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量子大富豪「マスクメン」

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 オインクゲームズのゲームはデザインがオシャレです。オシャレが7でゲームが3。オインクのオリジナル作品は、見た目は良いけどちょっと薄味(婉曲表現)だなあという印象を持っておりました。

 そう思いつつも2014春のゲームマーケット新作も買う俺。それがこのマスクメン。

 あれ?(直接的表現) これ面白いぞ? 

コンポーネント 

 カラフルで無表情なマスクマンカード6種と、マスクマンの強弱を表す覆面デザインのマーカー。マーカーは半月状に切り欠かれていてピシッと繋げて並べられるようになっています。

 これ、切り欠きがなくても十分用途は果たすのですが、ここらへんはセンスでしょうね。後ろからチラリと顔を覗かせているような愛嬌のあるビジュアルで俺は好きです。 

 

 裏面のデザインはこんなん。それと得点を表すベルト形のチップ。以上がコンポーネントの全て。 

 

 これらがマスクのシルエットをあしらったコンパクトな箱にまとまっており、開けるとマスクなメンが3人並んでコンニチハ。箱を開けるだけで思わずクスリとさせる納まり方が楽しい。

 

ルール

 で、このカードを使ってやるゲームはトランプの大富豪です。前の人が出したのより強いカードを同じ枚数出していって、最初に手札を無くした人が勝ちってやつ。

 ただし、このマスクメンは全員がデビュー戦なので、ゲーム開始時点では強弱が不明。何度かの興行を経ることによってランキングが決まっていくのです。

 このランキングの決まり方がゲームの肝。ただこのゲーム、そのルールが書かれた説明書が分かりづらいと評判でして、俺も最初はゲームの流れがよく分からずに5回読んでやっと正しく解釈できたぐらい。そしたら速攻で解説動画がアップされていました。このフットワークの軽さは評価に値します。

 ゲーム用語をプロレス用語に置き換えてるせいで訳わかんなくなってるんですよね。「パス」が「ギブアップ」になっているので、全員ギブアップしたのに次の「ラウンド」が始まっちゃうあたりとか、文字で読んでもピンと来ない。少なくとも「ラウンド」は「試合」にした方が良かったんじゃないかなあ。

 これから遊ぶ人は是非ともこの動画を見てから挑むのが良いですね。分かっちゃえば簡単なので。

 

 カードの出し方にクセのある大富豪だと理解できたら、抑えておくべきポイントはカードの出し方と、ランキングの決定方法だけです。

 前のプレイヤーが出したレスラーに対し、自分のレスラーの出し方は二通り。

  1. ランキングが上のレスラーを同じ枚数だけ出す。
  2. ランキング未定のカードを+1枚で出す。

 1.は普通の大富豪と一緒。2.がこのゲームの根幹を支えるルール、ランキングの決定要因になります。+1で出したレスラーの方が強い。それだけが確定します。

 では、それを踏まえて試合開始。

 

 まずリングに上がったのは若葉マークが眩しいアスパラー。デビューと同時に強さマーカーが場に登場。 

 

 次プレイヤーのカード2枚でアスパラーを倒したレッドマスク。通称「肉」。デストロイヤーではなく「肉」。ここで「肉>アスパラ」が確定して、肉マーカーがアスパラの左に並びます。

 

 そこへブルーデーモン……じゃなかった、クールガイが対面から急襲! レッドマスクを制した所で他プレイヤーは全員ギブアップでゴング、第一ラウンドが終了。

 さっきも書いたけど「ラウンド」じゃなくて「試合」の方がしっくりくるなあ。勝手に言い換えよう。

 

 全員が降りたので、第一試合最後のクールガイを出したプレイヤーが第二試合のスタートを切ります。これまたデビュー戦となるホワイトヘル。他のレスラーとはまだマッチメイクされていないので、強さは不明。第一試合の序列とは別のラインにマーカーが置かれます。

 

 一番人気(俺内)のオレンジガス様が華麗な反則攻撃(想像)でホワイトヘルをK.O.。ここで確定しているのは「オレンジ>ホワイト」だけなのでまだマーカーは並列。

 


 ここでまさかの肉乱入。俺のオレンジガス様を討ち果たし、2つのラインに関係性が生まれます。肉はオレンジやアスパラよりは強く、それより強いのがクールガイ。肉以下の三者は「オレンジ>ホワイト」だけが確定で、アスパラと戦った場合はどちらが勝つかわからない。

 こんな風に、カードの強弱を確定しながら進める大富豪。「量子大富豪」との呼び方が定着しつつあります。カードが場に出ることで初めて強弱が確定する事を、観測によりある状態に収束するという量子力学の考え方になぞらえてそう呼ぶのでしょう。量子力学は大学の時に基礎を学びましたが未だによー分かりません。

 

量子大富豪

 元々大富豪はトランプのパーティーゲームの中でも戦略的な方だと思うんですよね。どのタイミングで強いカードを切って、スタートプレイヤーを持ってくるか。弱いカードを如何に使い切るか。強いカードから出し続けることで相手に何もさせないことができるかもしれないし、弱いカードも複数枚出しで相手の動きを封じることができるかもしれない。

 手札運の強いゲームではありますが、読みも重要。やり様によっては弱い手札でも一矢報いることができるよく出来たルールです。

 マスクメンはそれを一歩進めて、手札の強弱自体を戦略で変えられる。手札にいっぱいあるカードを強くしたい。だが強くする為に沢山出してしまえば手元には残らない。後半の棚ボタ狙いで最強を目指す? それとも弱いままの大量出しで手札を消化してしまおうか。

 こういった駆け引きが元々の大富豪の戦略に乗っかり、より読みどころの多いゲームにブラッシュアップされています。

 レスラーのランキング変動がややこしい、分かりづらいという声もあって、それは俺も否定する所ではありません。取説のcase6とか、瞬間的には分からんよこんなん。

 

 でも、それはある種の物語を生むから俺は嫌いじゃないんですよね。

 ちょっと元の書き込みを見つけられなかったんですけど、どっかのblogだかtwitterだかで見た話。

 マーカーの並びでパッと見分からなかったので、間違ってまだ強弱の決まっていないレスラーを+1せずに出してしまった。「それまだ強弱決まってないよ」との指摘を受けたのですぐに1枚追加で出しました、と。

 まるで「だったらどっちが強いか今この場で決めたるわ!!」といきなりラリアット食らわせたようでイカス。って書かれてた。何て素敵な解釈なんでしょう。

 アナログゲームって、テーマに沿った解釈を勝手にすることで面白くなる部分ってのが確実にあります。大富豪というメジャーなゲームに無理矢理プロレスというテーマを乗っけたこのゲーム、多分ビジュアル先行だとは思うんですが、上手くハマったなーと思います。

 うちで先日行ったゲーム会では、万年最下位だったアスパラーが最終4シーズン目の興行で最強となり、ヒョロヒョロだった新入生が4年次には身体も出来てチャンピオンになる学生プロレスのようだと話題になりました。全員マスクマンの学生プロレスなんかありませんが。無いよね? あれば観たい。

 このゲーム、twitterなんかだと発売されて日も浅いのに既にかなりの反響があります。初めの頃こそ多くが「説明書分かんねぇ」でしたが、説明動画が公開された今では「面白い」が優勢。強弱マーカーの読み方で嫌になっちゃう人も居るでしょうから万人にオススメとは言いませんが、うちにゲームやりに来てる連中にはとりあえず遊ばせてみたい良作です。

 薄味とか思っててごめんなオインクー。これ面白かったよー。