「ゾンビーバー」のエンディング曲が頭から離れない ー 最近観た映画の感想
鍵泥棒のメソッド
食い詰めた売れない役者が、銭湯で転んで病院送りになった男の荷物をどさくさまぎれに盗んでしまった。良心の呵責を感じつつも男が記憶喪失になったのをいいことに成りすまして羽振りの良い生活をしていたら、実は男の正体は伝説の殺し屋で、クライアントから新たに殺しの依頼を受けることになってしまう。
「アフタースクール 」の監督ということで、最終盤で意外などんでん返し(だった気がする。内容忘れたからまた観よう)にやられる話を想像していたのですが、どちらかというと、着実に積み上げた伏線をきれいにまとめて消化する、といった感じです。意外性に殴られるタイプの脚本ではありませんでした。
もちろんだから良くないという話ではなく。場面場面のちょっとした違和感の正体に、後からなるほどそういうことか、と膝を打つ、そういう形での脚本と演出の妙。俺これすげえ好きです。
売れない役者の堺雅人はとことんだらしないダメ男なのですが、本質的なところでお人好し。きっちり「憎めないクズ」をやっています。
一方の殺し屋、香川照之は生来の真面目さ、几帳面さ、地道な努力で記憶を失ったまま役者として実績を積んでいく。裏稼業の人間なのに、その素顔は実直な好人物。
入れ替わりによって強調されるこのコントラストが本当に楽しい。どんどん香川照之が好きになっていく一方で、右往左往する堺雅人も「憎めないクズ」ポジションをしっかりキープ。ダメな奴なんだけど助かって欲しい、そう思えるのは台詞回しと相変わらずじんわりとした顔芸のおかげでしょうか。
ヒロインの広末涼子も一番の常識人に見えて実はナチュラルにネジが外れているタイプの優等生キャラという、面白い立ち位置(フィクションでは結構ありがちだけど)。俺、多分この人の演技を見るのは初めてで、よく大根役者と言われている印象があったのですが、全然そんなことないのでは。
基本、あんまり感情を出さないタイプのキャラだったので粗が出にくいということもあるかもしれませんが、それでも無表情が剥がれ落ちて時折垣間見える感情の演技は普通に良かったと思います。
しっかりとした脚本の上でメインの3人がしっかり仕事しており、カメラワーク含めた演出面も巧妙。まさに盤石といった趣で誰にでもおすすめできます。
演技指導のシーンとか本当に好きだわ。
ゾンビーバー
B級パニック映画はだいたい一人で観るのですが、今回たまたま嫁さんを付き合わせてみたらずっと嫌そうに観ていたのに、終盤の怒涛の展開で案外楽しめちゃったらしく、「クッソこんなので……」ってなってたので謎の勝利感がありました。
タイトルだけでもはや何の説明も要らないことがお分かりいただけると思いますが、廃棄物で凶暴化&不死化したビーバーの群れに襲われて登場人物がだいたい死にます。
湖畔のキャビンに集った若者が順次死んでいく映画では、最初の死人はこっそり抜け出して外で行為におよんでいるビッチかヤリチンのどちらかと相場が決まっているのですが、この作品に登場する若者たちは全員クソビッチとヤリチンなので誰から死ぬのか全く分からないという点で非常に斬新といえます。
下ネタトークは普通に不快ですし、登場人物の性格も概ね最悪ですが、おかげで誰が死んでもこれっぽっちも心が傷まないのが非常に良い点です。
唯一辛いのは犬を犠牲にして逃げるシーンですが、エンドロールで見られるNGカットで大変ほっこりして救われるようになっています。すばらしい。
明らかにショボいパペットのビーバーが、もぐらたたきのように床をぶち抜いて襲ってくる。タイトルに違わず失笑もののシーン満載なんですが、それでもこの映画が楽しく観られるのは役者の演技がガチだからです。
ぬいぐるみ相手に本気で怯え、本気で逃げ惑う。「ゾンビ」のみでなく、「ビーバー」まで感染したビーバー人間となって、獣の動きで生存者に襲いかかる。
低予算だから、ジョークだからと妥協せず、大真面目に悪ふざけをしている。俺にとってのB級映画の良し悪しはその辺りにラインがあるのだなあと実感しました。どうせ観るなら真面目に頑張ってる馬鹿を観たいもんですね。
※別におすすめはしません。
search/サーチ
映画の全てがPCの画面だけで展開されるサスペンス。行方不明となった娘をWEBを駆使して探す父親の話。
「全編PC画面」ばかり取り沙汰されがちですが、むしろ肝となるのは情報の見せ方や使い方。娘のSNSをハックして洗った交友関係や過去のぼやき、ニュースや素材画像に至るまで、全てがWEB上にあるものなので、後から掘り出すのも容易。
一度はさらっと通り過ぎた情報をどんどん掘り出し直して、点と点がみるみる繋がっていく展開が実に見事で、このスッキリ感のためだけに観ても損はしないと思います。
WEBの情報だけで真相にたどり着く父親はまさに現代の安楽椅子探偵。あまりに性能高すぎなのではと思いもしたのですが、よく考えたら鬼女板の人たちもこのぐらいサラッとやってのける気がするし、集合知で事件を解決する、そんな映画が観たい。ジャンルがホラーになるけど。
PC画面だけなのに人間模様も妙にリアルで、チャットアプリ上で展開されるぎこちない父娘関係や、娘を探そうとしてその娘のことを何も知らないことに気づいて呆然とする父親。必死で娘の手がかりを探す父に塩対応だった娘のクラスメイトが、報道で失踪事件が有名になるや、途端に親友ヅラで涙ながらの呼びかけ動画をSNSにアップするなど。
したり顔で事件を語りだしたクラスメイト連中は全員炎上して骨まで燃え尽きればいいのにと思いました。そしてその手の気持ち悪さの表出含め、ネットらしさのフレーバーが上手に使われているのも良かった。
この映画は先にやったもん勝ちというか、以降はどうしたってパクリにしかならないのでフォロワーは出てこないと思われます。ネタが古くならないうちにさっさと観てしまうのがおすすめです。
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ゾンビ映画は全部こういうのでいい ー 最近観た映画の感想
コードネーム U.N.C.L.E.
