映画ってコスパのいい娯楽なんじゃないだろうか



 先日ペルソナ5クリアしたんですよペルソナ5。

 いやー面白かった。P4Gを除けば実に8年ぶりの看板タイトルだけに気合の入り方が違う。よく練られたシナリオもさることながら、何よりもストレスを感じさせないユーザーインターフェースが素晴らしかった。日常パートも戦闘もサックサク進む。

 ハードはPS2からPS4へと1世代分飛び越えて*1、グラフィックも大幅進化。「真・女神転生」時代から20年以上使いまわされている悪魔のデザイン。そのモデリングがPS4クオリティに作り直されて、長年のファンとしては感涙モノです。ご立派様マジご立派。

 自動生成ダンジョンのサブクエストがちょいダレるのと、コープ*2が発生するたびに大雑把な言及をさせられるせいで検事の姉さんがものすげえ無能に見えるのはご愛嬌。総じてよく出来た名作です。

 俺のプレイ時間は約75時間でした。俺はあまり寄り道等はしないでゲームを進めるタチですが、それでも75時間。相当なボリュームです。割引込みで7500円ぐらいだったので、1時間たったの100円で1ヶ月以上楽しませてもらったことになります。抜群のコストパフォーマンス。

 加えて、引き継ぎ要素を持ち越して2周目を始めれば1周目で見られなかったイベントを見たりトロフィーを集めたりしながらさらに長い時間を遊ぶことができます。

 でも、やんない。だってまた75時間かかるんだもん。

 完了できなかったコープとか、悪魔全書の空きとか気にはなるけれど、一度クリアしちゃったら「75時間も遊べる」が俺の中では「75時間もかかる」に変わってしまうんですよ。

 そもそも俺「強くてニューゲーム」の楽しさがいまいち分からんのよね。最初っから最強の武器を持って、何の苦労もなく、知ってる仕掛けを解いて知ってるストーリーを観る。めっちゃ強い隠しボスとか出て来るのは分かってるんだけど、もはや作業になっちゃってタルい。ゲームは色々やるけど「やりこみ」ってあんまりしないんです俺。

 

 翻って映画の話。先日こんな記事を読みました。

 映画の料金が高いという話のたびに見るのが「何で1800円も払った上にクソ高いポップコーンやパンフレットを買って、延々と広告を見せられた挙句に犯罪者予備軍扱いされなきゃならんのだ」って意見。ごもっとも。

 まあポップコーンとパンフは買わなきゃいいじゃんって俺は思うのだけれど、それでも2時間1800円というのはTVゲームと比べてしまうといかにも高いです。

 ただしそれは「時間あたりの価格」にフォーカスした場合の話。

 俺は「映画って絶対2時間で終わるんだぜ!! すごくね!?」って最近思うのです。いや、「ベン・ハー」とか「U・ボート」の話はいいから。わかったからインド映画も一旦横に置いて? いいね?

  要するに「時間もコストだよね」という分かりきった話ですが、最近は何らかのコンテンツを楽しむにあたり、その考えがとみに強くなってきたと感じます。職場近くに引っ越して余暇自体は以前より増えているにもかかわらず。

 なぜなら最近はあまりにも安価かつ簡単に大量のコンテンツが手に入ってしまうから。Amazonプライムビデオをはじめとした定額VODサービスや、電子書籍の無料お試し本や月額読み放題。ゲームだってSteamの激安セールやコンソール上のオンラインショップで自宅にいながら即入手できる。

 楽しみたいコンテンツが多すぎる。こうなってくると相対的に時間の価値が上がるので、時間を何に割り当てるかの方が金額よりも悩ましい問題になってきます。で、最初にもどる。

「映画って絶対2時間で終わるんだぜ!! すごくね!?」

 それぞれに楽しみの質が全く異なるのはわかった上でものすごく乱暴なことを言いますが、完成度の高いゲームと映画、得られる「楽しさ」の総量ってそれほど大きく変わんないんじゃないかと思うんですよね。あくまで俺の中で、って話ですよ。

 75時間あれば映画が30本は観られます。体験の密度というか、自分の中に残るものの多さで言えば大作RPG1本より映画30本の方が上でしょう。空き時間を映画ばっか観て過ごしたいかと問われれば答えは断じてNoだし、だからこそゲームしたり本を読んだりするんですが。

 思わず唸らせられる脚本や、惹きつけられる演技力、映像技術や音楽の粋を多額の予算と長い製作期間をかけてパッケージ。我々はそれをたった2時間という時間コストの負担で体験できる、と考えると1800円ぐらいは払えますし、むしろトータルコストは低い方なのではないかと思うわけです。

 もっとも人はコストや効率でコンテンツを選ぶわけではないので、このエントリーはほぼ意味のないことをダラダラ書いただけに過ぎないんですが、「今はいろんなものが簡単に楽しめて幸せだよね」って事と「本も映画もゲームも死ぬまでに楽しめるものなんてほんの一握りにしか過ぎないから取捨選択は大事だな」という事をボンヤリ考えつつしたためたらこんな感じになりました。

 そう思うと空からサメが降ってくる映画を観たりだとか、ヤギになって破壊の限りを尽くす次世代ヤギシミュレーターなんかで遊んでる場合ではないのだけれど、これはもう俺の体質だからね。仕方ないね。

*1:PS3版もあります

*2:仲間との絆を表す本作のシステム