クロスバイクはメンテナンスも楽しいんよ
先日のエントリで予告してたメンテナンス用品の話など。
自転車は機械ですから、パフォーマンスを保つために適切なメンテが必要なのは言うまでもありません。
といっても消耗品交換やメカ部の調整なんかはそんなに頻繁にやるものでもないので、違和感を感じた時点で店に持ち込めばOK。その辺もできるようになった方が楽しいし愛着も湧くのでおすすめですが、今回は主に洗車、その中でも特にチェーン洗浄の話。
クロスバイクに乗るにあたり、比較的短いサイクルで行うべきメンテとして空気圧の管理とチェーン洗浄&注油が挙げられます。前者は言われずともみんなやってると思いますが、後者は買ったきり放置していると思われるバイクを時折見かけます。
チェーンは真っ黒、スプロケットはサビまくっていて、ひどい場合は金属の擦れるキイキイいう音まで。実に勿体無い。
クロスバイクの軽い走りが台無しになっていることもそうですが、何より楽しいチェーン洗浄をしないのが勿体無い。
チェーンオイルは細かい粉塵を拾って真っ黒でネバネバした汚れと化します。
手に付こうものなら普通の石鹸じゃまず落ちない代物ですが、パーツクリーナーを使うとチェーンからズッバァと流れ落ちるのですよね。こんな勢いで汚れが落とせる掃除を俺は他に知りません。楽しいよ。
ちなみに手についた場合は工業用石鹸を使ってますが、嫁さんのメイク落としでも簡単に落とせました。メイク落としがすごいっていうか、そんなもん使わないと落とせない化粧品が怖い。
メンテナンススタンド
MINOURA ディスプレイスタンド DS-30BLT
まず必須アイテムのメンテナンススタンド。
チェーンは切って外さない限り、自転車に取り付けたまま洗浄することになります。垂れたパーツクリーナーでタイヤを傷めないためにも、タイヤを浮かせてまっすぐ自転車を保持できるという点が重要です。
こんな感じ。ぐっと押し広げてハブに噛ませる。
こういうタイプのスタンドが一番安くて一番間違いがありません。ショップでもよく展示に使われていたりします。前輪に使えるのも良いところ。
チェーン洗浄の他にもディレイラーやブレーキの調整等、個人レベルのメンテでも動作確認のためにホイールを回転させる機会は多いです。クロスバイクに乗るなら必ず必要になるんで買っときましょう。
grunge トリプルプレイスタンド
ちょっと値は張るけど、おすすめなのがこれ。
二本のフックをシートステーとチェーンステーに引っ掛けて置くだけで驚きの安定感。ハブに噛ませるタイプは万能ですが、自転車を支えつつ両手でスタンドを押し広げるという取り付け方に少しだけコツが必要です。
それもすぐ慣れる事なんですが、やっぱ置くだけのスタンドはすんごい楽。いちいち付け外しに屈まなくていいのが嬉しい。
フックの間隔はクイックレバーで簡単に調節できるので、自転車を選ばない。
うちは複数台自転車があるのでこれが助かります。逆に1台だけに合わせればいいのならMINOURAのDS-520辺りでもいいと思います。
パーツクリーナー
WAKO'S BC-8
最近はAmazonのマーケットプレイスに業者が進出してきて安く買えるので助かってます。書いてる現在の最安で、定価1620円に対して530円で販売。
中乾性なので、汚れを吹き飛ばすにもブラシでじっくり擦り落とすにもちょうどいいバランス。あと何故だか知りませんが、遅乾性のBC-2や速乾性のBC-9よりもずっと安く売られてます。どうせ大量に使うんで、送料節約で数本づつまとめ買い。
ホームセンターで200円ぐらいで売っている長ーい缶のパーツクリーナーよりもずっと汚れが落ちやすい、そうです。ホームセンターの使ったことないので。
チェーンオイル
WAKO'S チェーンルブ
チェーンオイルは粘度と持続性のバランスで用途に合わせて選びます。
粘度が高いと汚れを拾いやすいし、低ければすぐに乾いたり流れてしまう。ショップ一押しのちょっとお高めのとか色々と使ってはみたんですが、正直乗り心地の違いは分かんなかったです。
だからこれはとりあえず買うなら一番無難じゃないの、って選択。