全くタイプの違うCIAとKGBのイケメンスパイが手を組んで、世界の危機に立ち向かう。
ファッションや立ち振る舞い、ひとつひとつの言動や部屋の室礼に至るまで、ガイ・リッチーの映画はスタイリッシュで隙がない。
なので毎回はまり切れない俺がいる。こんなオシャレなもん絶賛できる人間じゃねぇんだよう俺は、って毎度毎度なる。ロックストックとスナッチしか観てないですが。
いや、面白いんですけどね。派手さはないけど、テンポのいいストーリーとアクションでずっと退屈しないで観ていられるし、コメディ要素もいい感じ。「小気味いい」という言葉がしっくりくる。
それを手放しで褒められないのはスマートで格好いいものに気恥ずかしさを感じてしまう俺の僻み根性ゆえで、根本的なところで相性が良くないとしか言いようがありません。
それでも観た作品は全部面白かったんだからすげえよな、とも思う。
クワイエット・プレイス
音に超反応して襲いかかる謎のクリーチャーが跋扈するようになってしまった世界。生き延びた僅かな人類は文字通り息を潜めて生活しているのだった。
ものすごく面白そうな設定のシチュエーションホラーなのに。
誰もがツッコむでしょうけれど、どうしても言わずにいられないので俺も書いておくと、何故その状況で子供を作る? 妊娠してからクリーチャーが現れたんじゃなくて、明らかにクリーチャーが人間を襲いまくっている真っ只中でご懐妊してるんだよ日数的に。
この辺、作中の時系列を変えておけばいいだけなのに、何故かそんな順番になっちゃってるもんだから観ててずっと何してんのお前ら。って考えが拭えなくなっちゃうんだよね。ほんと何してんのお前ら。
音を立てちゃいけない状況で産声をあげさせたかったんでしょ。わかるよ。でも流石に考えなしにも程があるでしょうよ。制作陣が。
で、ずっとその思いが頭の中から離れないまま観ることになるんですが、その思いは最後の5分で「銃効くんかい」に塗り替えられます。
いや、効くのかよ。それならなんで人類ここまで追い込まれてんの。この世界の軍隊は全員チンパンジーか何かで編成されてんのかな?
砂を敷いて歩くとか、非常事態をライトの色で伝えるとか、ディティールにはこだわってるのに、シチュエーション作りがえらく雑なので茶番にしか見えないのだよね。
いっそ「ミスト」(映画版)オチなら多少は説得力がある気もするんですが。ないか。
ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY
うん。まあ面白くはなかった。
「ジョーカーの女」を笠に着て好き放題やってたハーレイが、ジョーカーに捨てられる。それを聞いて四方八方から復讐に来る男どもを千切っては投げたり投げられなかったりする。
ということで、そこら中でやりたい放題暴れるハーレイのアクションが見どころなんだけど、華奢なハーレイの攻撃力に説得力をもたせるためにやたら回転して遠心力を使ったり長い助走したりすんのね。
敵がわざわざ攻撃を喰らうまで待っててくれてるように見えちゃって、あんまり爽快感なかったなあと。
マーゴット・ロビーのハーレイ・クインは本当に似合っててハマり役だと思うんだけど、悲しいかな「スーサイド・スクワッド」共々、登場作品が面白くない。
DCEUの映画はMCUと比べて当たり外れが激しいね。次のスーサイド・スクワッドはジェームズ・ガン監督なので期待してますが。
ザ・フォーリナー/復讐者
IRA(アイルランド共和軍)系組織の爆弾テロで一人娘を失ったジャッキー・チェンが復讐のため孤独な戦いを始める。
これは全くもって俺個人の問題なのですが、最後に見たジャッキー・チェンが「カンフー・ヨガ」だったもんだからその落差のひでえことよ。
だからこそ常に悲しみを湛えたジャッキーの演技が映えたと言い張ろう。ああ、ジャッキーってこんな役もできるんだ、と心の底から思えたので。
作中の殆どの時間で、戦う相手は犯人ではなくピアース・ブロスナン扮する北アイルランドの副首相。というのも、ジャッキーは実行犯が誰かもわからないので、犯人を教えろ、と元IRA活動家の副首相を脅迫するわけです。爆弾で。
元特殊部隊所属の卓越した戦闘能力ではなく。使うのはまさかの工兵スキル。まさかの爆弾テロ返し。意外な展開すぎて開いた口が塞がんねぇですわ(褒めてます)。
対人戦のアクションはいつもどおりジャッキーらしい周囲の環境を利用した戦い方。動きそのものはまるっきりカンフー映画なのに、風景や画作りのトーンがヨーロッパになるだけで全く別のものに見えてくるから面白い。
これは先日「燃えよデブゴン/TOKYO MISSION」で感じたのと全く逆の感覚。あっちは東京なのに香港にしか見えなかったなあ。
ともあれ、終始目が死んでるジャッキー・チェンは非常にいい感じでした。カンフースターとしてのジャッキーのファンからはあまり評価が高くないみたいですが、俺は好き。じっとりと執念深いストーキングをするジャッキーは新鮮ですよ。
ゾンビランド
