたいのにどちらかしか選べないというジレンマ。あるいはCというアクションをとりたいのに、対戦相手にも得をさせてしまうから動けないというジレンマ。

 多くのゲームはそういった諸々のジレンマを発生させるようにデザインされます。その悩ましい選択肢の中から一つの行動を選びとる事こそがゲームですからね。

 ジレンマはシステムから生まれる。ならば、終了後に「何故あそこでああいう行動をとったのか」という思考の経過を述べることやゲームの流れを変えた妙手・悪手を品評することはつまりゲームシステムをプレイヤー同士で解析することに他なりません。

 「○○は××だよね」と言って、「ああ分かる分かる」という共感を得られるのはゲームに限らず嬉しい事で、その合意形成作業こそがボードゲームという遊びの本番なのではないかとすら思います。

 「このゲームの何が面白いのか」を考えるのが面白い、というちょっとメタな話。

 そしてゲームの仕組みをじっくり噛みしめたら、当然もう一回やりたくなるというね。*6

 

「モノ」として


 面白さがどうのこうの以前に、何でいっぱい買っちゃうのか。

 

心に刺さるアートワーク

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 暴走族の度胸試し「髑髏と薔薇」。

 裏面にチームアイコンがデザインされた薔薇と髑髏のタイルが非常にクール。

 

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 怪獣大戦争「キング・オブ・トーキョー」。

 この名前とビジュアルで「キング・オブ・ザ・モンスターズ」を思い出す奴はもうオッサンだ。気をつけろ!!

 何を。

 

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 石炭拾いで悪魔とギャンブル「地獄の釜」。

 異常に立派なポーカーチップが価格の半分を占めます。(多分)

 自重で内箱が壊れるゲーム。

 

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 古代ローマ帝国を駆けまわる「コンコルディア」。

 やっぱり現実世界をモチーフにした地図ボードにはロマンがあると思うわけですよ。「ナヴェガドール」「エルグランデ」「将軍」「チケット・トゥ・ライド」「パンデミック」。

 最後のはロマンどころかしょっちゅう夢も希望も無くなって終わるけどな。

 

 意外と手持ちの画像が少なかったので例がなんか偏りましたが。

 格好いい、可愛い、美しい。斯様にバラエティにあふれ、意匠に凝ったボードやカードやコマがある。モニターの中ではなく現実にそこにある。

 となると思わず買っちゃうのですね。遊びたいゲームしか買わないからコレクション欲からはちょっと軸がずれるんですが、いろいろと手元にある事はそれ自体が嬉しい。

 手持ちのボードゲームの山を目にする気分は本棚を眺める時のそれに近い。別に集めるのは目的じゃないけれど、沢山あればそれはそれで嬉しいという。

 

わちゃわちゃしている

 訳:「ボードゲームのコマっていいよね……。」

 「規格の揃った細かいものが沢山ある」ってのが好きなんですよ。「うわあああああい」って感じで。*7

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 箱庭ゲーム「キーフラワー」。今一番好きなゲーム。これは別売の拡張を追加してますが、人、羊、豚がわわわいといるのがなんとも賑やかでたまらなく良い。

 準備とルール説明がドクソ面倒くさいのが玉に瑕。面白いけどボードゲーム慣れしていない人にはあんまり薦められないゲームでもあります。 

 この系統は「アグリコラ」も良いんだけど、あれは農耕生活の暗黒面がやたら強調されるせいで俺の周りには一緒に遊んでくれる人が少ない。

 飢えるよ死ぬよ冬怖えぇよ。そうだ!! 物乞いをしよう!!

 つらい。*8

キーフラワー (Keyflower)

キーフラワー (Keyflower)

 

 

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 これもナイスなわちゃわちゃ感「レーベンヘルツ」。

 レーベンヘルツ(=ライオンハート)。イングランドのリチャード獅子心王からとった格好いいタイトルなんですが、内容は王の不在中に繰り広げられる公爵同士の醜い縄張り争い。英語タイトルの「ドメイン(領土)」の方が内容に合ってるっちゃ合ってるけどちょっと素っ気ないね。

 ドイツゲームは木のコマが基本ですけど、精巧な造形ができるプラスチックのコマも悪くない。手元で綺麗に整列させると軍隊らしさが出て気分が盛り上がります。 

レーベンヘルツ(Domaine)

レーベンヘルツ(Domaine)

 

 

 動物や騎士のように形に凝ったコマは言わずもがな。たとえ単なるキューブや円柱だったとしても、ゲーム中は「それが示す何か」にしか見えなくなってきます。

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 例えばキーフラワーのこれは金。

 ただの黄色い八角柱がもはや輝く黄金にしか見えない。

 

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 トウモロコシにしか見えない。

 

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 燃えるゴミにしか見えない。

 

 な? 分かるだろ?

 今「分かる」と思った人はそういう病気なので適切な治療を受けることをお勧めします。*9

 

おわり


 引っ越しでいつも一緒にゲームをやっている面子が集まりづらくなってしまったので、どうやって新しい人を引き込んだもんだろうと思い、考えをまとめてみたのがこのエントリです。

 身の回りでも、このブログを読んでいる人でも、ボードゲームをやってみたい人が増えたらいずれはオープンなゲーム会を開催してみたいなあなどと考えております。

 まずは俺の人見知りを治さないといけないのだけれども。*10

*1:戦略シミュレーションはそもそもアナログゲームがベースだと思うので横に置いときます

*2:それを好むかどうかは人による

*3:そうならないクソゲーも多数あるので要注意

*4:メジャーなボードゲームはiPad版がリリースされてる事が多い

*5:「ディプロマシーが」とかそういう例外の話は要りませんので

*6:「クソゲーだな……」と合意しなければ

*7:伝える努力を放棄

*8:そのつらさが面白い部分だと理解はしてもらえるのだけれど、理解することと受け入れることは別

*9:治りません

*10:治りません

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