やたらとローカロリーな脳死ゲーム「Loop Hero」

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レトロ風グラフィックで、全く新しいローグライク。デッキビルドやハクスラ要素も入って、リリース後1週間で50万セールス達成。

絶対好きなやつだと思って買って、いまんとこ20時間ぐらい遊んでるんですが、俺は未だにこのゲームが面白いんだかどうだかよく分からないんですよねぇ。

一度始めたらやめ時を見失って延々と遊んじゃうんですが、俺ん中では宇宙規模で延々とクッキーを生産し続けるゲームと同じ箱に入りつつあります。

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ゲームを始めると、こういうループ状のマップが生成されて、白いアイコンのヒーローと敵キャラが配置されます。ヒーローは焚き火のあるキャンプタイルを起点に、このループしたマップをオートでぐるぐる回りながら敵を倒していきます。

敵を倒すと、装備品または所持デッキからランダムに選ばれたカード、もしくは素材アイテムが手に入ります。

装備品にはレベルやレア度の違いがあり、レベルが高いものは基本性能が高く、レア度が高いほどカウンター攻撃や体力のオート回復などの特殊効果が多く付きます。

ハクスラ系ゲームの基本に沿って、敵を倒しては装備品を順次強力なものに持ち替えつつゲームを進めるわけです。

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右下にずらっと並んだ数値が装備品その他の全効果を含めたステータス。

戦闘は完全オートで眺めるだけですが、うまく装備品の特殊効果を組み合わせることでヒーローはめきめき強くなりますので、その取捨選択をすることこそがこの作品におけるゲーム部分といえます。

そしてカード。画面左下のこれ。

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このカードは基本的に地形タイルをマップ内に配置するもので、画面上にドラッグ&ドロップすることで、ドロップした場所に対応する地形が生成されます。

道の上に配置するタイルは、ヒーローが通過した際に体力回復や素材入手等の効果をもたらす一方で、タイルに対応したタイプの敵がスポーンするようになります。

マップ周回の危険度は上がりますが、敵を倒さないとアイテムは手に入らないし、レベルも上がらないので積極的に配置していくことになります。

そして、道の外側に配置するタイルもありまして、これは数や配列によってヒーローのステータスを上げたり、タワーディフェンスゲームのように効果範囲内に攻撃その他の影響を及ぼしたりします。

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探索が進むとこのようにマップに情報と敵キャラが増えてだんだんと賑やかになっていく。敵が増えるほど入手できるアイテムも増えるので忙しくなってきます。

ステージ毎に規定の範囲をタイルで埋めるとボスキャラがスポーンし、それを倒せばステージクリア。なんですが、そう簡単には倒せないので、探索中に入手した素材を持ち帰り、キャンプ施設を増強することでヒーローをパワーアップさせます。

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この辺はストラテジーゲーム。有利な効果をもつ施設を作り、素材を使って作った施設を強化することもできる。

こうやってキャンプを拡張していくことで新しいカードが手に入り、遠征中に配置できるタイルの種類が増えます。遠征に持っていけるカード枚数には上限があるので、タイル同士のシナジーを考えて選ぶというデッキビルド的な要素もあります。

とまあ、こんな感じで人気の要素をこれでもかと盛り盛りに盛った上で、全く破綻している部分がない。すべてを綺麗に融合させた見事な作りです。

こんなもん絶対面白いし、実際やってる間は楽しいんだけど、何がモヤモヤするかってこのゲーム考える部分がほとんどないんですよね。

敵を倒して素材を持ち帰りパワーアップ。それを繰り返してボスを倒すのが目的ですが、どんなに適当にやっても必ず素材が持ち帰れるので、漫然とプレイしてても(効率の差こそあれ)絶対にヒーローは強くなる。

探索中に落ちた装備やレベルアップ時スキルを組み合わせるハクスラ要素。ローグライクなので都度即興のビルドでヒーローを強化するのは楽しいし、引き運が良かった場合の無双感もたまらないものがあるのですが、基本的に探索後半に落ちる装備の方が強いので、何も考えずにただレベルの高い装備に持ち替えるだけでも形になってしまいます。

カードゲームとパズルゲームを組み合わせたタイル配置によるマップ生成。これもタイル間の相互作用などの要素が薄めなので、すぐに最適解に落ち着いてしまい、以降は作業。大量に敵を産出してヒーローに効率的に倒させるよう、毎回同じような配置をしていくことになります。

結果としてこれは非常に熱量の低い作業を死んだ目で延々繰り返すゲームとなります。ただ、困ったことにそれが結構楽しいんですよね。パワーアップにより素材や装備品が効率的に手に入るようになり、それがまた次のパワーアップにつながる。

ローグライク&ハクスラな遠征中の短期的なパワーアップと、キャンプの増強を行う長期的な拡大再生産。多くの人間は本能的に拡大再生産が好きなのです。

そんなわけで、最初に書いたとおり俺はこのゲームをローグライク/ハクスラ/ストラテジー/カードゲームの皮をかぶったクッキークリッカーだと思ってます。ゲームがゲームたる本質部分だけを抽出した結果、無を楽しんでいる気分になるあたりがそっくりです。

常に「もっといい時間の使い方があるんじゃないかな……」と感じつつも、そのカロリーの低さからなんとなく遊び続けてしまう楽しい虚無。それがこのLoop Hero。

今はSteamでもIdle(放置)ゲームがひとつのジャンルになってるぐらいですし、世の中には虚無好きが結構いるのですよね。俺も嫌いじゃないんだけど、人に勧めてよいものかはちょっと悩みます。虚無だから。