「自分ルール」を守り、わりかし気楽な感じでゾンビアポカリプスを生き延びた主人公。同じノリで生き残っていた人間たちと安住の地を探して気ままに旅をする。
コメディタッチでふわっと軽く描写される人類滅亡と、適度に弱いゾンビ。緊張感なんてこれっぽっちもありませんが、ゾンビ映画なんて全部このぐらいでいいと思ってる。
要約したら5分ぐらいで終わりそうな内容ですが、演出もテンポもいいので間延びを感じさせない。いや本当に内容はないんだけど。
途中、「ゴーストバスターズ」のビル・マーレイが本人役で出てきます。カメオ出演と言うにはやたらと長く、そのうえストーリー的には全く要らないくだりなんですが、突然色々雑になって妙に面白いので大好きです。全体的にきっちり作られてる映画なのに、そこだけ急にクソ映画化するの。
主人公のジェシー・アイゼンバーグはどっかで見た顔だと思ったらBvSのレックスか。ナード学生役が似合いすぎ。
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ミニマム本棚のすすめ
うちはリビングにソファーとかローテーブルとか置いてないんです。狭いから。
なのでリビングでくつろぐときは専ら床。大きめのラグとヘタレきったビーズクッション、あとはこたつ布団(こたつ本体は処分済)の組み合わせでゴロゴロするのが我が家における食後の過ごし方です。
このスタイルは気楽で快適、なにより家具がないので掃除がめっちゃ楽なのがとても良いのですが、本やスマホ等、一度手にしたものを置く場所がないのが大きな問題です。
うっかり踏みつけかねない床に大事なものを置くのはやはり気分が良くない。それに小物を床に直置きすると、いきなり部屋がとっ散らかった感じになってしまうのもいただけない。
ということで作りました。箱。嫁さん用のとふたつ。
ひとまずメインの本棚から読みかけの本と積読本を移します。床に出しっぱなしになってた漫画も入れました。
前述の通り読みかけ本の退避場所として作ったんですが、積読の存在が強調される&積読(+α)だけ手元に持ってこれるというのが意外と良い効果を生むようで、手持ち無沙汰で寝っ転がっているときにスマホをいじらずに本を手に取ることが増えました。
スペースが限定的なので、次の本を入れられるように早く読んで場所を空けようという意識もちょっと働きます。つまりは積読の消化がはかどる。
ちなみに左端の本は自己啓発本の中でも名著中の名著と呼ばれるD・カーネギーの「人を動かす」愛蔵版です。中学生の頃に箱入りで父から贈られた高級本。
何度も読み返したいからここに置いている、わけではなく、当時から今に至るまで未だに通読できておりません。ここに置いときゃ読めそうな気がしないでもない。
長年積読のまま引っ越しのたびに新しい家に並べ直している代物で、ずっと気にして意識の片隅にあるという意味で今の俺を形作った要素のひとつではあります。すまん父。
常駐する場所が変わっても箱ごと簡単に移動できます。机の上とか寝室とか。
Helinoxの椅子は軽いので、窓際の日当たりがいい場所や、ダウンライトの直下に移動して本を読むときに時々使ってます。
まあ、その場合は普通に読んでる本を手に持って移動するので、こんな風に箱ごと移動させたりはしませんが。この画像は何か「ていねいな暮らし」的なしゃらくせえ写真が撮れないかと試みて失敗しているだけです。
あと、横になったまま本を読んでいてウトウトしてきたらメガネを置いて眠れます。目覚めたらいい角度で置かれてたので撮りました。スマホとかも置きます。便利です。
「置き場」を用意するのって大事ですね。
作り方は説明するまでもないと思うんで、サイズの参考に。縦270mmで大判単行本がいい感じに入ります。1x6材だと奥行きはだいたい140mmぐらいです。もっと深いのがほしければ1x8材でも。
1x6なら6ft(1820mm)で800円とかそんなもん。ホームセンターでカットまでしてもらえば、ドライバーでネジ止めするだけでも作れます。できればドリルで下穴ぐらいは開けることを推奨しますが。
あとは100円ショップで紙やすりを買ってヤスリがけだけはして、塗装はやりたきゃやりましょう。
思いつきで作ったこのミニマム本棚、思ったよりも便利だったので記事にしましたが、利便性は別にしても「今読んでる本」「これから読む本」が視覚化されるだけで結構楽しいです。
たまに写真に撮って、後でその変遷を眺めるのも面白いかもしれません。その時々の精神状態とかが表れそうなので。
バレーボールとガチ喧嘩する人を見た ー 最近観た映画の感想
キャスト・アウェイ
飛行機墜落・遭難からのサバイバル映画なんですが、遭難シーンが下手なディザスター映画よりよっぽど怖い。だからむしろサバイバルの右往左往は癒やしのシーンだったりする。少なくともすぐには死なないからね。
生存のために必要だから火をおこすとか飲み水を確保するとか無人島サバイバルものってみんな同じことをやるんですけど、同じことを何回見てもやっぱり面白いんですよね。期待に外れず努力と工夫、少しばかりの運によるブレイクスルーが見られるのが分かっているので。苦心の末にようやく火をおこして狂喜乱舞するトム・ハンクスを観られるのは予定調和といえども嬉しいに決まってるわけです。
