クロスバイクのおすすめカスタマイズ
クロスバイクに乗っていると体の各所に痛みを感じることがあります。手、腕、肩、背、腰、尻、股、脚、膝、その他もろもろ。
ママチャリに比べて負荷がかかる前傾姿勢になることに加え、疲れにくい分だけ長距離・長時間の移動に使いがち。体力的には余裕なのに、ずーっと同じ姿勢でいることでどこかしら痛くなってくるんですよね。
ある程度まではすぐに体が慣れてくるんですが、自転車の方を体に合わせるというのもひとつの手。なので今回は手軽で費用対効果の高いカスタマイズについて。
ハンドル切っちゃう
目の前にクロスバイクのハンドルがあると想像してちょっと握ってみてください。
エアハンドルを握ったら、その位置から手を左右3cmずつ広げてみる。それだけで腕に軽い負荷を感じると思います。前傾姿勢では腕にかかる体重も大きくなるので、長時間のライドではその負荷の差がバカになりません。丁度いい長さにハンドルを詰めるだけで随分楽になるはずです。
左の黒いグリップ部がネジになっていまして、締めこむことで円盤状のカッターを送り出す仕組み。上部のローラーと挟むように軽くパイプに食い込ませて、ぐるっと回すと浅い溝がパイプに付きます。そこからさらに刃を食い込ませて繰り返すことにより溝をどんどん深くしていって、最終的にパイプが切れる。うーんよく出来ている。
適切なハンドルの長さは肩幅よりちょい長めが良いといいます。ハンドルを自然に握った時に、肩幅の位置に中指がくると考えると肩幅+10cmぐらいがいいとこでしょうかね。俺の乗っているTrek 7.5FXは体の大きいアメリカ人仕様のせいかアホみたいにハンドルが長かったので、詰めることで大分楽になりました。
ハンドルが短くなる分、アクセサリをマウントできる幅は減ってしまうので、場所が足りなくなってしまう場合はこういうのでマウント場所を増やすなど。
ステムの前にバーを追加。それだけのアクセサリ。前方にオフセットがつくのでサイコンを付けても見やすくて良いです。
ロードバイクの写真で何なんですが、こんな感じ。マウント径は31.8mm/26.0mm/25.8mm。クロスのフラットバーハンドルだとステムのマウント部は25.8mmが多いと思うんですが、一応調べましょう。ノギスは自転車のカスタマイズには必須アイテムです。
グリップ交換
コンフォートグリップといえばエルゴン。
このエントリはこれを紹介するために書いてるようなところがあります。アクセサリ紹介のときには書けなかったので。
クロスバイクに乗っていて、手が痛くなってしまう人は体重のかけ過ぎです。上半身の荷重は腹筋背筋で支えて、手はハンドルに添えるのみというのが基本。とはいえ、疲れてきたら腕に体重を逃して休みたい。自転車で長距離を走るときは、負荷のかかる場所を適宜変えて、疲労を分散させるのがコツです。
そんなとき、エンドへ向かって薄く広く伸びたこのグリップはしっかり体重を受け止める。思った以上にグリップは硬くできていて、握るというより手を乗せる感じ。広い接地面積は手のひらへの荷重を分散させます。
ぷにぷにと柔らかい素材で振動を和らげるグリップもありますが、あんまり効果ないよなというのが実感。手が痛くなるのは振動よりも圧力のほうが大きな原因だと思っています。それならば硬くどっしりと体重を受けとめてくれるほうがいい。下手に歪むと変な力の掛かりかたをしてしまったりするから。
あとバーエンド。長距離を走るならバーエンド付きモデルがおすすめ。少しでも自然な姿勢をとるという意味で、ハンドルをカットするのと考え方は一緒。水平にバーを握るよりは垂直に握ったほうが、ねじりが入らない分だけ腕に負荷がかかりません。これも試しにエアハンドルを握ってみればすぐに分かると思います。
握る場所を変えるというのは姿勢も変わるということなので、腕だけではなく上半身全体の負荷状態を変えるという効果もあります。
エルゴンのグリップはロングとショートの他にSサイズとLサイズがありますが、これは太さの違い。内径はどちらも一般的な22.2mmなので手の大きさで決めればOK。