「浸透性」とあるようにチェーンの隙間への染み込みがものすごく良いのは吹き付ければすぐに分かります。つまりは潤滑剤として馴染みやすいということ。
粘度もサラサラしているので汚れも比較的付きづらいように思います。
スプレータイプなのでチェーン全体にぶわーっと吹き付けたくなっちゃうんですが、できればちゃんと連結部の一つ一つにちょっとづつ付けましょう。余計なところにオイルが残っちゃうとゴミがつきやすくなってしまいます。
そうなるとスプレータイプって意外と指が疲れるんですよね。固めのボタンを吹きすぎないように加減して百回ぐらい押すことになるので。
なので、一滴一滴オイルが出せるボトルタイプを試してみたりと未だに色々模索中。シマノのがちょっと気になってます。
潤滑油
WAKO'S ラスペネ
さっきからワコーズばっかですが、定評のあるメーカーですし、最初に買って特に問題なかったのでずっとこれです。
チェーン以外の駆動部に注します。ブレーキレバーとかディレイラーとか、とにかく軸のあるところ。あとワイヤーの潤滑やサビ防止に塗ったり。というか最初はチェーンにもこれ使ってました。
キイキイいう玄関ドアの蝶番にも使ってみたりしたのですが、効果は抜群。これもまた浸透性が良くて、あっという間に改善しました。信頼性高いです。
ウエス
日本製紙クレシア ワイプオールX70
SCOTT Shop Towels
ウエス。掃除用に使うボロ布の事。
物の本にはよく「Tシャツを刻んだものでOK」とか書いてあるんですが、そんなに刻むTシャツなんかねーよ。
ということで紙製ウエス。分厚いキッチンペーパーみたいなもんを想像していただければ良いです。
2つ挙げているのは一長一短あるから。
ワイプオールの方は厚手で丈夫、ショップタオルは柔らかくて拭き掃除なんかにも使いやすい反面破れやすい。
ガンガン使い捨てにするチェーン洗浄はちょっと安いショップタオルを使って、引っ掛けて破いてしまいがちな隙間掃除の時は丈夫なワイプオールがいいですね。特にスプロケットをホイールに取り付けたまま磨く時など。ギア間に紙屑が残ってしまうと悲しいですからね。
別に用途によって使い分けろって話ではなくどちらか一方でも十分ですし、Tシャツを刻みたければ思うさま刻めばいいと思います。
手袋
ショーワグローブ ニトリスト・フィット
一連の作業は盛大に手が汚れるので手袋を使うと後々楽です。
軍手だと指先の感覚がなくなるので細かい作業に向きませんし、繊維が引っかかるわパーツクリーナーやオイルが染みこむわで良いとこないんですが、これなら薄くて作業の邪魔にはなりません。100枚で1000円ちょいという安さも素晴らしい。
パーツクリーナーは油を強力に溶かす有機溶剤ですから肌に良いわけもなく。液体の染み込まないニトリル手袋は手荒れの防止にもなります。
チェーン洗浄
ここまでのアイテムで簡単かつ実用レベルのチェーン洗浄が可能です。
青いビニールシート、青いウエス、青い手袋。なんて青い絵面だよ。
ビニールシートを敷いてスタンドで後輪を浮かせたら、チェーンにウエスをあてがって、直接パーツクリーナーを吹き付ける。ウエスをあてるのは溶け出た汚れを受けるためと、余計なところにパーツクリーナーを付着させないため。タイヤや樹脂部分に付けてしまうと侵食してしまうので気をつけましょう。
室内なら換気は十分に。溶剤を吸い込むのはどう考えても体に良かないですから。あと缶にも書いてありますが火気厳禁です。特にこれからの季節、ストーブとか点けたくなっちゃいますけど危険ですからやめましょう。
庭やベランダ等で作業するのがベストですが、ベランダならばビニールシートは敷いときましょう。汚れが溶け込んだ真っ黒いパーツクリーナーはコンクリに染みこんで落ちないシミになります。(やらかし済)
20cm分ぐらいの汚れを受けた状態。黒い汚れと細かい金属粉が流れでてきます。連結部の中の汚れを流し出すようにパーツクリーナーのノズルを当てるべし。
ペダルを逆回転させてチェーンを動かし、一周分の汚れを落としたら、あとはよく拭く。