そしてバレーボールと大喧嘩をするトム・ハンクス。バレーボールと仲直りするトム・ハンクス。海に流されたバレーボールを命がけで助けようとするトム・ハンクス。
俺、別にトム・ハンクスが好きってわけじゃないんですが、バレーボールを親友とすることでギリギリ精神の均衡を保っているというその演技には、やはり目をみはるものがあります。映画の大半が一人芝居なのにその感情の起伏の激しいことよ。喧嘩のシーンとか普通に笑っちゃったもんなあ。
あと、サバイバルにおけるほぼ全ての問題を解決するダニエル・ラドクリフの死体がどんだけ反則なのかよく分かりました。
なんとか救出され、文明社会に復帰したあとの尺も結構長くて、山程食べ残されたホームパーティの料理や、簡単に火のつくライターなどに感じる虚しさには「ミノタウロスの皿」に近しいものがあって好み。最後はポジティブに終わるので、ハッピーエンド好きにも安心しておすすめできます。
それはそうとNETFLIXは「キャスト・アウェイ」で検索したときの候補に「スイス・アーミー・マン」を入れるのを止めてください。
新解釈・三国志
福田雄一作品は「HK/変態仮面」とかすごい好きなんですけども、これは心底合わなかったですね。
変態仮面の後に勇者ヨシヒコを観てみて、ブス連呼するところでこりゃ無理だ、とそれっきり続きを観ていないのですが、まさか今更同じネタを見せられるとは思わなかったよ。
道徳とかマナー以前に、美醜感覚の違いをなんのひねりもなくそのままギャグにするのはあまりにもセンスが古すぎじゃねえの、という話。単純に全く面白くない。
全編にわたってずっとそんな感じでした。
あと佐藤二朗は佐藤二朗でした。
ワンダーウーマン1984
DCEUのビッグタイトルだし、一定以上のクオリティがあることは認めるけれど、それにしたってあまりにも脚本が雑じゃないですかね。
願いを叶える代わりに、その願いに見合った代償を奪われるという、いわゆる「猿の手」的な石の争奪戦がストーリーの主軸なんですが、肝心の「代償」周りの設定がガバガバなんですよねぇ。
「願いを叶えた代償として、願いで手に入れたものを全て奪い取る」みたいな、ルールというにはあまりに乱暴な、屁理屈みたいなチートがまかり通ってしまうので興ざめしてしまう。かと思えばスーパーパワーを手に入れたヴィランの失ったものは「優しい心」とか。なめてんのか。
願いを放棄すれば代償はあっさり戻ってくるし、石を創った邪神さんが設定を間違えてるとしか言いようがない。
観てればこの辺の設定でもってやりたかったことはよく分かるんだけど、あまりにも分かりやすすぎと言いますか。要するに意図が露骨すぎて安易とのツッコミは免れないでしょこれは。お涙頂戴はもっと上手くやれよという話。やる前から「感動の展開」がまるわかりなんだもん。
あと前作のラストバトルなんかもそうだったんだけど、時々CGがクソダサくなるのなんなんでしょうね。
ダイアナとスティーブで「文明についていけてない人」が逆転してるくだりは好きです。
アフリカン・カンフー・ナチス
第2次世界対戦を生き延びたヒトラーと東条英機はガーナへと落ち延び、新たな「ガーナアーリア人」の帝国を作り上げていた。
カンフー使いの主人公は師匠の敵を討ち、恋人を救い出すために新生ナチスが開催する殺人格闘トーナメントに身を投じるのであった。
ちょっと前にB級好きの間で盛り上がっていましたが、面白くはなかったです。
字幕がみんな関西弁だとか、旭日旗にハーケンクロイツだとか、顔に白い粉をはたいただけの「ガーナアーリア人」だとか、東条英機役の下手すぎる演技だとか、「大きい黒人の女の子(役名)」だとか、B級好きが大喜びでツッコミを入れそうなネタには事欠かないのですが、あえて作ってる感じが強すぎて天然物のパワーを感じない。
ショボさを笑いの要素にしようとするなら実際はどうあれ「狙ってる」感じを出しちゃうのは下の下だと俺は考えていて、そういう意味で字幕を関西弁にしたのは初っ端から大失敗だと思うんですよ。これはボケですよと喧伝してるボケじゃ笑えない。
ドヤ顔のボケにいちいちツッコむのも野暮の極みというか、自分がすげえ面白くない人間に思えてくるので語る口も重くなろうというもんですよ。
ヒトラーや東条英機は多少なりとも本物に寄せる努力をしている(?)のに、ゲーリングだけ何の説明もなく現地ガーナ人の役者を使ってるので、そこだけは普通に笑いました。
燃えよデブゴン/TOKYO MISSION
昔ながらのカンフーコメディをやろうとしてるのはわかるんだ。わかるんだけど、その手の作品に出がちなお約束キャラクターを今の時代に目にするのはキッツイわ。
全然人の話を聞かないで喚き散らす恋人や、なにかと自分の支払いや借金をドニーに押し付けようとする上司、わざとらしく棒読みの竹中直人とか。トラブルメーカーしか居ない人間模様の中でたびたびギャグを挟んでくるけれど、全然笑えない俺は中国ギャグに向いてないらしい。