ちなみにこのグリップの取り付けに使うアーレンキー(六角レンチ)は4mmです。シフターやブレーキに使われているボルトとはサイズが違います。
というか以前にも書いてますが、クロスバイクに乗るならアーレンキーセットは持っていないとお話にならないので買っときましょう。
サドル交換
初心者が痛みを感じる部分として多いのが手・尻・股のどこかだと思います。
尻と股の痛みはふたつにひとつ。股が痛いときは尻に荷重がかかっていないということだし、尻が痛ければサドルと坐骨の当たりが良くないということ。丁度いいサドルに交換すればテキメンに治ります。
これに関しては個人の体格差によるのでこれがおすすめ、というのは言えないのですが、ひとつの目安としてダンボールで坐骨の幅を測る方法がよく使われます。
一部の人にはお馴染み、Amazonのダンボール。床に敷いたら上に座ってくぼみの中心間の長さを測る。これが一番荷重のかかる部分なので、それをしっかり支えられる幅をもったサドルを選ぶ必要があるわけです。
俺の場合12cmと男性としてはかなり幅が広い方らしく、最初のサドルは股ばかりが痛くなりました。全然坐骨を支えてくれてなかったんですね。
逆に尻が痛くなってしまう人は、坐骨がサドルに乗ってはいるものの、端っこのクッションが薄い部分などに当たっていることが想像されます。
股が痛くなりがちならば真ん中が窪んでいたり、穴の開いているものを。尻が痛くなるならば坐骨と変な当たりをしていないか。今使っているものから、どういう方向で改善すれば良いのかを考えながら選ぶと良いです。
サドルは合う合わないなので高けりゃいいって訳じゃありません。あんまり高価なパーツを付けてしまうと今度は盗難が怖くなって街乗りクロスの気楽さが消えて失せるので、3000円前後ぐらいで探すのがいいんじゃないですかね。もっと安いのも沢山あるけれど、大体かっこわるいので。
まあ、サドル選びは旅と称されるほど当たり外れ(個人にとっての)があるので、テキトーにハズレを掴みながら色々試してみるといいです。乗ってみないと分からないから。
ちなみに俺が今買うとしたらこの辺を選ぶと思います。幅広、フラット、穴あきサドル。これは単に俺には合いそうだ、というだけで他の人にはその限りではありません。ご注意。
タイヤ交換
スピードを上げたいならタイヤ交換が一番安くて手っ取り早いです。
タイヤには転がり抵抗というものがありまして、接地面積が広くなるほど転がりづらくなります。大雑把に言えば細いタイヤ程スピードが出る、ということです。*1
エントリーモデルのクロスバイクは28cか32cのタイヤが多いので、32cなら28cに、28cならいっそ23cぐらいまで細くしてしまえば面白いほど足回りが軽くなると思います。*2
サイドが白なので、フレーム色の関係で黒を基調にしたい場合はSERFASあたりがカラバリも多く、価格、評判のバランスもいい感じ。
こちらは太さも23Cまである。うちでは嫁さんのクロスが黒なのでこれを使っています。
タイヤを細くするということは足回りを軽くする反面、振動の吸収力や耐パンク性能が落ちるということになりますが、個人的にはそんなことより速く走れる方が嬉しいです。グリップやサドルのカスタマイズで乗り心地を良くして、クロスバイクというものに体が慣れた頃に交換すればいいんじゃないでしょうか。
なにより、カラータイヤは自転車の印象をがらっと変えてしまうのが面白い。フレームに次いで面積の大きいタイヤに色が入るんです。全く別の、自分だけのバイクになります。愛着も湧こうというもの。それこそが自転車カスタムの醍醐味でもあります。
まあ泥沼の入り口でもあるんですがね。
おわり
「低コスト」「特殊な工具を必要としない」「効果が体感できる」といったところが今回のテーマです。乗るのも楽しいけどいじるのも楽しいよ、と。
大して金をかけなくても楽しめるというのも良いところ。数百円でボルトの色を変えるだけでもずいぶん気分が変わるもんです。
こじらせると「どこか交換できるパーツはないか」とか考えるようになってしまうので程々にしとくのがいいとは思いますけどね。*3