で、しばらく時間をおいてパーツクリーナーを乾燥させたら連結部にオイルを吹いて、馴染ませた後に余分を拭きとっておしまい。
ワコーズのチェーンルブは浸透性がいいので、吹き付けるとパーツクリーナーが届かなかった奥の奥から汚れが染みだしてきたりします。余分なオイルは汚れを拾う原因にもなりますし、しっかり拭き取りましょう。
洗浄前。
洗浄後。
これで写真の通り。簡易的ではありますが十分綺麗になります。
徹底的にやりたければチェーンクリーナーとディグリーザーを使ったり、コストを下げるなら灯油を使うという伝統的な方法もあります。
チェーンを外してバケツに入れたら、ひたひたになる程度の灯油を入れて、汚れが溶けた頃合いでバケツを洗濯機のように回転させて揺する。ペットボトルを使って振ったりする人もいますね。
完膚なきまでに汚れが分離されるので、これは本当に楽しい。廃油の処理方法が確保できるのならば試してみてください。
チェーンを外すためにはチェーンを切る必要があるのですが、その辺は以前工具の話をした際にチラと書いているのでご参考に。
一度外しちゃえば、パーツクリーナーだけで洗う時も楽。バットの上に広げて一気に吹き付ける。ビニールシートを敷かなくていいし、ウエスで受ける必要もなし。
結局掃除の究極形は分解ですよね。ミッシングリンクを使えばチェーンを切るのも接続も手でできるようになるので、気軽にバラして掃除ができるようになります。
耐久性の面からミッシングリンクの使用を避ける人もいますが、クロスで普通に乗る分にはまず問題ないでしょう。緩む前に適当なタイミングで交換してください。
ポリッシュ
FINISH LINE Showroom Polish & Protectant
フレームにも専用のクリーナーがありますが、台所用の中性洗剤を薄めて使えば十分な気がします。メンテナンスの基本はとにかく拭くことだってギャラリーフェイクの藤田も言っていた。ですぜ。
駆動部と違ってフレームの掃除は性能維持にはあまり関係ないのですが、綺麗な方が快適に決まってますから、チェーンやホイールを外すタイミングでついでに磨いちゃいましょう。余計なパーツがない状態ならフレームの隅々まで磨けます。
自転車は軽いからまるごとひっくり返して掃除できるのがいいですね。ボトムブラケットの裏とかサドル下とかの普段見えない(けど盛大に汚れる)部分も簡単に綺麗になります。
で、最後にこのポリッシュで磨くと光沢が出て、汚れを防ぐコーティングにもなります。これは車にワックスを塗るかどうかってのと同じでもう趣味の領域ですけどね。
ちなみにこのポリッシュはおっさんフレグランスのような匂いがするので我が家では「お父さん」と呼ばれています。
乾けば無臭ですよ、もちろん。常にお父さんの匂いがする自転車とか乗りたくないわ。
おわり
繰り返しますが、クロスバイクを快適に乗り続けるためには定期的なメンテナンスが必要です。今は本など買わなくてもYoutubeをちょっと調べればいくらでもやり方が公開されていますので本当に便利。
個人レベルではきちんと掃除をしていれば大丈夫。駆動部を綺麗に保つことが性能の維持にもつながります。自転車趣味の良いところは取り敢えず何でも自分でできる事。そして自分でやってみようとする事自体が趣味として長く楽しむためのコツなんじゃないかと最近思います。
面倒に思えるかもしれませんが、パーツがみるみる綺麗になる様は一種の快感がありまして、作業そのものが結構楽しいもんです。
年末の大掃除の時など、メラミンスポンジで水垢だらけの蛇口を磨いてみたら、あまりに綺麗になるのでむやみにピカピカになるまで磨いてしまったというような経験はありませんか? そんで他が全然片付かない、的な。
ベタベタの油汚れがズルリと落ちる様にはそういった中毒性があります。俺は分解して細部まで徹底的に洗いたくなって、そのために工具を揃えてしまった口ですから。
そして分解して機構を知るにつけ、カスタムしたくなったり一から自転車を組んでみたくなったり。そういう沼の入り口もあるので気をつけましょうね。
ああ怖い怖い。