そんな中で相変わらずドニー・イェンのアクションはキレがあって、この映画唯一の救いと言えます。デブの特殊メイクついでに肌もツヤツヤになってえらく若返って見えますね。
セットで作られたウソ東京の繁華街。屋根や看板に登ってアクションしだすと、馴染みのあるチェーン店や標識が映っててもテイストが完全に香港映画になっちゃうのは面白かったです。
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マ・ドンソクは鉄アレイで殴り続けても死なない ー 最近観た映画の感想
悪人伝
「マ・ドンソクの動きを止めるには車で撥ねるしかない」ということがよくわかる映画でした。
なお、動きが止まるだけで倒せません。
無差別シリアルキラーに遭遇して刺されたヤクザの組長。「先に確保した方が犯人を好きにする」という約束で不良刑事と手を組んで、互いを利用しつつ犯人を追う。
ヤクザ・刑事・殺人鬼の三つ巴の戦いのはずなんですが、マ・ドンソク演じる組長のキャラが濃すぎて、鑑賞後には刑事も殺人鬼もほとんど記憶に残りません。だがそれがいい。
マ・ドンソクはシンプルな暴力の権化。癇に障る発言をした人間を動かなくなるまで殴る、殺人鬼に滅多刺しにされてるのに死なずに撃退する、殺人鬼のドタバタにかこつけて商売敵を謀殺する。
また、その高い暴力スペックに加えて、とんでもなく仕事ができる男でもあります。きっちり警察の上層部には金を握らせて犯罪をもみ消し、ごく単純な暴力の恐怖によって傘下の跳ね返りを黙らせる。かと思えば「若い連中は飯を食わせなきゃ働かねえ」と面倒を見て、下っ端からは「兄貴」と慕われる。
任侠ヤクザなどでは決してなく、目的のためには手段を選ばないタイプの極悪人なんですが、「こんなん絶対勝てねぇよ……」という腕力と耐久力とカリスマ性が観てて楽しくなってきてしまう。
そんななので、ヤクザと刑事のバディものというにはちょっと相棒の存在感が薄いし、殺人鬼に至っては特にバックボーンも何もないただの快楽殺人者なので、敵役としては魅力に欠ける。
結果として、ひたすらブルドーザーみたいなマ・ドンソクを眺めて楽しむ映画となっております。だがそれがいい(二回目)。ポスターの面積比が全体の印象をそのまま物語っていると考えてよいです。
ラストのマ・ドンソクの笑顔が最高でした。
イコライザー2
近所の頼れるインテリおじさんが実は元CIAのトップエージェントで、「私的に」悪人を消して回っている、という物騒なシリーズの2作目。やたら「19秒」が強調されてるけど、そこはどうでもいいよね。
民間人なのに普通に悪人を殺して問題を解決しようとするデンゼル・ワシントン。前作は特に顕著でしたが、現役エージェントでもいかんだろ、というレベルでカジュアルに人を殺すので観ているとCIAというものに関しての認知がテキメンに歪みます。あんまり深く考えないで、異世界アメリカ無双的な何かとして楽しむのが良いでしょう。
無人のホームセンターで商品を上手に使って一人ひとり敵を消していくデンゼル・ワシントン(前作)。嵐のゴーストタウンで空き家を上手に使って一人ひとり敵を消していくデンゼル・ワシントン(今作)。
相変わらずラストバトルが完全にホラー映画の殺人鬼視点になってるのすげえ面白いんですが、これわざとやってるんですかね。
ジョーカー
NETFLIXに来たのでやっと観ました。
前評判をうっすら聞いて「これがジョーカーのオリジンとして自分の中に定着しちゃうと嫌だな」という思いがあって、なんとなく劇場まで足を運ぶ気にならなかったのです。
社会的弱者の売れないコメディアンが馬鹿にされて、虐げられて、どん底に落ちたところでブチ切れて悪のカリスマとして覚醒する。俺の期待するジョーカーはそんなキャラじゃないというか、そういう「共感できる理由」があって欲しくないんですよね。
だってDCEUのバットマンがBvSのアレだとしたら、あっちはもう完全な狂人じゃないですか。あのアレと向こうを張らなきゃいけないライバルがそんな真っ当なオリジンでいいのか、という。いい年してようやく仕上がったようなジョーカーじゃ相手にならないと思うんだよねぇ。
バットマンが幼少期に歪められて生まれた狂人であるならば、ジョーカーは理由も理屈もないナチュラルボーン狂人であれ。
まあ、どう割り引いて見ても中年のジョーカーと少年時代のブルース・ウェインが同じ時代に存在しているので、これは違うバースの話か、あるいはジョーカーが適当に語る「悲しい過去(というヨタ話)」のバリエーションのひとつだと考えています。
バットマンのヴィランとは別物としてみれば、この映画は文句なく面白いです。共感性羞恥が辛いって感想もありましたが、個人的には全くそんなことはなく。
というかこれ、結果が最悪であることを除けば完全に解放の物語ですよね。アーサー(後のジョーカー)視点でいえばハッピーエンド以外の何物でもない。完全に吹っ切れて堕ちきったアーサーが階段を下るシーンの楽しそうなことときたら!!
連行されながら暴動を眺める笑顔や、明るい精神病院での追いかけっこといい、絶望のどん底から一転幸福の絶頂(本人だけ)エンド。よかったねアーサー。
分断社会への警鐘を描いているという批評はもっともで、というかむしろそういったメッセージを読み取るなってほうが無理なんですが、それでも俺は単純に痛快人生大逆転映画として楽しめてしまいました。あんまりあたまがよくないです。ばなな。
ちなみに観た後真っ先に連想したのは「ジーキル博士の彷魔が刻」というクソゲーでした。
デイヴァイン・フューリー
右手に聖痕を宿してしまった格闘家。神を信じない彼はそれでも悪魔祓いの戦いへ身を投じる事となる。
劇場で結構な回数の予告が流れていて、設定がまあ中二病全開で逆に観たくなりました。
主人公は聖痕の力で悪魔を祓うんですが、聖なる力は主に暴力によって行使されます。悪魔憑きを普通に殴る蹴る。聖なる炎が燃え盛る右手で掴んで炙る。聖水は火勢を強める燃料扱いで、右手で敵に着火してからぶっかけてよく燃やす。この雑な聖水の扱いが狂おしく好き。
このように、およそ悪魔祓いに見えないアクションが見所のひとつです。
どうしてもアクションが印象深いのでこういった感想が先に来てしまいますが、別にネタ映画というわけではなく、普通にちゃんと面白いエクソシストものです。
師匠ポジションのアン神父が良いキャラでした。あと「哭声」でも思ったけど、韓国映画の子役は悪魔憑きの演技が異様に上手いですね。
TENET
ノーランのSF映画って小難しい理論を「なんかわかった気にさせる」のが凄く上手いですよね。「時間逆行」が今回のネタで、普通の時間の流れの中にいる人間と逆光する時間の中にいる人間が同じ空間に入り乱れて動き回る。
逆向きの時間の流れに入るための回転扉というギミックがシンプルで直感的に分かりやすいので大筋を把握するのはそう難しくないのですが、初見で細かいところまで理解するのはまあ無理でした。特にカーチェイスのところは何が起きてたんだか解説読んでも分からん。
そもそも登場人物が「深く考えんな」的なことを言ってますし、諸々の設定は面白逆回しアクションを楽しむための単なる舞台装置と考えて差し支えないと思います。
順方向と逆方向の人間同士のどうやって撮ってんだか分からない格闘や、派手な爆発・崩壊がなかったことになるVFXとか、大変ノーランノーランしており楽しいです。
もともとそんなに好みじゃなさそうだったんで観に行く気はなかったんですが、コロナで多くの映画が公開延期となってる中、久々に劇場で金かけまくったハリウッド大作を観れただけで満足してしまいました。自覚はなかったけど結構飢えていたんだなあ。
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「BABA IS YOU」は誰かと話しながら遊ぶと面白い
最近、Steamのウインターセールで買った「BABA IS YOU」を嫁さんと遊んでいます。
インディーズゲーム界隈でさんざん話題になった作品なので今更感もありますが、簡単に説明すると「倉庫番」タイプのパズルゲームで、マップ内のオブジェクトを押して動かしながらゴールまで自キャラを移動させればステージクリアになります。
これがチュートリアルを兼ねた最初のステージ。クリアの条件は右上に描かれている通り「FLAG IS WIN」。FLAGのところまで自キャラ(YOU)であるBABA(左にいる白いの)を移動させてやればよいわけです。
WALLは通過不能(STOP)で、ROCKは押して動かせる(PUSH)。なのでこのステージはBABAでROCKを押しのけてFLAGまで移動するのが最短の解法となりますが、このゲームの最大のポイントはこれらのルールを示す文字列もオブジェクトとして動かせるということです。
例えば、「WALL」「IS」「STOP」のどれかをずらして「WALL IS STOP」のルールを壊してやれば、こんな風に壁を素通りして走り抜けることができるし、
「WALL」を「BABA」と入れ替えて「WALL IS YOU」に変えてやれば、壁全体が自キャラとなって、土埃をたてて動き回る。この状態でFLAGとWALLのどこかが重なり合えば、それも勿論ステージクリア。
「ルールそのものを変えられる」という破天荒なルールが、スタンダードなスタイルのパズルゲームをこれまでに類を見ないゲームへと変貌させています。
で、俺は基本的にこういう思考型のゲーム苦手なんですよね。むしろ嫌い。
倉庫番に面白さを感じたことはないし、バイオハザードとかで扉を開けるためだけにスライドパズルを解かされるのとかも大嫌い。(なんでそんなアホな鍵にしたの? って思う)
ステージが進むごとにただただマップが巨大化・複雑化していくパズル。この手のゲームは難易度アップがひたすら手順を面倒くさくすることによって為されるので、一回詰んだらじっくり考えて解こうってモチベーションが維持できないんですよね。がんばってクリアしてもさらに面倒くさいステージが出てくるだけなんだもの。
それに対して、Baba Is Youはどのステージも「いかに思い込みの裏をかくか」という視点からレベルデザインがされているように思えます。
どのステージも構造自体は非常にシンプル。ゴールが通過不能の壁に囲まれた密室になっていて到達できないなど、倉庫番的な常識からは「どう考えても無理」な状況から始まるので、逆に課題がはっきりして考えが発散しづらいのですよね。
「壁を越えられない」のがネックならば、ルールを変えて壁を通り抜けできるようにするなり、壁の外にある別のオブジェクトをゴールにするなり。ゴールを自キャラそのものに変えてしまうなんてクリア方法もありました。
まだ50ステージ程度しかクリアしていませんが、複雑な手順を踏まなくてはいけないステージというのが今のところ全くありません。長くても5~6手詰めといった感じで、ワンアイデアさえ閃けば切り抜けられるものばかり。これがすごくいい。
ひとつ気づけば簡単にクリアできるっていうのが根気のない人間にとっては嬉しくて、どのステージもゴールが近いとわかっているからこそじっくり考えることに集中できます。
ステージ内でできることはそれほど多くないので、片っ端から試行錯誤してみることで思いもよらない解法を発見するということもたびたびあります。できることは少ないのに解法のバリエーションは驚くほど多彩で開発者には感心するばかり。
この辺、以前書いたゼルダBoWの謎解きの良さに非常に近いと思っていて、「絶対に簡単な解法がある」という確信は試行錯誤を楽しいものにしてくれます。
まあ、この先ステージが進むにつれて面倒くさいステージがどんどん現れて投げ出す可能性はありますが、現状クリアできてる50ステージ程度でも十分元は取れているなと思います。
で、このゲームはタイトルに書いたとおり誰かと相談しながらやると非常に楽しいです。1ステージで軽く数十分ぐらいハマることが普通にあるのですが、そういうときは大抵視野狭窄に陥っています。
少ないはずの「出来ること」を単純に見落としていたり、「無理に決まってる」という固定観念で無意識に選択肢から除外してしまっている場合です。そんなとき、横で見ている方は全然違うことを考えているので、ハマっている人のプレイをヒントにあっさり答えにたどり着いたりする。
考える頭は多いほうがいい、という極めて当たり前の話ではあるのですが、これは特にプレイヤーの盲点を突いてくるゲームなので、複数視点の効果が非常に高いと感じます。一人だったらとっくに投げ出して攻略サイトとか見てたと思う。
うちはSteam版なので、PCのマイクをONにしてプレイ動画と一緒に会話を録音しながら遊んでいるんですが、仕掛けに気づいた瞬間の様子がありありと記録されるので、見返しても楽しいです。答えを知ってるパズルなのに。
つーことで、クリアできてえらくテンションが上がってしまったときの動画をひとつアップしてみました。(ステージ「FURTHER FIELDS」のネタバレがあります)
学生の頃、伯父から「おめぇ変な声だから声優やれよ」と、俺にも声優さんにもクソ失礼な進路指導をされた俺が喋っている声が入っております。お耳汚しごめんなさいって感じですが、楽しんでるのは伝わるかと思います。
Steam以外にSwitch版もあるし、年末年始の暇つぶしに家族を巻き込んで遊ぶのがおすすめです。
SUUMOのMY HOME STORYに寄稿しました
「家の話書いて」って言われたので書いてきました。
前に↑で家のことを書いたら「奥さんがよく許したな」「奥さんがかわいそう」みたいな事を言われたので、「嫁さんこの家めっちゃ気に入ってるっつーの」という思いを込めて、前回は割愛した嫁さんの部屋についても書きました。
あと上の画像は諸事情により使えなかった俺の机周りの写真です。勿体ないのでここで供養します。
あと「機械の人」って言われるのはロボみたいなので好きです。
インド映画の楽しいダンスシーンで泣きそうになる ー 最近観た映画の感想
最近の観賞ペースだと10本観終わるころには最初の方の作品の記憶が薄れているので、今後はもう3本づつぐらいで感想書こうと思いました。どうせ備忘録だし。
続きを読む玄関に塗装スペースを作ったので見てほしい
以前こんな記事を書きましたが、ボードゲームのコマを塗りたいというモチベーションから始まったこの趣味は今も楽しく続けておりまして、気が向いたときにちまちまクトゥルフウォーズのコマなどを塗っております。
全種類のコマを一通り塗り終わって、あとは量産型ユニットを繰り返し塗る作業になるので、いったん気分を変えるつもりでプラモに手を出したのが最初の写真。
最近、塗りたさが高じて普通にプラモを組むようになってしまった
— baumkuchen (@baumkuchen_) July 12, 2020
これは古いキットの復刻版らしいが、組んでみると今のガンプラが恐ろしく精度が高いことが分かってびびる
ただこういうキットも工程ごとに完成度が上がるのがはっきりわかってそれはそれで面白い
あと単純に見た目が超好き pic.twitter.com/wJDtWhwmR7
子供の頃はガンダムに全く興味がなかったこともあって、プラモなんて今に至るまで片手の数すら組んだことがなかった(ウォーハンマーのミニチュア除く)のですが、大人になってから真面目に作ろうとすると結構楽しいんだわこれが。
プラモを組むのもフィギュアの色塗りと同じで、手を加えるごとにアラが減り、ディティールが増して着実にカッコよくなっていくのがいい。それでいて適当なとこでやめてもいいし、細部までこだわってもやりがいのある、それぞれがいい感じの距離感で遊べる趣味だと感じます。
ダボの嵌め合わせではなく接着剤でパーツをつけるようなキットを組むのはこれが初めてで、どうせ塗るんだからとパテとヤスリで合わせ目を消したりしたのも初めて。そして必然、道具が増えるので整理できるようにしようと考えた結果、たどり着いた先がこの塗り場。
玄関開けたら5秒で塗装。プラモを組むのにも使うので塗り場かつ組み場ですが。
自室の机を組むときに出た天板の端材があまりにもこのスペースにぴったりだったので、ほとんど金をかけずに作れました。机の脚と、棚を作った1x4材、その他100円ショップで諸々そろえて5000円もかかってない。
この塗り場の何が良いって、洗面台と一体化させてるから水使い放題なんですよね。(なんで玄関に洗面台があるのかはこちら参照)
筆洗の水が汚れたら蛇口から直接だばーっと注いで濁った水を溢れさせれば即完了。椅子を立たないでいいし、色水をこぼさないように気を使いながら運ぶ必要もない。これだけで最強。ヤスリの水とぎにも便利だし、溶剤の類が手についたときにすぐ洗えるのも良し。
筆を立ててるのは冷蔵庫でワサビのチューブとか立てるやつです。
作業台の正面に塗料棚。セリアの10分割ケースがシタデルカラーのボトルに奇跡的にぴったりなので、いっぱい買って棚にはめ込んでみました。ボトルを横に寝かせる形にしているのは一覧性がいいのと、何度か蓋を閉め忘れて塗料を乾燥させてしまい、ボトルごとダメにしちゃってるから。これだと蓋をしないで置くことはありえないので、見栄えと簡易的なフールプルーフを兼ねてるんですね。
上に置いているのは塗りかけフィギュアの一時避難と、みんな大好きキムワイプ。あと時計。時計超大事。無心でヤスリをかけてると軽く1~2時間消し飛んだりするので。
色塗りはダイソーで買ってきた大きめのMDFボードの上で。その下にはやっぱりダイソーの一番でっかいコルクボードを敷いています。一度ボトルを盛大に転がして中身をぶちまけたことがあったので、万一のときに余計なところへ塗料が流れて行かないよう縁のある板を探した結果これになりました。
仮に下にこぼれてもコンクリ土間なんですぐ拭けばなんとかなるんですけどね(なった)。
あと、土間でプラモを組むメリットとしてはランナー屑をまったく気にしないでよいという点もあります。素足で踏んづけるリスクがないので好き放題にまき散らして、適当なときにまとめて掃除機でもかけちゃえばOK。
多少汚れてもいい場所ってのは物を作るときには本当に便利で、プラモに限らず何らかのクラフト系趣味がある人は引っ越す際に土間のある物件(案外ある)も視野に入れてみては、なんてことを思います。バイクガレージでプラモ組んだっていいじゃない。土間最高。
あとこれ、我ながらうまく100円グッズを活用したと思ってるランナー置き場。
セリアにハンカチスタンドというえらく用途の狭いアイテムが山積みされていたんで、その仕切りに対してランナーの幅ぐらいの隙間が開くように滑り止めのフェルトを貼ってみました。床のキズ防止で椅子の脚の裏とかに貼るやつ。
こんな感じで仕切り板とフェルトの間にランナーがサクサク刺さって動かない。仕切りの間隔もいい感じで、ランナー同士が干渉しないちょうどいい距離だし、強力両面テープで棚の横に貼り付けてるから作業台の面積も取らない、と良いことずくめ。
広く場所が取れるなら立派なランナースタンドでも買えばいいと思うんですが、コンパクトにまとめたい向きには結構おすすめです。
洗面台の下には室内でサーフェイサーやスプレー塗料も吹けるように、折りたたみ式の塗装ブースも置いてます。せっかく折りたためても排気ダクトがクソかさばるからあんまりコンパクトにはならねえなあと思いつつも、多少なりとも小さくできるのはそれはそれでありがたい。
こういう折りたたみタイプの中では一番安いやつを買いましたが、全然問題ないですね。それなりにファンの排気音はしますが、掃除機やドライヤーに比べたらはるかに静か。(だと思うんですが、Amazonには「ドライヤー並みにうるさい」というレビューもあったりするので、個体差はあるかもしれません)
それと端に写ってるゴミ箱は土間に置いたらカッコいいだろうと思って衝動買いしたブリキのやつ。
実際置いてみたらあんまり存在感は出なかったけど、サイズ的にはぴったり。パーツを取りつくしたランナーとか使い捨てパレットとか綿棒とか、常に細々としたゴミが発生するので、足元にゴミ箱があると便利。というか必須。
あとこれはだいぶ狭い範囲へ向けた自慢ですが、この趣味に手を出したのがちょうど家の設計をしている最中だったので、塗装ブースの排気のためだけの小窓をつけてもらったのがめっちゃ役にたってます。
いずれはエアブラシも買いたいなあ。
最近気づいたんですが、どうも俺はちまちま道具を揃えていく必要がある趣味を好む傾向があるようです。(自転車、水槽、プラモ)。単純に道具そのものやそれを購入するという行為が好きだし、それによってちょっと便利になったり快適になったりするということが輪をかけて好き。だから今回のように快適な環境を整える作業は、なんなら趣味本体よりも好きなのかもしれません。
とにかく、全く興味のなかったプラモが環境整備含めこんなに楽しく遊べてるんだから、何でもとりあえずやってみるもんですね。最近は趣味が増えすぎて時間がいくらあっても足りないんですが、それは幸せな悩みではあるのでしょう。プラモ趣味も当面はゆるく楽しめそうなので、適当にやっていきます。
おわり。